ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2017.03.01(第37回)
アメリカの日本支配は崩壊しつつあるのか?

 トランプ政権が発足してからまだ1ヵ月しか経っていないのに、ツイッターによる過激な発言や極端な大統領令などで、大きな混乱を作り出しています。でも、予期せぬ変化は、大統領令のような報道されているものだけではありません。省庁の人事などもそうです。
 日本の外務省にあたる国務省ですが、大量の外交官や専門職員が辞任しています。当初この辞任は、トランプ政権への抗議としての辞任ではないかと報じられていましたが、実際はそうではありませんでした。トランプ政権は人事を刷新するため、書面で外交官らに対し、これ以上彼らの職務は必要ない旨を通知していたのです。
 これには、これまで外交の中枢を担っていた高官も含まれています。ジェントリー・スミス外交使節室長、ジョイス・バー次官補、ミシェル・ボンド次官補、パトリック・ケネディ国務次官、そしてヌーランド国務長官補・欧州ユーラシア担当も辞任しています。
 特にビクトリア・ヌーランドは、ジョン・マケイン上院議員とともに、2014年のウクライナ政変を背後から仕掛けた張本人です。
 この人物が排除されたということは、トランプ政権はロシア敵視の工作を、すくなくともこれまでのようには実施しないということを示しています。

●排除されたジャパン・ハンドラー
 これとともに、日本と歴代の米政権を仲介していたジャパン・ハンドラーと呼ばれるチームも排除されました。ジャパン・ハンドラーとは、ジョセフ・ナイ元国務次官、ジェラルド・カーチスコロンビア大学教授、リチャード・アーミテージ元国務副長官、マイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)副理事長、カート・キャンベル元国務次官補などの面々のことです。
 彼らは、日本の主要メディアでは「知日派」として報道されていますが、それは事実に反しています。彼らは、軍産やネオコンなどの歴代の米政権をコントロールしているパワーグループの指令を日本に伝えることを役割としているいわばエージェントの集団です。
 普通、アメリカと関係を持つ多くの国々は、歴代の政権に影響を与えることのできるさまざまな人脈のチャンネルを持っています。例えば韓国ですが、キリスト教福音派の「ヨイド福音教会」などを中心にして、米共和党内の福音派に強いパイプがあります。福音派は共和党内の最大派閥なので、韓国はこのパイプを使って米政権に影響を与えることができます。
 また中国も、「パンダ・ハガース」と呼ばれる親中派の議員団が存在し、政界で中国政府の利害を反映するロビー活動を展開しています。

 さらに米国務省には、親中派の外交官が多くいます。これは中国外務省が過去何十年にもわたって、アメリカの外交官を多数輩出している「ハーバード大学外交大学院」に、中国外務省の職員を大量に留学させているからです。国務省の外交官と中国外務省の職員は、いわばクラスメートなのです。
 また、中国に生産拠点がある米大手の製造業も、歴代の政権に影響を与えることができる立場にあります。ちょっとうがった見方をすれば、彼らは北京政府の意向と利害で動く親中派の代表です。
 このように、どの国も歴代の米政権とは複数の強いパイプで結ばれており、米政府から一方的に指令を受ける立場ではありません。このようなチャンネルを通して、韓国や中国は米政府に強く働きかけることも十分に可能です。
 韓国や中国は、この他にも有力な人脈を複数持っており、米政府とは重層的な関係が展開できる状況にあります。

 ところが日本の場合、米政府に繋がるあらゆるパイプは軍産系のジャパン・ハンドラーだけに限定され、その他のチャンネルは実質的に存在しないに等しい状態です。

●日本の隠された影の支配構造
 日本がこのような限定的な関係しか米政府と持てないのは、日本は敗戦国であり、1945年から1952年の6年半に及んだ占領期の支配構造を現在でも引き継いでいるからです。日本は1951年の「サンフランシスコ講和条約」の調印で主権を回復し、国際社会に復帰したことになっています。しかしながら、アメリカは占領状態の継続を意図し、米政府が「好きなだけの軍隊を好きな場所に好きな期間有する」権利を得る状況を模索しました。
 表向きにはこれは、日本の防衛をアメリカが担当するとした「日米安保条約」によって可能となりましたが、より実質的には、日本の国内法の規定を飛び越える超法規的な密約の体系によって実現することとなったのです。
 1952年に日本が主権を回復すると同時に、「日米合同委員会」が作られました。これは、在日米軍が日本の官僚に要望と指令を伝えるための組織です。この指令はときとして日本の国内法に抵触するものも多くありました。だが官僚は、これを密約で実現しながら、事後的に国内法を密約に合わせて改定するという方法を採ったのです。

