トップが語る、「いま、伝えたいこと」
お花見のあとはお葉菜見、と聞いたことがあります。新緑の葉っぱのみずみずしい輝きを味わう間もなく、国内を精力的に飛び回る日々が続いています。
こちらのコラムで書かせていただく内容は旅先でこまめにメモをして、できるだけ時系列に……と思っているのですが、前後してしまうことをどうかお許し下さい。
先日は名古屋で「カンタティモール!」という映画の上映会のあと、監督をされた広田奈津子さんとトークイベントをさせていただきました。
ゆったりとした南の国、東ティモールは、独立までに30年、インドネシアからの軍事的に傷めつけられていました。虐殺などすさまじい迫害を受けたのに、独立を果たした後の東ティモールの人々はインドネシアを、特に個人的に残虐行為を行ったインドネシア兵士を恨みませんでした。
欧米諸国が虐待の事実に基づきインドネシアに対して経済制裁をしている中でも、石油の権益を確保するためにODA(政府開発援助)を提供し続けていた日本のあり方に日本人として複雑な思いをもち、広田監督は20歳代半ばの若さでカンティモールに入り、このドキュメント映画を撮りました。淡々とした世界観の中に、人を「許す」「赦す」、私とあなたの一体=ワンネスの心が次第に胸に迫ってきます。
お話させていただいた監督ご自身のお人柄も、30代前半の女性とは思えない、しずかな覚悟を感じさせる方でした。
「ゲリラ戦に勝つ、この現実を決して恐れるのではなく、ただただ受け止める。東ティモールの人の、『悲しみはいつまでも消えないけれど、それは怒りじゃない』とすべて愛で受け止める姿勢に大きな影響を受けました」との言葉に、私自身も深い感銘を受けました。口コミだけで、静かな感動のブームを呼び、全国各地で上映会が開かれている映画です。皆様も機会があればご覧ください。
数日して、今度は大分の国東(くにさき)半島に行きました。なかでも両子寺(ふたごじ)、三浦梅園の生家と博物館などに感銘しました。それは豊かな太陽が降り注ぎ、いにしえの豊穣の里を訪ねる旅でもありました。そして出会う方々の細やかで穏やかなお人柄に接しました。まさしく、美しい里との出会いだったのかも知れません。
大分県の東北部である国東半島は、景行天皇が筑紫(福岡県)から討伐のため、周防(山口県)に渡り、そこから船出するときに「彼の見ゆる若し国の埼(さき)ならむ」と詠まれたことが「くにさき」のおこりで、時代とともに『国前』〜『国埼』〜『国東』となったようです。
一方、国東半島一帯は奈良時代から平安時代にかけて、仏教(天台宗)に宇佐八幡の八幡信仰(在来の民間信仰)を取り入れて(神仏習合)、『六郷満山』と呼ばれる仏教文化が形成されました。『六郷』とは、当時の国東半島の六つ郷、安岐(あき)、武蔵(むさし)、来縄(くわな)、国東(くにさき)、田染(たしぶ)、伊美(いみ)をいいます。
『満山』とは、「本山」=衆徒の学問、教育のため寺を宇佐神宮近くに(8ヶ寺)、「中山」=山岳研修の道場で山岳地域に(10ヶ寺)。「末山」=行者の修験道場・憎と大衆が接する所で、宇佐神宮から離れた平野に(10ヶ寺)。合計28ヶ寺が建立されて(合計28ヶ寺)、これらを本寺として、その下に末寺37ヶ寺があり、最盛時計65ヶ寺が国東半島の『六郷』に散在していました。
なかでも、両子寺では、若いご住職に出会い、その穏やかな和顔と包み込むような話し方に魅了されました。
両子寺は718年(養老2年)に仁聞菩薩によって開創されました。江戸時代は『杵築藩』の祈願所でもありました。(古事記編纂712年)天台宗別格本山六郷満山総寺院両子寺を案内された境内で、仏像に、野に立つ石仏に、これまでの歴史的時間が静止するような衝動にかられました。それは約1300年間の寺院の栄枯衰退、庶民の手で守りぬかれた国東文化、いにしえの素朴な息吹が、その時代時代に祈りを捧げた民衆の想いと重なり、織り成す新緑の調べにのって私に語りかけてきたのです。この出会いに心から感謝しなければなりません。
三浦梅園の博物館では、盤若心経と同じような梅園の「一即一一、一一即一」という思想の資料を時間をかけて見てきました。
梅園は、思想家で、本業は医者で、ほとんど国東半島を離れることのなかった人です。 詳しい梅園の経歴は字数の関係で省略しますが、上記の盤若心経的な教えをわかりやすく梅園流に書かれた解説に接し、父・舩井幸雄の訴え続けた「勉強好き」の教えは、形を変えた盤若心経だったのかも知れないとの思いが心をよぎりました。
私たちは様々な状況のなかで、その事実や状況を『知る』ことによって、自分の考えや行動が動かなくなることがあります。きっと『知る』ことは人間の行動を支配する力があるのでしょう。仏教では『知る』ことを『悟る』といいますが、『悟る』とは心の底からはっきりと知ることでしょう。
『悟り』の反対の状態は『無明』というそうですが、その意味は『無知』だそうです。
つまり『知らない』という状態のことです。仏教では『無明』の状態にいる人間が『悟り』の状態に移行することを目指していますが、そのことを普通の言葉で言い換えるならば、『知らない』から『知る』への移行ということだそうです。つまり私たちの行動の仕方、生き方を変えようとすることだそうです。
いよいよ最新作『チェンジマネー〜お金の価値を決めるのは日本だ』が発売されました。
はせくらみゆきさんとの初めての共著で、おかげさまで出足も好調です。5月25日には東京ではせくらさんと私の出版記念コラボセミナーも開催されます。当日ははせくらさんのお金に関するスペシャルワークタイムも予定されておりまして、残席がたいへん少なくなっています。書籍についてはこちら、セミナーについての詳細についてはこちらをご覧ください。
お金がほしいという気持ちの目的は、人それぞれだと思いますが、事業を永続的に成功させたいとの想いで一生懸命に取り組まれている経営者、ビジネスパーソンの方もたくさんこのコラムを読んでくださっていると思います。父・舩井幸雄は、独自固有の長所伸展という言葉をよく用いていました。
長所伸展とは「強みを活かす」ということであり、思い切って自分の長所のみに目を向けて集中するという考えでした。
先日も千葉の講演でお話させていただきましたが、船井総研は独自固有の長所を持っているので、右上がりの成長企業を続けていられます。自分の独自固有の長所を活かすことで、自分を活かし、他人を活かし、世のため、人のためになるような行動ができる人間になる。そんな集まりを「人財」というと父は繰り返し説いていました。
そんな父の教えを実践し、行動してくださっている皆様に各地でお会いするたびに襟を正し、新たな精進を自身に言い聞かせる日々です。
何度かお知らせしていた「舩井☆SAKIGAKEフォーラム」(11月4日・5日 パシフィコ横浜)の一般登壇者募集の締め切りもいよいよ2014年5月9日(金)13時までに迫りました。選ばれた1名の方には、この2日間のいずれか1日、パシフィコ横浜の国立大ホールもしくは国立大ホールN101号室のいずれかにて50分ほどの登壇をしていただきます。
この応募要項の第1条件に「舩井幸雄の哲学に共感し、公序良俗に反しないテーマでお話いただける方」とありますが、独自固有の長所を持ち、父が大切にしていた「素直、プラス発想、勉強好き」の方なら、講師の経験、未経験を問わず大歓迎です。この機会にぜひ挑戦していただけたらと思います。応募はWEBからになります。詳細はこちらより。
どうぞよろしくお願いします。
=以上=
2014.05.19:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】親日国台湾 (※舩井勝仁執筆)
2014.05.12:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】お金で買えないもの (※舩井勝仁執筆)
2014.05.05:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】赦しと悟り (※舩井勝仁執筆)