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このページでは、舩井幸雄が（2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が）いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。

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2005年5月4日

企業のあり方

　ちょうど２ヵ月ほど前に、川口市雄熱海市長が、私のところへ見えました。それは４月１６日に行なう予定の「熱海の景観を考えるシンポジウム」にパネラーとして参加してほしいとのことでした。その時、（株）ゼファーという会社が「貫一お宮の松」で有名な熱海の海岸に面した一等地約８，０００平方メートルに高さ６０ｍのマンションを作ろうとしているので、意見を言ってほしい・・・と言われたのです。とりあえずパネラーは引きうけたのですが、毎日の多忙さに調べる時間がなく、４月１５日の夕方になって翌日のシンポジウムのことに気づき、４月１６日の朝になってはじめて（株）ゼファーやマンション建設地のことを詳しく調査して、びっくりしました。
　（株）ゼファーは東証一部上場の不動産デベロパーであることや、事実上（株）加ト吉の子会社で、オーナーは、私の知人でもある加藤義和さんであるのを知ったからです。
　一方、熱海市長は、このマンション建設は合法ではあるが、景観上からも「絶対反対」と公的に表明しており、市長を巻きこんだ反対運動がはじまっていること、しかしすでにマンション建設は基礎工事がはじまっていることなどを知ったからです。
　熱海に転居して、まだ１年そこそこの私は、この辺の事情にうとく、またあまり気にならなかったのですが、４月１６日の朝から真劍に考えました。
　この日午後１時半から３時半まで行なわれたシンポジウムのパネラーは、熱海在住の岩見隆夫さんをコーディネーターに、私と川口市長、そして地元のホテルのニューアカオの赤尾信幸社長、そして東大大学院教授で景観問題の研究者の市川修さんの５人でしたが、びっくりしたのは５００人収容の会場に聴衆が入りきれず、立ち見席もいっぱいになり、多くの地元の人が集まったことでした。この問題の歓心の強さがよく分りました。
　その時の様子は、翌朝の各新聞などに詳しく報道されましたが、私の発言要旨は以下のとおりです。
　
１．熱海市が（株）ゼファーと争っているのはおかしい。自治体やそこに進出してくる企業（しかも東証一部上場企業）は仲よく協力するべきだ。
２．持株比率からみても、（株）ゼファーは加藤義和氏がオーナーの会社。この人は素晴らしい経営者だし、自治体の長だった人。（株）ゼファーはこの人の言うことを聞くはず。彼のことは多少は知っているが、景観を損なったり、他に迷惑を及ぼすことはやらない人だ。とことん交渉すべきだ。
３．企業は、①儲けねばならない。しかし、②世のため人のためになることをすべきだし、③現場で働く人が楽しく元気になることをすべきだ。④何らかのことをやることにより、それで利益を得る人が１００人いるとすれば、利益を失なう人が１人以上いるなら、それはとりやめるべきだ。
４．熱海をよりよい市にするためには、もっとマクロに対応策を考えるとよい。観光客３０００万人も、少し考えれば充分可能だ。そのための一環としても（株）ゼファーの問題はよいチャンスだ。

　私はこの席上で、川口市長に加藤加ト吉社長と話し合うことを奨めましたが、その後加藤義和加ト吉社長にも、市長と話し合うようにと手紙を出しました。
　私の発言要旨の中にもありますが、企業というのは、①儲けねばならない　②世のため人のためになることをしなければならない　③それを担当する人々が元気になることをしなければならない　④それによって損失を受けたり、アタマにくる人が、利益を得たり、喜んだりする人の１％をこせば、その事業はやめるべきだ・・・と私は思っています。
　この中の④は、私の長年の経営コンサルタント経験から出てきた私の信念です。
　かつて量販店の出店アドバイザーであった私は、量販店の出店により多くの消費者が喜ぶからいいと思っていたのですが、それにより損失を受ける中小小売店の人々の苦労を知り、経営アドバイスの方針を変え、「船井流長所伸展法」という経営ノウハウを開発しました。これならほとんどだれも損失を受けないし、アタマに来る人もいないからです。
　すばらしい経営者である加藤義和さんは、「企業のあり方」を知っているはずなので、熱海での（株）ゼファー問題は、うまく解決するだろう・・・と思っていますが、企業経営者の方は、このことをぜひ知ってほしいのです。
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