トップが語る、「いま、伝えたいこと」
先週の前半は、あまりにも速い株価の上げるペースを警戒してスピード違反状態だからブレーキを踏むような感覚で株価は調整局面を迎えたのですが、財政積極派の高市総裁誕生という総裁選挙の結果をある程度織り込んだのか、金曜日にまた加速度を付けて最高値を更新しました。本質的な懸念としてFRBに対して執拗に介入を試みるトランプ大統領同様の傾向もあると言われている高市総裁ですが、ニュースとしての高市総理実現の可能性大に素直に反応したようです。噂で買って事実で売る、という投資格言もあるので週明けの相場がどうなるか注目していきたいと思います。
(10月6日(月)の9時過ぎの相場は大幅な円安と株高になっていて高市トレードが始まった感が出ています。完全に私の予想を超えた動きです)
ただ、もっと顕著なのは金(ゴールド)やビットコイン等の暗号資産の高騰で、日米両政府を含めて政治は信用できないので、政治家の範疇を超えている資産への資金の流入が起こっていることも注目しておかなければいけない点だと思います。ただ、マーケットの大きさや流動性の確保などを考えると、やっぱり株式市場の優位性は明らかなので、こわごわではありますが、株価は傾向としては上がり続けるように感じています。少し前までは、高市総裁だと総理に選ばれない可能性まで言われていましたが、ある程度の妥協をされたので麻生氏が推したのだと考えておくのが妥当かなと思っています。
日銀とのバランスにまで口を出さないと考えられるので、ある程度の安心感はあるのかもしれません。ただ、元々の強みであった岩盤保守層の期待を裏切るようなことになると、これはこれで政権の安定性がなくなることになりますので難しさを背負ってのスタートにはなります。15日と言われている総理選出が実現したら、アメリカの例ならしばらくはハネムーン期間を設けて、スタートダッシュを見守るという成熟さは日本の政治もそろそろ持った方がいいですし、尊敬されているサッチャー元英首相のような大政治家になる芽を摘まないようにする見極め期間は必要なのだろうなと思います。
相場に話を戻すと、株の買いの材料になっているAIに代表されるハイテク技術関連の銘柄の高騰が目立ちます。このトレンドに追随するのはこの分野の知識がそれほどない私には怖い感覚も個人的にはありますが、知見のある方はそこを追求するのもありなのだと思います。
インターネットの時代からAIの時代に入って、志向する方向性が明らかに変わってきたのかなとも感じます。公明党の連立離脱の可能性等、高市総理選出への道のりや選出後の国会運営がうまくいくかどうかなど、不確定要素もたくさんありますが、まずは日本で最初の女性総理大臣誕生を素直に喜びたいと思っています。AIの時代に入っていくと、多分女性の柔らかな感性がいまよりも重要視されるようになると思っています。サッチャー英元首相にあこがれて政治の道に入っていった高市総裁が本家を超えるような活躍をして、日本がまた輝いていけるような強い国にしてくれることを願いたいと思います。
そんな流れの中で、今回紹介するのはシバタナオキ著『アフターAI 世界の一流には見えている生成AIの未来地図』(日経BP)です。著書は、シリコンバレー在住のベンチャーキャピタリストで、最もAIがこれからどうなっているのかを分かっている日本人のおひとりだと思います。物凄いスピードで多種多様な業界で活用され始めているAIの未来について、スタートアップ企業へ投資を通じて造詣の深い著者が紹介していくものです。
AIは社会に深く浸透し、正しい、効率的な使い方を求められる時代になっているという前提が語られています。もうAIを無視するのは難しく、そこで乗り遅れてしまうと企業として立ち行かなくなりかねない。どうすれば世の流れに乗ることができるか、活用できるのかを、実際の事例を元に様々な解説がされています。もはや人間を助けるのではなく、AI自体が主として動くことのできる時代であり、営業やカスタマーセンターなど人間が必要であると感じられる部分でさえ活用が進んでおり、人間の代替や効率化の可能性がより広がっていることが理解できます。既存とは違う視点のデータ分析などにより、より効率的な活動の支援も可能であり、これは日本型の営業では非常に効果を発揮すると記されています。
人事などにも活用が可能であり、どのような配置をすればより効率的に人を動かすことができるのか、AIを動かすのではなく、もはやAIに人間が動かされる時代がそこまで迫っていることを教えられます。便利なモノでありながら、立場が逆転したとさえ思わされる活用法の数々。有り難くもあるのですが、雇用が奪われる不安、それだけではなくフィクションで語られるようなAIに社会が乗っ取られる心配さえ感じられます。そうならない為にも我々も日々研鑽し、AIへの正しい向き合い方を考えながら、負けないように自らを高めていく必要があるのかもしれません。
ムーアの法則(集積回路の容量は18〜24カ月で2倍になり、価格は半分になる)の効果で半導体の性能は30年で100万倍になったそうですが、ここ15年でAIの複雑度は1億倍になったというマクロな視点も紹介されています。AIがシンギュラリティを超えるのか、(たとえ疑似でも)意識や感情を持つのかという議論も、要はデータ量の問題で、そんな事態も早晩やってくることは間違いないということもさらりと書いているように私には感じられました。
人類がその時にどんな役割を果たすのかを考えるべき時代にとっくに入っていることと、そんなタイミングで、日本で初めての女性が国のリーダーになる時代がやってきたことと合わせて考えていくとなんだかワクワクしてきました。いままでの男性性の時代の総括を私たちの世代が責任を持ってしっかりとやりきることが大切だとも感じています。
=以上=

2025.10.06:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】アフターAI (※舩井勝仁執筆)


舩井 勝仁 (ふない かつひと)
![]() 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち)![]() 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |
