日日日是好日 〜熱海だより〜 -熱海秘書 相澤智子-

このページは、2009年11月から(株)船井本社 熱海本社で船井幸雄の秘書として勤務することになった相澤智子(あいざわ さとこ)によるコラムページです。
日々、船井幸雄やまわりの人たちと接する中で気づいたこと、学んだことなどを皆さまにお伝えしていきます。
2011年12月6日
日本語が『日本人の脳』を作る

   ゴンちゃんと紅葉
   (船井の自宅の庭にて)
 皆さまこんにちは。
 12月に入り、急に冷え込むようになりましたね。
 今年もあと残りわずかになってきました。
 年末はいろいろとお忙しくなると思いますが、どうぞ風邪などひかれませんようお過ごしください。 

 熱海はいま、遅めの紅葉が美しい時期です。
 熱海本社のまわりでは木々や山々が鮮やかに色づいています。
 きらきら輝いている紅葉を見ていると、日本の四季は美しいなぁと感じます。
 ゴンちゃんも気持ちがいいのか、お庭をぼーっと眺めていました。

 日本には、「もののあわれ」という言葉があります。
 枯れ葉や、欠けた月、小さな花などを見ると、何ともしみじみとした気持ちが湧いてきます。情緒や哀愁というものでしょうか。
 日本人は、命のはかなさや、小さな命に感動する心を持っています。
 この心は自然を身近なものとして感じているからこそ生まれるものだと思います。

 日本には自然との調和を重んじる文化がありますが、船井は「その秘密はどうやら日本語にあるようだ」と言っています。

 このことがよく分かる本として船井がおすすめしているのが、角田忠信さん著『日本人の脳』(大修館書店刊)です。 角田さんは船井の親しい友人です。

 角田さんは、日本人と西洋人の感性の違いは、左右の脳の機能が違うためであると述べています。

 私たちの脳には左脳と右脳があり、左右それぞれで機能が異なります。
 左脳は、言葉や計算などの知的作業を行います。
 右脳は、非言語音を感覚的にとらえるのに優れています。

 日本人の場合、自然音、虫の音、動物の声などは、言語と同じように左脳で処理しています。機械的な音は右脳で処理します。
 西欧人は虫の音や動物の声を、音楽や機械音と同じように右脳で処理しています。
 日本人にとって虫の音や動物の声は、ことばに近いものであり、西欧の人たちは工場の騒音などと同様のノイズとして脳で受けとっているようです。

 
 日本人が使っている日本語は、『母音言語』です。
 母音言語には、母音に重要な役割があります。
 たとえば、日本語では「あ、いけない」、胃(い)、鵜(う)、絵(え)、尾(お)などのように、母音(あ・い・う・え・お)だけで意味を表すことができます。
 このような言葉はポリネシア語に一部に見られるだけで、世界でもめずらしい言語なのだそうです。

 それに対し、欧米の言語は子音が主体の『子音言語』です。
 英語は、母音を省いても意味を理解することができます。
 日本語は子音だけでは意味を持ちません。

 角田さんの実験によると、日本人は母音と子音を、共に左脳で対処するのに対し、
子音言語を使う欧米の人たちは、子音を主に左脳で、母音を主に右脳でとらえるそうです。
 
 このような母音の扱い方の違いによって、左右の脳の働きが変わるようです。
 日本人は自然を人間と同じように脳で受け取ります。
 この言語の違いが日本の文化や精神にも表れているようです。
 
 本書は、『日本人の脳』という題名から、人種の優位性を論じたものだと誤解されることもあるそうなのですが、決してそうではなく、言語の差によって脳の働きに違いが出ることを実験的に示されている本です。
 日本人と欧米人とでは、脳の機能に違いがあり、それによって物事の感じ方に違いがあるということは理解しておきたいことです。この本を読み、西洋人は論理的で、日本人は情緒的、感覚的な民族であると感じました。

 数少ない母音言語の日本人ができることはなんでしょうか。
 まずは自分たちの特異性をきちんと知ることが大事だと思いました。 

 皆さまもぜひお読みください。

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Profile:相澤智子(あいざわ さとこ)

船井家の愛犬ゴンちゃんと一緒に。

1981年仙台市生まれ。6年間美容室に勤務後、一転して、2008年に船井幸雄グループに入社。学生時代から、船井幸雄の著書を愛読し、2007年の「船井幸雄オープンワールド」に参加。その後、すぐに「にんげんクラブ」に入会。2009年11月より、(株)船井本社の熱海本社にて、船井幸雄の秘書業務に携わる。現在、大好きな船井幸雄のそばで、いろいろな刺激を受けながら楽しく働いている。好きなものは、音楽鑑賞、ジブリ映画、犬。



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