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このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
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2025年10月13日
原発に頼らない国づくり。では、どうする? (※佐野浩一執筆)

 9月11日の舩井メールクラブの記事に、「原発を国防の観点から考える」と題した、元福井地方裁判所裁判長・樋口英明先生の原稿がアップされました。樋口先生と言えば、福井地裁の裁判長として2014年5月21日に大飯原発運転差止判決を出し、2015年4月14日に高浜原発運転差止の仮処分決定を出した方。つまり、原発の危険性を司法の場で客観視し、ダメ出しをし、世に問うた方です。 
 日本での最大の地震動は4022ガル。ハウスメーカーはこれに耐えうるように住宅を建設しているといいます。日本が地震国(世界で起きる地震の1割以上が日本)であるから当然の対処方法です。ところが、大飯原発は856ガル仕様です。しかも住宅メーカーの耐震ガル数は実験を重ねているけれど、原発はそれをしていない……。簡単に言うと、一般住宅よりもはるかに低い耐震基準ということです。これで、安全と言えるわけがありません。
 さらに、樋口英明元裁判長が述べているように、原発は単なる「エネルギー問題」ではなく、もはや「国防問題」です。地震や津波、あるいは戦争やテロによって原発が被害を受ければ、その瞬間に国家は壊滅的な危機に直面します。とりわけ、54基の原発は、戦争が始まったとたんに標的となり、一瞬で国土とぼくたちの命は失われてしまうのです。福島第一原発事故の経験が示す通り、ひとたび制御を失えば、国土・国民・文化すべてが失われかねない……。それこそが、原発の真実です。
 すでに舩井メールクラブの会員であり、お読みくださった方は、本質をご理解いただいていると思いますが、そうでない方にも、(有料ですが、)できれば舩井メールクラブに登録されて、本原稿をお読みいただきたい……。お読みいただくと、原発の安全性云々の議論ではなく、そもそも「ある」だけで大問題……、もはや国を揺るがす「国防問題」であることにお気づきいただけると思うのです。
 原発推進派は、原発に反対する人に対し、必ず「代替エネルギーはどうするのか、代替エネルギーを提案しないで原発廃止を訴えるのは無責任だ」と言われると書かれていました。でも、福島原発事故後、最も電力の消費が多い東京電力管内では原発による発電はゼロです。全国的に見ても原発による発電量はたった8%程度……。もちろん、化石燃料が有限であるという観点に立てば、そうでない太陽光や風力といった自然エネルギーの導入が欧米諸国に比べてまだまだであるという決定的問題にぶちあたります。
 エネルギー問題は、こうして迷宮を彷徨うのです。

 では、どのようなエネルギーを選択すればよいのでしょうか。昨今注目されつつある「洋上風力発電」こそが、脱原発を実現しつつ、国防の観点からも合理的な選択肢になるのではないかと、その可能性について考えてみました。
 洋上風力発電とは、海上に風車を設置し、風の力で電気をつくる発電方式です。日本は四方を海に囲まれ、季節風や偏西風の影響で安定した風が吹く地域が多いという特長を持っています。特に日本海側や太平洋岸では、世界的にも有数の風況が確認されています。
陸上風力は、近隣住民に電磁波問題や風車の音の問題があり、国土が狭い日本ではいろんな問題をはらんでいます。それと比べると、洋上風力発電には次のような利点があることを学びました。

●風が強く安定している
海上は障害物が少ないため、風速が安定し、大きな発電量が見込めます。 
●大規模化が容易
広い海に多数の風車を設置でき、大規模な発電所をつくりやすい。
●住民との摩擦が少ない
陸上では騒音や景観問題が課題となりますが、洋上ではその懸念が少なくなります。
すでにヨーロッパでは、洋上風力は再生可能エネルギーの主力として位置づけられています。デンマークやイギリス、ドイツでは、洋上風力が国全体の電力の一割から二割を担うまでに成長しているそうです。
 さらに、洋上風力発電が「原発に代わる国防上の柱」になりうる理由は、大きく3点あります。
(1)分散型であること
原発は一基あたりの出力が大きい反面、その一つが被害を受けると国家的損失に直結します。これに対して洋上風力は、数十基、数百基の風車を分散して設置します。仮に一部が被害を受けても、全体のシステムは維持できます。攻撃や災害に対して「脆弱性が集中しない」ことは、まさに国防上の強みです。

