トップが語る、「いま、伝えたいこと」
金融相場という観点で物事を見ていくと、市場vsトランプ政権という対決構造が明らかになってきました。市場関係者を驚かすような高率の相互関税の発表をしたトランプ大統領に対して金融市場は株式、為替、債券、金、暗号資産などすべての市場での叩き売りを余儀なくされる阿鼻叫喚の状態になり第一ラウンドはトランプ政権の勝ちということになりました。しかし、アメリカ国債の金利が上がり続ける(価格は下がり続ける)という状態はアメリカの金融面での優位性(簡単に言うと基軸通貨であるということ)を脅かすことになり、実質的には中国を除く国に対しては90日間の棚上げを発表したことはマーケットの勝ちなのかもしれません。
それによって、株式市場は急回復したのですが、中国との貿易戦争が本格化する懸念から1日で暴落(乱高下が当たり前になっていて驚かなくなってしまいましたが、NYダウが場中に2000ドル以上、終値でも1000ドル以上下がっているのはやっぱり暴落だと思います)してしまいました。中国も引くに引けなくなってきており、最悪のシナリオは中国が米国債を売り浴びせることによって本格的な金融クラッシュが起こってしまうということです。実は、マーケットでは日本勢も米国債の売却を進めているという記事が出ました。多少、円高方向に進んでいるとは言え、まだまだ為替差益が充分に出る水準なので、利益を確定するために早めに売りを出すのは投資家としては合理的な行動になります。
対話ではなく、もはや恫喝という手法を取り始めた米政権に対しての信頼感は同盟国である日本の機関投資家でも持てなくなっており、ましてや公然と敵だと名指しされている中国は対抗するためには何でもやるというステージに入っているのかなと思います。いままでは、長期投資を身上とするのならば値段の乱高下を気にすることなくコツコツと投資を続けるべきだという立場で情報発信をしてきましたが、さすがにここまでアメリカ政権が市場に対して無茶をやるならいったん手仕舞って流動性の高いもの(現金に近いもの)で保有しておくことも考える必要があるのかなと感じています。
こういう時は、私を含めて他人の情報に振り回されるのではなく、自分の軸というか基本的な方針を持ってそれを信じて行動することが大切です。逆に言うと、覚悟を試されることによって確固とした相場観を作り上げるチャンスが到来しているのだととらえることが大事だと思います。自分の軸があれば、失敗したら原因を考えて修正していけばいいだけです。他人に頼っていたら修正できずに寄りかかり続けて損失を膨らませることになってしまいますので、本当に一生懸命に考える機会にしていただければと思います。
今週紹介するのは森井啓二著『神の国日本の食と霊性 神々と繋がり身魂を磨く最高の叡智』(きれい・ねっと)です。前半のトランプ大統領が作り出している大混乱とは一見何の関係もありませんが、こういうときこそ本質的に生きるためにはどうすればいいかを考えておくことがとても大事になると思います。森井先生の著作は何度かご紹介させていただいていると思いますが、どうしたら本質的な内容をこれだけ深く伝えられるのか、いつも驚いています。
食事は人間が生きる為に必要な行為であり、生活の一部として当たり前になってしまうが故に向き合い方が適当になってしまいがちです。自炊にしろ、外食にしろ、簡易で安価なものを探すことは容易な時代であり、宅食やインスタント等のより便利で効率的な方法へ向いている方も多いのではないでしょうか。舩井幸雄に何らかの興味があって読んでいただいている方も多いので、そんな方は逆にこだわり過ぎて大変になっておられる方もいらっしゃるかもしれません。本書を読んでいると食材やそれを作っている生産者への感謝等、本来なら日本人にとって当たり前におこなわれていた事が、若い世代には浸透しきっておらず、私たちのような中高年世代でさえかなり失われてしまっているように感じます。
現在の食に関するシステムは非常に便利なものですが利便性に依存しすぎた結果、大事なものを失ってしまった部分も多くなってしまいました。きちんとした食事をするために必要な部分を呼び覚ますための術を教えてくれ、本来神聖なものであるとされる食事にきちんと向き合う意味と方法論が記されているのが本書の特徴です。
食事に対しての意識を高めることに対してスピリチュアル的な要素のみでなく、科学的なアプローチも併用した理論が書かれており、非常に興味深い面白いものです。正しい食事の摂取方法、自らの身体や環境に合った物(地元産の食材)を食べることの大切さ、よく噛んで食べる、旬の食材を選ぶ、特に一粒一粒のお米を大切にするなど、つい忘れがちですが当たり前で大切な要素について丁寧に書かれています。基礎的な食材の持つ効能についても触れられています。醤油、味噌、塩、砂糖、酢、油など、当たり前に使われるものであるからこそそれらがどのような効能を持っているのかを見逃しがちな材料についても詳細な解説がされており、これらは料理をする際の新しい見識もたらしてくれます。
また日本の伝統的な料理が納豆や漬物などの発酵食品を含めて食わず嫌い的な若い方に向けた良いアプローチにもなるでしょう。また現代的な食の問題点についても触れられ、何らかの改善が必要な方の助けにもなってくれるはずです。言い回しや表現は博識の森井先生の真骨頂で少し独特ですが、全体的に食生活の改善を助けてくれる知識が多く掲載された一冊なので、豊かで本質的で健康的な暮らし方に興味のある方にはおすすめの一冊になると思います。食から整えて、目の前の出来事に振り回されずに一喜一憂しなくなれば、トランプ大統領の大変革に本質的に向き合っていく準備に繋がっていくのだとも感じています。
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2025.04.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】リキッド消費について考える (※舩井勝仁執筆)


舩井 勝仁 (ふない かつひと)
![]() 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち)![]() 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |
