船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
フランケンシュタインの幻影
2024.2.15(Thu)
社名:(株)本物研究所
名前:服部 真和

海外の妖怪というか怪物というか、よく知られたキャラクターに、ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインがいます。藤子不二雄Aの漫画「怪物くん」でも、この3つのキャラクターは怪物くんのお供として登場します。そのなかのフランケンシュタイン、実は、10代の女性が原作者というのをご存知ですか?

約200年前に、「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」という書物が、イギリスの10代の女性の手によって書かれました。この死者を蘇らせるという奇抜な小説は、発表当時は匿名で出されました。なぜ匿名だったのか? 当時の女性差別が、そうさせたようです。

しかし匿名で出版された小説の評判は高く、やがてメアリー・シェリーという実名で出版されます。そしてこの小説は、科学的な探求心と人間の野心がもたらす恐ろしい結果を描いた作品はテーマが面白く何度も映画化され、あるいは、パロディ化もされ、今では世界で知らぬ人はいないといっても過言ではない有名なキャラクターとなりました。「「フランケンシュタイン」は、後世に多大な影響を与えたのです。

このまれにみる作品をつくったのは、メアリー・シェリーという10代の女性だったのです。

メアリーの母親は、女性権利運動の重要な人物とされるメアリー・ウルストンクラフト、父親は哲学者のウィリアム・ゴドウィンと知的な家庭に生まれましたが、メアリーの母親は彼女を生むと間もなく死んでしまいます。父親は再婚しますが継母との折り合いが悪く、メアリーは、スコットランドの親戚に2年間預けられます。1814年にメアリーは詩人のパーシー・シェリーと出会い、彼と恋に落ち、駆け落ち。17歳の時に出産するも、早産で2週間後に子供は死亡してしまいます。こうした生と死の経験は、作品に影響を与えているかもしれません。

ところで、この「フランケンシュタイン」が生まれたエピソードは文学史上有名な話で、1816年の夏、スイスのレマン湖畔で詩人のバイロンと医師であるポリドリらとメアリーと夫になる詩人のシェリーと共に過ごした夜です。彼らは、暇つぶしに物語を書くこととなり、各自が怪奇な物語を書くことになりました。

その夜、彼らは様々な物語を構想するのですが、一人10代で肩書も実績もない少女だったメアリー・シェリーは、これまで想像だにできなかった「フランケンシュタイン」のアイディアを思いついたとされています。

メアリーの小説が生まれた時代背景として、イタリアのルイジ・ガルヴァーニによる、生物の神経系と電気の関係の研究があります。ガルヴァーニは、カエルを使って実験を行いました。それは、カエルの脚を解剖し、その神経を露出させ、金属の道具などを使って神経に触れると、筋肉が収縮することが観察されました。彼はこれを、「動物の神経系が電気を通して興奮し、それによって筋肉が収縮する」としたのです。このガルヴァーニの発見は、現代医学に重要な基盤を提供しました。神経と電気の関係を初めて示し、神経伝達や筋肉の収縮の理解を促進したのです。その結果、神経科学や電気生理学の発展に寄与し、神経系疾患の治療法や神経疾患の理解に貢献しています。小説においてフランケンシュタイン博士が死者を蘇らせる方法として使った稲妻のエネルギーは、こうした背景があったのです。

さらに小説には、フランケンシュタインが生み出した怪物は、様々な体の要素の組み合わせからなっており、現在の臓器移植の問題も間接的にですが描かれています。臓器移植は個体死後に行われる医療プロセスで、一般的に、臓器提供者が脳死や心停止など完全に死亡した後、その臓器が移植のために摘出され、移植されます。この臓器移植は、大きな進展を遂げており、現在では、多くの臓器移植手術が行われ、たくさんの患者がそれによって生命が救われている重要な治療法の一つとなっています。こうした点においてもメアリー・シェリーの小説は現代性を先取りした作品であると言えるのです。

昨年からAIがキーワードとなり、いずれ当たり前のように社会に組み込まれることになるでしょう。社会は高度に発達し、医療や生命科学の分野においても同様なことが起こってくるようにも思います。我々は生命の根源にもかかわってくるクローンの問題など手を染めてもいいのか? とも思います。

約200年前、10代の若い女性メアリー・シェリーによって生み出された小説は、通俗的なキャラクターとしての面白さを超えて現代に語りかけてくるように思います。

『ああ、フランケンシュタイン、ほかの人間には優しいのに、なぜおれだけを踏みつけにするのだ。この身体はおまえの正義、いやおまえの正義を受けてしかるべきなのだ。おまえがおれをつくったのだ。おれはアダムなのだ。だが、このままでは何も悪いことをしていないのに、喜びを奪われた堕天使ではないか、あちこちに幸福が見えるのに、おれだけがそこからのけ者にされている。おれだって優しく善良だったのに、惨めな境遇のために悪魔となった。どうかおれを幸せにしてくれ。そうすればもう一度善良になろう』シェリー・著、小林章夫・訳 (光文社古典新訳文庫)より引用