 「日米合同委員会」はやっとその存在が2014年ころから一般的に知られるようになりましたが、いまだに議事録もきちんと公開されておらず、どんな密約が結ばれたのかさえ、一般にはまったく見えない状況がいまでも続いています。
 これは明らかに米軍との密約が日本の国内法よりも優位にある状況です。これでは占領期の統治構造の一部がいまでも継続しており、日本は完全な主権国家だとはいえない状態です。米政府との関係が軍産複合体のエージェントであるジャパン・ハンドラーによって規制される関係は、日本のこうした影の統治構造のいびつさを表しています。

●選挙の支配構造
 さらにアメリカによるこのような影の統治構造は、日本の選挙やマスメディアにも及び、米政府の望む政治家が選挙で選ばれ、またマスメディアを通して都合のよい世論が形成される構造ができあがっています。
 これでもっとも調べられ、明らかになっているケースは、12年前の2005年9月に行われた郵政民営化を巡る選挙です。このときは「女刺客」「落下傘部隊」「小泉チルドレン」「抵抗勢力」などの言葉がメディアを埋め尽くし、どのメディアも「日本をよくするために改革に立ち上がった小泉」対「既得権益の維持を目論む抵抗勢力」という勧善懲悪の図式にしたがって報道されました。

 この図式とシナリオは、ウォールストリートが巨額の資金で世界的な広告宣伝グループ、「オムニコムインターナショナル」を契約し、その傘下にある選挙キャンペーン専門会社の「BBDO」がプランを練ったことが分かっています。その後、日本側のPR会社、「プラップジャパン」に実際の脚本を書かせ、それを「電通」を通して各メディアに流したものでした。
 各メディアには、それぞれ10億円は支払われ、この筋書きで報道するように強く要請されたようです。
 同じシナリオは、自民党側のネット情報操作チームである「チーム世耕」によって、多数の掲示板やブログに書き込まれ、日本国民へのシナリオの刷り込みが完成したこともいまでは周知の事実です。

●マスメディアの支配構造
 このときのアメリカの勢力はウォールストリートですが、アメリカの勢力によるこのような支配は日本の主要なマスメディアにも及んでいます。
 まず、アメリカのさまざまな勢力が日本の報道をコントロールするとき、マスメディアの総元締めである「電通」に働きかけます。「電通」には「時事通信」、「共同通信」、「総合ビジョン」などの通信社が傘下に入っているからです。
 さらに「時事通信」は、「世界日報」を通して「フジ産経グループ」をコントロールしているのです。一方「共同通信」は、「日本新聞協会」を監督しています。そして「総合ビジョン」は、「NHKエンタープライズ」を介して「NHK」を傘下に収めています。
 このような支配構造の結果、アメリカの勢力に都合のよい情報しか報道されないような体制が日本ではできあがっていました。

●「電通」の凋落が意味するもの
 さて、このような影の支配構造を前提に最近の「電通」の凋落を見ると、なにが起こっているのかよく見えてきます。周知のように「電通」は、若い新入社員の過労死が原因で労働基準法違反で書類送検されました。今後、起訴される可能性があります。すでに多くの地方自治体が「電通」を入札から締め出していますが、起訴の場合は10の都道府県が一定期間、入札禁止の処置にすることを検討しています。このため、社長は責任を取って辞任し、トップの人事が刷新しました。
 この「電通」の問題は主要メディアで一斉に報じられ、強い批判の的になりました。「電通」はアメリカの日本におけるマスメディア支配の総元締めです。これまでは絶対的な聖域として、マスメディアでは報じることが非常に困難だったはずです。
 これが一斉に報じられたのは、昨年の12月の半ば以降です。米大統領選挙でトランプが勝利した後です。そして、トランプの大統領就任式が行われた1月20日前後を境にして、主要マスメディアの「電通」批判は一層激しくなったように見えます。
 こうしたタイミングを見ると、日本の影の統治構造にほころびが出て、かつてのように機能しなくなっていることの現れなのかもしれません。それはジャパン・ハンドラーの排除と連動した現象かもしれないのです。

●抑圧されていた情報の解禁
 「電通」のこのような凋落とまさにタイミングを合わせるかのように進んでいるのが、ジャパン・ハンドラーそのものの活動に関する報道です。これまで、リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイなどのジャパン・ハンドラーのメンバーは、日本では「知日派」などと呼ばれ、日本の国益を米政府に伝えてくれるありがたい存在のように報じられていました。
 しかしながら、「電通」への批判が強まった昨年の12月には、ジャパン・ハンドラーの本来の姿を暴露するような報道が、バラエティー番組でされるようになったのです。ニュース解説者の池上彰の番組で、2012年に出された「第3次ナイ・アーミテージレポート」の内容が紹介されました。
 このレポートは、集団的自衛権、TPP参加、自衛隊の海外派遣の3つの実現を日本政府に迫ったものです。この直後に成立した安倍政権は、約2年後にこれらをすべて実現しました。これらは日本の独自の政策ではなく、アメリカからの強い要請で実現したことを印象づける番組でした。