(2)冷却不要で安全性が高い
原発は停止後も燃料を冷やし続けなければならず、停電や断水で制御不能に陥ります。洋上風力にはそのようなリスクがありません。強風や台風で一時的に停止することはあっても、それが国家存亡に直結することはありません。

(3)エネルギー自給率を高める
日本はエネルギー資源を海外に依存してきました。石油や天然ガスは輸入が途絶すれば即座に危機になります。しかし洋上風力は「海と風」という国内の自然資源を利用します。自国の資源で電力を生み出すことは、国防の基盤である「独立性」を高めることにつながります。

 「風力は高いのではないか」という声もあります。しかし近年、洋上風力のコストは大きく下がっています。ヨーロッパでは、原発や火力より安い水準に近づいていることを知りました。
 日本でも技術開発や送電網の整備が進めば、十分に競争力を持てると考えます。むしろ、原発事故の賠償や廃炉費用、使用済み燃料の処理費用を考えれば、洋上風力の方がはるかに合理的です。
 また、洋上風力は地域経済を潤す期待が持てます。港湾整備、風車の建設・保守、部品供給など、多様な産業が関わるからです。地域に雇用を生み、経済を活性化する点でも大きな意義があります。
 もちろん、洋上風力には課題もあります。台風や津波に耐える技術、漁業との調整、送電インフラの強化などです。しかし、これらはヨーロッパ諸国の先進的な取り組みを見ると、「技術と合意形成」で解決できる課題だと考えることができます。
 実際にデンマークやイギリスも、最初から順風満帆だったわけではありません。試行錯誤を重ねながら、制度設計や技術革新で乗り越えてきました。日本でも国の明確な方針と産業界の協力があれば、十分に実現可能です。
 原発のように「どれだけ技術を磨いてもゼロリスクにはならない」ものと比べれば、洋上風力の課題は人間の努力で乗り越えられる範囲にあると考えますが、いかがでしょうか?

 樋口元裁判長は「これ以上、幸運に頼ってはならない」と警告されました。福島原発事故も、能登半島地震も、偶然の重なりで最悪を免れたにすぎません。国の存立を「奇跡」に委ねることは、未来世代への裏切りではないでしょうか?
 一つの選択肢として、洋上風力は、まさに「幸運に頼らない選択肢」と言えます。
 自然災害が起きても、一部が壊れても全体は維持できます。
 他国に輸入を依存せず、自国の資源で発電できます。
 廃炉や核廃棄物といった、人類が数万年にわたり抱える負債を残しません。
 これほど国防的に合理的なエネルギー源は、他に多くないと思うのです。
 それに対して、原発は「自国に向けられた核兵器」です。樋口元裁判長から教わりました。ならば、ぼくたちはその危険を一刻も早く手放し、次の世代に安心して引き継げるエネルギー体制を築かなければなりません。もちろん、使用済み核燃料の問題はついて回ります。使用済み核燃料が人体に影響のない放射能レベルになるまでには、再処理を行わない場合、約10万年かかるとされています。再処理によって使用済み核燃料中の利用可能な物質を取り出した後も、放射能が低下するまでに約8,000年かかるという試算もあります。すでにぼくたちは、未来の子どもたちにこうした負の遺産を引き継がなければなりません。だからこそ、もうここで絶たないといけません。もうこれ以上はNOです!
 洋上風力発電は、その中心的役割を果たせる可能性を十分に秘めています。課題はありますが、技術革新と社会の意思で解決できるものです。
 いま求められるのは、「原発か、それ以外か」という二者択一の思考を超えて、「原発なき未来をどう構築するか」という前向きな視点です。洋上風力は、その具体的な道筋を示す現実的な答えの一つだと思うのです。
 幸運に頼らない未来を築くために……。
 一つの選択肢として、洋上風力発電の可能性に真剣に向き合うべきときが来ているように思います。
                     感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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