トップが語る、「いま、伝えたいこと」
アメリカの株価が絶好調で連日、高値を更新しています。アメリカの経済指標が考えられているよりも強いものが多く、利下げの時期が延ばされるか、もしくは値下げ幅が小さなもので終わるのではないかという連想から来るものです。そして、もう一つの要因として、市場はすでにトランプ当選を織り込み済ということがあるのかもしれません。トランプ大統領の再選ということになると、何をするかわからないという不安要素はありますが、ビジネスマンで相場に悪影響を及ぼすような政策は取らないだろうということが見込まれるという読みが多数を占めるようになりました。
逆にハリス副大統領が当選しそうになったら、ちょっと市場は慌てるのかもしれません。先々週に書いたように、日本の場合は短期的ではありましたが、市場は高市当選を読み込んでいたので、まさかの石破総理が勝ったことで短期的にはかなりのろうばい売りが目立ちました。同様の影響がアメリカで起こることが容易に予想できるのです。ただ、すぐに自民党政権であることは変わらないのだから危惧することはないという意見が大勢を占めるようになったのですが、今度は総選挙で与党の苦戦が伝えられることによってアメリカ株の高騰や円安傾向というプラス条件が整っているわりには上げ幅が小さいという現象が起きています。
だから、相場だけを見ると、何とか自民党単独で過半数を確保して欲しいと思っていますし、悪くても自公の与党で過半数を割るような事態にならないことを願っています。アメリカと違って日本の世論調査を基にした数字は結構正確に当落を当てています。新聞の情勢分析通りの選挙結果になる可能性が極めて高いのだと思います。アメリカは民主党も共和党も自分たちに都合のいい選挙制度(州毎に異なります)に変えていくことを当然のように実施していますが、まじめな日本人の場合は選挙制度は明確に決まっていて、さすがにこれを動かしてまで当選を試みる有力候補は皆無だと思います。
裏金問題で自民党に逆風が吹いている中で、かなり厳しい選挙を強いられているということは間違いないと思います。負けるのは仕方がないにしても、負け方をなるべくマイルドなものにできるかどうかが、石破政権が存続するための条件だと思います。選挙の結果は仕方がないと受けとめずに、ある程度は自分事として考えられるようにならなければいけないという問題意識を自分に感じています。
例えば、金融所得課税のような相場に悪影響を与えるのが間違いない政策が支持を受けるのは、株高の恩恵を受ける人の数が相対的に低いことが原因だと思います。個人金融資産の半数以上を預貯金で持っている日本人にとっては、株高の恩恵を受けているひとが相対的に少ないことが大きな問題になっています。そんなマインドを変えたいと思っている人に読んで欲しいのが、我妻佳祐著『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』 (幻冬舎新書)です。初心者よりも中級者の方が詐欺師に騙されやすいなど、金言がちりばめられているように感じました。
著者の我妻氏は金融庁で勤務していた経験を持ち、投資を推奨する役所側からの本音を赤裸々に語ったもの、と言えば期待値は自然と高まります。多様化する投資の形態。日ごろそれらについて語っている我々さえも、それら全てを説明するのは難しいかもしれません。本書は基本的な投資やそれを受け入れてくれる金融機関についての解説がほぼ網羅されて解説されている、投資に興味を持っている方には必見となる一冊です。
その上で先に内容の結論から触れてしまうと、インデックス(指標に従うように設計された)投資以外は不要であるとバッサリ切り捨てられています。少なくとも投資初心者、や投資というか投機というギャンブルを趣味にしていく気がない方が手を出すべきではない、と結論を出されています。特にゼロサムゲームの投資について、冷静に考えれば初心者が勝てる可能性は限りなく低いのは当然です。元から存在する投資そのもののリスクも加味すれば、手を出さない事自体が正解である、それは間違いありません。特にFXに代表されるレバレッジという実質的に借金をするのと変わらないハイリスクな投資についてはギャンブルと同様のモノであり、人生を破滅させかねないものです。
実際にシステムを作り、管理をしている立場であった方から語られる言葉にはやはり説得力があります。メリット、デメリット、推奨されないものも含めて語られており、多くの判断材料を得る事ができます。自分の生活に影響を及ぼさない範囲で、一定の貯蓄を確保した上で比較的リスクの低い投資をし、失敗しても一旦それらをシャットアウトして、頭から取り去ってしまってもいい。それならば極端な行動を取る必要はありません、怪しい投資話やあまりにもハイリスクな話に乗り人生一発逆転を賭ける等という一定数耳にする話は、あまりにも馬鹿げています。
『我々の(仕事ができる)身体には金融資産一億円分の価値がある』。このフレーズを理解した上で、節度を持った投資を心掛けていきたいものです。いつも書いていますが、インフレ状態が続くと預貯金を持っていることが大きなリスクになります。リスクの少ないインデックス投資とはどのようなものなのかを理解して投資を始めると株価が上がることを素直に喜べるようになり世界が変わりますので、金融リテラシーがあるなしに関わらず読んでいただければと思います。
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2024.10.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】投資のリテラシー (※舩井勝仁執筆)
2024.10.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】『老いない』自分の育み方 (※佐野浩一執筆)
2024.10.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】心を浄化する方法 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |