トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
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2021年9月6日
地球を守れるのは、私たち自身です! (※佐野浩一執筆)

 SDGsの目標である17項目の12番目に、「つくる責任 つかう責任」とあります。これは、つくる側=企業、つかう側=生活者ともに努力して、この地球環境をよくしていこうという目標です。もちろん、これは政府主導で行われなければならないこともたくさんありますが、やはり、企業側、生活者側ともに、「いまだけ、自分だけ、お金だけ」と目先のことだけを考えて行動するのではなく、自らの意思でアクションを起こすべきことだと考えます。
 環境省と経済産業省は8月23日、プラスチックの使用量削減やリサイクルを促進する新制度の具体案を示しました。約1年前のレジ袋の有料化に続く、ゴミ削減を目指した第2弾とも言える対策で、特に目を引いたのが「特定プラスチック使用製品」についての規制案でした。
 レジ袋有料化の結果、レジ袋を辞退する人の割合は70%以上に達し、有料化導入前の3倍程度に増えました。あたりまえに無料で配布されていたプラスチック製のレジ袋は、たとえばSサイズ2円、Mサイズ3円、Lサイズ5円というように、消費者が「断る」か「購入する」スタイルとなりました。以前から、「マイバッグ」の普及は声高に叫ばれていましたが、それでも7割の人がレジ袋をもらっていました。それが逆転したことは大いなる成果だと思います。
 その一方で、レジ袋の代わりとなる家庭用のポリ袋の購入量は増えていて、プラスチックごみをどう削減するかが引き続き課題となっているのです。しかも、まだまだ、根本的な意識は十分に変わっていないとも理解できます。コロナ禍になって以来、ウーバーイーツをはじめとする宅配やテイクアウト全盛の時代になりました。プラスチック容器、スプーン、フォーク、ストローなどの使用量が激増しています。これもまた、環境に対しては大きなマイナス要因となっていると考えられます。
 導入当時、レジ袋有料化には批判もありました。レジ袋の廃棄プラスチックに占める割合は、たった2%。「ほとんど影響がないじゃないか!」と批判する声もありました。しかしながら、SDGsの実践、つまりは持続可能な社会づくりを目指していく上で、何より大事なのは「意識」です。プラスチック包装容器や家電、廃建材など、もともともっと大きなカテゴリーについて大きく5つの法律で規制をし、全体の65%に網をかけたうえでの残りの廃棄物への規制として取り上げられたレジ袋の有料化。一方で、ストローも続々と紙製のものに変わってきています。紙袋も有料化に踏み切る会社やお店も増えてきています。「エコに敏感な企業」という印象を与えるための方策……と、否定的な見解もあるようですが、少なくとも、私たちの意識の改革のきっかけとして、それなりの成果は得られたのではいかと考えます。
 そこで第2弾として、矛先が向けられたのが「特定プラスチック使用製品」です。これは、企業が消費者に無償で提供してきた12品目のプラスチック製品を表す総称です。
 なぜプラスチックを減らさないといけないかというと、マクロに言えば、プラスチック自体が「自然に帰らない」からです。少々違和感を感じた方もいらっしゃると思います。「どうして、自然に帰らないといけないのか?」それは、これらがまだ「資源ゴミ」として回収されてリサイクルされるのならばまだマシ(*リサイクルには新たな地下資源が必要となります)ですが、残念なことに多くは路上に捨てられ、それが川や海に流れ込み、マイクロプラスチックとなって、海の生態系を汚してしまうからです。白鳥哲監督の映画「ゼロ・ウェイストプラス」によれば、「もう、海水はマイクロプラスチックのスープのようになっている」と警鐘を鳴らしてくださっています。マイクロプラスチックだけでなく、レジ袋やプラスチックの各種製品も海に流され、クジラなどがそれらを誤って食べてしまい、死んでしまうという悲劇もあちこちで起きています。そして、これらの状況は、いずれ私たち人にも影響を及ぼします。もちろん、人に影響が及ぶからよくない……とするのではなく、同じく生きとし生けるものとして、やってはいけないことを「人間だけ」がやっているという事実を知り、行動を変える必要があるのです。
 さて、今回の規制対象となるのは、スーパー・コンビニや飲食店のテイクアウトで提供されるプラスチック製のフォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストローの5品目。ホテルや旅館が提供する、歯ブラシ、ヘアブラシ、くし、使い捨てかみそり、シャワーキャップの5品目、そしてクリーニング店で提供される、ハンガーと衣類カバーの2品目。これらを削減する試みをそれぞれの業界の主だった事業者に義務付けようというのが、今回の法案です。
 日本国内で排出される使用済みプラスチック廃棄物のうち65%は、すでに家電リサイクル法や容器包装リサイクル法などの法律で回収フローが整備されつつあります。一方で、残り35%を占めるその他の製品は、個別リサイクル法の対象外で可燃ごみとして処理されているわけです。今回の対象12品目の特定プラスチック使用製品は、レジ袋の有料化と同じで、使っている事業者がわかりやすいため、そこにメスを入れるのは一定の効果が上がることになると判断したようです。
 今回の特定プラスチック製品規制案について、効果以外にもう1つ議論を呼びそうな点が、規制についていくつかの「限定」がある点です。
 まず、これら特定プラ製品の年間使用料が5トン以上の大規模事業者に限定されるということです。イオンやセブンイレブン、マクドナルドやスターバックス、東横インやスーパーホテルなど大手の事業者はこの対象になりそうですが、地元の小さなスーパーや飲食店や旅館などは対象外になりそうです。
 また、有料化だけでなく、事業者側には、消費者が特定プラ製品を受け取らなかった場合のポイント還元、受け取る意思確認、再利用、代替素材への転換などの選択肢があります。ですから、今までと同じオペレーションでも「対策を講じた」と認定される事業者が出てきそうです。たとえば、ホテルなどで「アメニティーが不要な方はフロントまでご連絡をください」などと、プレートが置かれているところがありますが、これでもオッケーとなる可能性があるということです。
 ただし、4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行されることで、少なくとも大手企業全体が一斉に動き始めます。つまり社会全体へ一気に影響を与えることになりますから、その変化はいまから楽しみです。
 全体の2%の効果しかないレジ袋の時でも、あれだけエコが話題になったわけですから、こういった生活に密着したところでの12品目が引き起こすさまざまな無料提供の終了は、さらに国民全体に「これからは環境に配慮したライフスタイルをもっと徹底していかなければならないんだ」というメッセージを伝える大きな効果に期待したいと思います。
 生活者である私たちも、この際、さらなる意識の変革が促されますし、必要となってきます。「ムダなもの」「代用できるもの」「すぐに捨てられるもの」は要らない!と、強く意識できたらいいですね。あまり触れられていないように感じるのですが、スーパーなどで使用されている食品用のプラスチックトレーも止めていく必要があります。容器包装リサイクル法によって回収し、リサイクルされている事例もありますが、まだ回収率は約20%。多くはやはりゴミになっています。これらの包装容器は、プラスチック廃棄物として出る使用済み製品の約42%を占めていますから、インパクトは大きいはずです。
 ともかく、この地球環境を、未来の子どもたちに少しでもよいカタチで残していくうえで、社会全体を「持続可能なもの」へとシフトしていかねばなりません。プラごみを削減すると、温室効果ガスを生む化石燃料使用を抑制できます。産業革命以来の地球の平均気温上昇を2030年までに1.5度以内に抑えるには、プラスチックのような化石燃料由来製品の使用や、可燃ごみとしての処理量を減らしていかなければなりません。  
 そしてもう1つは、先述したように、海洋汚染のもととなるマイクロプラスチックの供給源をしぼる狙いです。太平洋側の海岸線に打ち捨てられた日本のプラごみは、海流でアメリカに到達してマイクロプラスチックとなり、海の生態系を悪い方向へと変えていきます。プラごみの削減にはそれを抑える効果があります。
 持続可能な社会づくりはもう待ったなしの状況まで来ています。政府主導の取り組みと並行して、事実を知って、アクションを起こしていくことが何より大切です。地球なしには、私たちは生きていかれません。そして、この地球を未来の子どもたちにとって住みよい場として残してあげることが、今を生きる私たちのミッションだと考えます。
 地球を守れるのは、私たち自身ですから。
                      感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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