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トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2017年12月18日
現代の忍者 (※舩井勝仁執筆)

 自民公明の両党が来年度の税制改正大綱を決定しました。年収が850万円以上の給与所得者を中心に2800億円の増税になるようです。若い頃ですが、経済評論家の藤原直哉先生に新聞で読むところは税に関するところを読めばいい。それが、政府が何をしたいかのメッセージになるので、世の中の動きを見るにはそれが一番いいと教えてもらったことがあります。藤原先生が自民党の大物政治家と直接話をしていたころで、なるほどなあと納得したことを思い出します。そう考えると、どうも年収の高いサラリーマンをターゲットにする税務当局の戦略が見えてくるような気がします。
 当時と比べて、税収が大きく不足するようになっていて、政府からすると取れるところから取ろうという姿勢が明らかになっています。煙草を吸う方はいつも真っ先に犠牲者にされて増税がどんどん進んでいきますし、国際観光旅客税や森林環境税など、大義名分があって抵抗が少ない税金がこれからもどんどん考えられるようになるのは間違いないと思います。本当は竹田和平さんがおっしゃっているように、税体系をシンプルにして、その代わり誰も節税なんていう後ろ向きのことを考えない世の中がくればいいのですが、我が身を振り返っても節税を考えているのは紛れもない事実で、世の中は難しいものですね。
 ただ、足下の景気は少なくとも東京では悪くないようです。親しい税理士の先生が、タクシーの運転手さんまで景気が良くなったというようになったので、そろそろバブルの崩壊(?)を心配した方がいいですよ、という話をしてくれました。確かに、朝の通勤時間や夕方の時間、さらに雨の時などはタクシーがつかまらないような実感があります。ただ、小川雅弘さんに話すと、高知ではまったくそんな実感はないと言っていましたので、まだまだ都会限定なのかもしれません。

 多作で知られる佐藤優さん。書店に足を運ぶたび、新刊が並んでいるのに目を見張ります。すべての著書に目を通せてはいませんが、書棚を整理していてこの2冊は皆さんにお勧めしたいなと思ったものがあったので今回ご紹介します。

『世界政治 裏側の真実』(日本文芸社)
 今年の秋に出た副島隆彦先生との対談本ですが、これがとても売れているらしいです。
 対談本は、本によれば冗長な印象を与えるものがありますが、本書は究極の「掛け合い芸」とも思える2人のやり取りが面白くて、あっという間に読めてしまいます。
 北朝鮮、トランプ政権……副島先生の「表には出せない」系のお話がどんどんヒートアップしていくのを、ためらいもなくけん制するクールな佐藤さん。これは編集段階での技なのかもしれませんが、実はとても上手に副島ワールドを引き出しているのは佐藤さんなのかなとも思えてくるのが、不思議です。サブタイトルというかタイトルの枕詞として、「忍者・佐藤優と狂犬・副島隆彦の手裏剣対談」と銘打たれています。副島先生が、この枕詞を考えたらしいのですが、佐藤先生の正体を見事に表現しているなあと感じました。
 「ザ・フナイ」でも圧倒的人気の副島先生ですが、読者のなかには「振り切った感」が苦手な方もいらっしゃると思います。しかしこの書の中で、佐藤さんのバランスフィルターを通して読むと、副島ファンに転向される方も多いのではないかと思います。

『資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ』(NHK新書)
 私の最も尊敬する、『資本論』研究の日本の第一人者、故・宇野弘蔵先生の「マルクス経済学」をベースにかかれた1冊です。宇野先生は、共産主義革命を起こす考えのマルクス研究者のイデオロギーに異議を唱えた人です。「資本論」を単なる共産主義の原典とはとらずに、経済学研究の原理原則の書ととらえています。
 その研究対象の次元の差に基づいて「原理論・段階論・現状分析」の「三段階論」で分けています。本書も、この宇野が提唱した「三段階論」をしっかりと検証しながら、資本主義の変遷についてわかりやすく解説しています。この本が刊行されたのは、昨年ですが、安倍政権に言及したあたりも是非目を通していただきたいです。

(引用開始)
 結局、安倍政権が意図していることは、資本主義社会を維持するために、女性をどう“利用”するかということでしかありません。だから一方では「全ての女性が輝く社会づくり」と言いながら、改正労働者派遣法を成立させて、不安定雇用を強化しています。非正規社員の約七割は女性ですから、安倍政権の本音は、システムを調整弁として女性を活用したいというところにあるわけです。
(引用終了)


 佐藤さんの本は、国際情勢、金融経済、そして自国のありかたについて、各国の歴史をひもときながら、縦にも横にも広くいっぺんに整理できるところが、読者側とすると読み応えがあり、ヒットを飛ばしている理由だと思います。宇野弘蔵先生のことを記していましたら、経済評論家で埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫先生のことを思い出しました。佐藤優さんも若いころに教えを受けていたようです。こちらは来週にでも触れてみたいと思います。
                                           =以上=

バックナンバー
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