 「第3次ナイ・アーミテージレポート」の存在は、ネットで細かく情報を集めているものにとっては周知のことです。これは独立系の調査ジャーナリストによって調べられ、報じられてきた情報です。しかし、テレビの主要メディアがこうした事実を堂々と報じるということは、「電通」同様、ジャパン・ハンドラーによる影の統治構造に決定的なほころびが出始めたと見ることができるでしょう。

●日本のインフラにマルウエアが仕掛けられている
 このような情報の開示が進んでいるのは、これだけではありません。日本の影の支配構造ですが、これには暴力的な脅しの構造が付随していることは、さまざまな情報のリークから明らかになっていました。これは、オリバー・ストーン監督の最新映画「スノーデン」がリークした情報です。
 それは、日本がアメリカの同盟国ではなくなったとき、すなわち影の支配構造に日本が従わなくなったとき、日本の民間のインフラに侵入させてあるマルウェアを作動させ、電力網を中心としたインフラを完全に停止させるというのです。
 2013年6月にアメリカのNSA(国家安全保障局)がすべての米国民を無作為に監視している事実を明らかにした内部告発者のエドワード・スノーデンは、2010年にCIAの職員として日本の横田基地に勤務していました。これは、そのときに知ることになった事実です。オリバー・ストーン監督の最新映画「スノーデン」では次のように語られています。

 「日本の通信システムの次は、物的なインフラの乗っ取りに、ひそかにプログラムを送電網やダム、病院にも送り込んだ。もし日本が同盟国でなくなった日には、彼らは終わる」

 このように言い、映画では日本列島から電気が消える場面になります。オリバー・ストーン監督は、先頃映画のプロモーションのために来日し、「ニュース23」のインタビューに答えました。そして、次のように発言し、インタビューを締めくくったのです。

 「日本はすばらしい国だ。文化だって。ただひとつだけ問題がある。日本は昔持っていた主権がない。アメリカの衛星国であり人質なのです」

 特に日本の主要メディアでは、このような情報は人工地震と同じく陰謀論として見られ、まともに報じられることはありませんでした。
 しかしながら、アカデミー賞を受賞し、アメリカのリベララル派の代表的な論客でもある監督、オリバー・ストーンの作品、「スノーデン」にスノーデン自身の証言として、この事実が語られているのです。
 もちろん映画「スノーデン」は、トランプが大統領になる前に製作されています。ストーン監督のインタビューでは、9回ほどスノーデンと会ってインタビューしたとありますから、トランプが泡沫候補として立候補したばかりの2015年頃には製作が始まっていたと見てよいでしょう。その意味では、ジャパン・ハンドラーの排除による日本の影の支配構造のほころびとは特に関係がないようです。
 でも、問題は日本の主要なメディアの伝え方です。これまでであれば、たとえ映画の証言であっても、日本の民間のインフラにマルウエアが仕掛けられているなどということを、事実として報じることはできなかったはずです。
 しかしながら今回は、主要なニュース番組のひとつである「ニュース23」がこれを大きく報じ、注意を喚起したのです。それは、これまで陰謀論としてアングラの世界に放逐され、巧妙に隠されていた事実を、主要メディアがまともに報道したようなものです。これを見ると、やはり日本の支配構造に深刻なほころびが出てきていることがはっきりと分かります。

●マルウエアは「スタックスネット」のこと
 それにしても、日本の民間のインフラにマルウエアが仕掛けられているということは、どこまで事実なのでしょうか? 本当のことであれば、大変なことです。
 独立系のジャーナリスト、岩上安身がオリバー・ストーン監督に、「マルウエアによって電力網が停止すると、原発は全電源喪失になるのではないか」と改めて質問しました。監督はそれに対し、「特にスノーデンは原発については発言していないが、イランの核施設に『スタックスネット』というマルウエアが仕掛けられ施設が停止したケースがある」とし、日本のインフラに仕掛けられたものも「スタックスネット」である可能性を示唆しました。
 これをさらに調べると、アメリカによる影の支配構造の恐るべき実態が見えてきます。福島第一発電所の放射能漏れ事故にも繋がってくるのです。これは、また機会を見て書くことにします。

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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