船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井幸雄グループスタッフによるコラムページです。
日々仕事をする中で感じていることなどを自由に語ったページです（このページでは、便宜上、船井幸雄を“船井会長”と呼び、敬語表現を使わせていただいています。ご了承ください）。

こんにちは。
イリアール（株）で月刊通販カタログ『ほんものや』の編集を担当している臼田です。
今回は一冊の本をご紹介します。

タイトルは『一歩を越える勇気』（サンマーク出版）。

この本の著者である栗城史多は
これまでに世界六大陸の最高峰に単独・無酸素で登頂している登山家で
現在は七大陸目にして世界最高峰であるエベレストの単独・無酸素登頂に挑戦中です。

エベレストの標高は８，８４４ｍ。気温は−３０℃以下、酸素量は地上のわずか３０％。
この山に単独・無酸素で登るというのは命を捨てにいくようなものであり
過去にそれを成し遂げた人物は
世界でもっとも有名な登山家であるラインホルト・メスナーただ１人。

世界で２人目の偉業を達成しようという栗城氏ですが、
実は彼は、今月２８歳になったばかりの、一見どこにでもいそうな若者です。
さらに数年前まで登山に興味などなく、ひきこもりの生活をしていたほど。
寒いところは嫌い。
身長１６２センチ、体重６０キロという小柄な体。
肺活量と筋肉量は平均男性以下。

もともと登山が好きだった私は
自分と似たような体格で同年代のアルピニストが
とんでもない偉業を成し遂げようとしていることに興味を持ち
この本を手に取りました。

ところが読み進めていくにつれ
この本は私の期待していた「登山本」ではなく
「自己啓発本」であることがわかりました。

彼は、エベレストに登るという自分の夢を通して
「一歩を踏み出すだけで、今まで無理だと思っていたことも実現に近づいてくる」
ということを多くの人に伝えたいのだと語っています。

私はこれまで、いわゆる自己啓発本というものを敬遠していました。
なぜなら、私の持っている自己啓発本のイメージというのは
「こんな考え方をしてみたら人生がうまくいく」
などという言葉が並べられた本であり
確かにそれらの言葉に感動したり勇気づけられたりするときもあるけれど
そこからは何かを実現するために必要なはずの
努力や苦労などのエピソードを読み取ることはできず
リアリティがないと思っていたからです。

しかし、この本は私の胸に響きました。

この本の最後で、彼はこう語っています。
「僕の夢は叶わなかった」
スポンサーを集め、エベレストに登るための膨大な資金提供を受け
多くの人に支えられ、応援されながらも
彼の挑戦は失敗に終わったというところでこの本は締めくくられるのです。

「言うは易し、行うは難し」
上っ面だけの言葉ではなく、実際に挑戦し、失敗したこともさらけ出し
現在も夢を叶えようと努力を続けている彼の文章だからこそ説得力があり
そこからは“リアル”を感じることができました。

叶えたい夢や目標がある方、
自分が本当にやりたいことが何なのかわからないという方に
読んでいただければと思います。

ナマステ。


２３周目：「安田のおばあさん　（テーマ：私から皆さまにお伝えしたいこと）」
２４周目：「外国文学から学んだこと　（テーマ：私から皆さまにお伝えしたいこと）」