トップが語る、「いま、伝えたいこと」

　正直に言いますと、先週の原稿は２月１４日の舩井幸雄の社葬の前に書いたものです。あれほどの大雪になるとはまさか思っていませんでしたので、「お寒い中ご会葬いただきましてありがとうございました」とあっさりした表現になってしまっています。原稿を書いている時には、「足下の悪い中」と書こうかどうか迷いましたが、あそこまでの大雪になるとは想像もしていませんでしたので、本当にびっくりしています。
　ご遠方からご参加いただいた方もたくさんおられたと思いますので、中にはなかなかお帰りになることが難しかった方もいらっしゃると存じます。本当に大変な思いをさせてしまったこと、お詫び申し上げます。翌週になって、本当はご会葬してくださる予定だったが、悪天候のため翌日の仕事のことを考えると参加できなかったという方から、多くのご連絡をいただきました。
　にんげんクラブの会員専用ページのウィークリーレポートに、この信じられないぐらいの悪天候も、気を引き締めていかなければ大変なことになるぞという私たちに対する戒めだったのではないかと書かせていただいたのですが、そうだとすればこの悪天候は、亡き父の意思だったことになりますので、本当に申し訳ない思いがしています。

　これも怒られてしまいそうなエピソードですが、３年前の東日本大震災当日、父は東京の事務所に来ていました。地震が起こる十数分前、あることで私に対して珍しく手を震わせるぐらい激しく怒っていました。その時、一緒にいた人と「地震の原因はあの時の会長の激しい怒りに違いない」と話していたのですが、これも２万人以上の方がお亡くなりになったことを考えると、不謹慎にこんなところで書くべき話題ではありませんが、そうかもしれないとみんなが一瞬思ってしまう所が、父がすごかったということの現われだったと思います。

　冗談はこれぐらいにしようと思いますが、今回の大雪は本当にびっくりするぐらいのものだったようで、雪が降ってから４、５日経っても外部との行き来が遮断されてしまった孤立集落状態が解消されていない所があるようですし、山梨県は県全体が火曜日の夜まで、実質的に外部と遮断されており、甲府の大きなデパートの食品売り場の商品が売り切れてしまって何もないような状態になったことが報道されていました。
　甲府で過去の最悪の記録を６倍も塗り替えるような大雪になったそうで、それこそ想定外の出来事で、対応が後手に回ったことが解決の遅れている大きな原因のようです。ちょうどソチオリンピックの時期と重なり、孤立していることに対する報道があまり大きく取り上げられなかったこともあり、政府の方も危機感が足らなかったようで、例えば、安倍総理は天ぷらを召し上がっていたそうで、インターネットを見ていると天ぷら辞任しなければいけないという笑えないエピソードが紹介されていました。
　本当に世界中で天候の大異変が頻発しており、いままでと同じ感性で事に対処していたら、とんでもない大きな問題になってしまうのかもしれません。
　この辺りの感性に優れているのが、私の周りでは本物研究所や船井メディアの佐野浩一社長です。社葬の当日も朝の段階で、母が熱海まで帰れなくなることを予想して、その段階で伝手の効くホテルに部屋を何とか押さえてもらう交渉をしたので、東京に宿泊することができ、かえって父との思い出に浸ることができましたが、そうでなければただでさえ疲れが溜まっている母が大変な思いをしなければならないところでした。

　総理大臣のような国のリーダーはもちろんのこと組織のリーダーは、これからは想像できないような危機が突然起こる可能性が高くなっていますので、その時の危機管理能力が問われることになります。不思議なことに、日本は社会党の村山総理の時に阪神大震災が起こり、民主党の菅総理の時に東日本大震災が起こりました。どちらかと言うとマイナーな政党が政権を取っている時で、官僚のコントロールがあまりうまくない、リーダーシップが弱い時に大災害が起こります。
　そういう意味では、現在の自民党の安倍内閣は小泉内閣以来の強力政権で、ジンクスから言えば、大災害は起こらないのかもしれませんが、それでも、今回の油断を教訓にして、いつでも危機に対応できる能力を磨いておいて欲しいと思いますし、会社レベルにあっても佐野社長のような感性を磨くか、危機管理能力が高い人材を組織的に使いこなす準備が必要になってくると思います。
　非常時は、最後はリーダーの個人的な能力の高さがストレートに繁栄します。やはり、いまは強いリーダーが望まれる時代になってきたようです。ただ、仲間を何があっても守ってくれるという優しいリーダーシップが兼ね備わっていると最高ですね。
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