2周目:「映画館へ行こう!」
3周目:「清々しいメロディに紡ぎだすハート」
4周目:「刺激的な人物がいた!」
5周目:「人の変化で時代を感じる」
6周目:「ひまわり大作戦」
7周目:「雑感」
8周目:「あらためて「プラス発想、素直、勉強好き」を・・・」
9周目:「想いは実現するということの私なりの解釈」
10周目:「宮沢賢治と手帳」
11周目:「防災の心得」
12周目:「書と陶の融合・・・私探しの旅に出て私になる」
13周目:「麻について」
14周目:「歩くことが楽しくなってきた」
15周目:「工夫をしよう!」
16周目:「アルゴ」
17周目:「私が過ごした本物研究所について」
18周目:「「笑いとばせ」という感性」
18周目:「「ありがとう」の言葉の力」
19周目:「美術館は妖怪ブーム」
20周目:「インフレ時代到来か?」
21周目:「20代の仕事の思い出」
22周目:「舩井幸雄が遺してくれたもの」
23周目:「まっ直ぐなやさしさ」
24周目:「山口敏太郎さんという方にお会いした印象」
25周目:「突出したことをしないでセミ・リタイアした男性」
26周目:「「精麻」で幸運を呼び込む」
27周目:「新春はこの人に注目!」
28周目:「20年前を振りかえる」
29周目:「新しいことをやるには……」
30周目:「月並みですが持続のコツ」
31周目:「やってみて気づく」
32周目:「運を味方にするサイトがオープン!」
33周目:「雑感」
34周目:「セルフ・ブランディングの時代を感じて」
35周目:「絶望と無気力の淵から立ち上がって・・・」
36周目:「今から、ワクワクしています!」
37周目:「スピ・サミ・レポート」
38周目:「3・3・3の原則」
39周目:「この人、イイね!」
40周目:「エジプトに行ってきました!」
41周目:「違和感を感じる自分」
42周目:「スピリチュル・サミットの季節が・・・」
43周目:「禅を新発見」
44周目:「道教」
45周目:「ゴッズ・オブ・エジプト」
46周目:「タオという宇宙観」
47周目:「ドラゴン・イン台湾」
48周目:「テレサ・テンは菩薩だった!」
49周目:「宮沢賢治の言葉に触発されて」
50周目:「新しい女性美の提案企画スタート!」
51周目:「響」
52周目:「イスラエルに行き感じたこと」
53周目:「不思議な施術体験、すごかった!」
54周目:「次元上昇」
55周目:「呪詛大国日本」
56周目:「遥かなるイスラエルへの旅」
57周目:「伊勢神宮の月次祭を奉拝して」
58周目:「古本屋で昔、買えなかった本に出合う」
59周目:「カバラの衝撃」
60周目:「女神の時代へ」
61周目:「フェニックス=火の鳥=鳳凰」
62周目:「不思議大好き!知られざる日本」
63周目:「今、最も注目される哲学者は何を語るのか?」
64周目:「奇想のクリエイティブ」
65周目:「熱き心の姿勢が多くの人に希望の火を灯す」
66周目:「チベット死者の書」
67周目:「100年以上前にチベットで修業した僧侶の話」
68周目:「世界にはすごい聖地があるもんだ」
69周目:「極限状態から起こる気づきの嵐」
70周目:「ミャンマーに行ってきました」
71周目:「ヴィパッサナー瞑想の聖地へ」
72周目:「魂が喜ぶ瞬間へ」
73周目:「イスラエルを巡る3つの謎」
74周目:「幸運は準備している人に訪れる」
75周目:「ゴーイチプレミア」
76周目:「協力と情報共有」
77周目:「オンライン化の波」
78周目:「魔術的要素があるという古代ルーン文字」
79周目:「数字の持つ神秘な側面」
80周目:「エジプトに注目」
81周目:「女神の知恵を取り入れていく時代へ」
82周目:「エジプトの息吹を感じる」
83周目:「聖書に隠された数の暗号の秘密とは?」
84周目:「カバラって複雑で難しいけど興味深い」
85周目:「紫微斗数(しびとすう)ってご存じですか?」
86周目:「コロナ禍の状況下、絶体絶命下で開かれた叡智の光がヒントになる?」
87周目:「私という謎と数の関係性」
88周目:「ケルト文明の謎に惹かれて」
89周目:「アーサー王伝説について」
90周目:「2つの「死者の書」と死んだらどうなるのか?」
91周目:「ケルト巡り」
92周目:「黒い聖母マリアとケルト」
93周目:「「カバラ」に興味を持った、そのわけは?」
94周目:「「不思議の国のアリス」というキーワードは外せない!」
95周目:「気軽に知的エンターテイメントを楽しむ」
96周目:「ベリーダンスは神々に捧げる踊り? 神託タロットに影響されて・・・」
97周目:「<学魔>と呼ばれる知の巨人からのメッセージ」
98周目:「「フール・オン・ザ・ヒル」、覚醒へ向かえ!」
99周目:「タロット、自由自在!」
100周目:「アーカーシャとゼロ・ポイント・フィールド」
101周目:「「不思議の国のアリス」は、ぶっち切りの逆転ゴール?」
102周目:「不思議な結晶の塩は何をもたらしてくれるのか?」
103周目:「黒い聖母子像の謎」
104周目:「デビルマンという傑作漫画について」
105周目:「善と悪の聖獣の終わりなき戦い」
106周目:「イエス・キリストの深奥のコトバに触れて」
107周目:「Belly dance inspired by tarot cards"The universe of Tarot."」
108周目:「古代インドの叡智を日常生活に取り入れる」
109周目:「健康維持のためのホリスティックな全体像を知る」
110周目:「サルバドール・ダリの表面と深層の秘密」
111周目:「アーユルヴェーダの辛味スパイスと「いちご」の幸福な出会い」
112周目:「新年、誕生日、私って誰?」

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