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2007年4月20日
恩師の夫婦愛

 私は京大の農林経済学科を卒業したのですが、学生時代に非常にお世話になった恩師に柏祐賢先生がいらっしゃいます。
 先生は、明治40年生まれ、京大農経科を卒業後、京大教授や京都産業大学長などとして、多くの功績のあった教育者ですが、先日、満99才の生涯を閉じられました。
 私は学生時代に、農業経済学とともに哲学の大切さ、宗教などの役割の大事さを、柏先生から教えられたと思っています。台湾前総統の李登輝さんが京大在学中の思い出として2004年12月31日に柏先生を訪ねたのが、マスコミの話題になったので読者もこの先生のことはご存知と思います。いうならば私に人生ではじめて、正しい生き方を考えさせくれた先生でもあります。
 今月7日、先生の葬儀が、京都の岡崎別院で盛大に行なわれました。
 当日、京都の先斗町歌舞練場で(株)中村堂主催のチャリティセミナーがあり、講師をたのまれていた関係で、私も告別式に参加できました。
 この時、柏先生が去年出版された『残照』(北斗書房刊)という著書を、お土産にいただきました。
 そこには、喪主をつとめられた柏先生の御長男の柏久さんのつぎのような文章がそえてありました。

 『残照』は、自らの葬儀にご会葬いただいた皆様にもらっていただくようにと、父が4〜5年前にその原稿を私に託したものです。完成させると逝ってしまうような気がして、その作業を遅らせてきましたが、昨年7月に体調を崩した時に、これ以上ひき延ばすことはできないと思い、9月に完成させました。父は、それ以降、いつも枕元においてこの書を読んでいました。
皆様にもご笑覧いただき、故人を思い起こしていただければ幸いです(転載ここまで)。

 先週、この『残照』を読み、ありし日の恩師を思い、いろいろ感動したのですが、その中に「家内のおかげ」という小文がありました。これは柏先生が72才の時(昭和54年11月10日)の難波別院での講演録の中の文章ですが、びっくりしたのです。
ここへ、そのまま紹介します。何回も読み返しました。

家内のおかげ
 私は、家内を病気にしてみましてあらためて思い出しておるのでありますけれども、今日、ここまでくることのできたのは家内のおかげであります。家のことについて、何の心配もなしに、外へ出て自由に働くことができる、と。家へ帰ったら、「お帰り」と、「よう働いてきてくれましたね」と、口で言わなくても、目にものを言わせて、迎え入れてくれる家内を頼りに72年送ってきたのであります。大学を卒業してから、かれこれ50年の歳月でございます。もうあと2年程で金婚式を迎えます。これは家内のおかげです。家内あっての自分であるということを改めて今、痛感させられておるのであります。
 前に来た時に言うたかもしれませんが、今から20年前、ドイツに一年間生活しておりましたが、その一年間に家内から来た手紙は234通でありました。私がロンドン、パリに旅行しておる時はおりませんので、そういう日を除きますと、234通というのは毎日来たということです。ですから、日本の国で起こったことは三日後には知っておりました。私はどれだけ書いたかと言いますと、家内よりは多いですよ。それは、ロンドンからもパリからも送っていますから、250通と、両方合わせまして500通の往復の手紙を未だに持っております。きれいな菓子箱の中に入れて「たまて箱」と子供たちは称してくれております。時々その中の手紙を読むんでしょうね。時々その中の文句を言ってくれたりしましてね、私は夫婦というのは、そういうものでなけれなならないと思っております。その家内に病まれてはじめて、人の世の喜びというものを改めてかみしめなさいと、今、教えられておるのであります。
 私は船で帰って来て、門司の港へ入りました。あっちこっち船でまわって門司で上陸しました。その時に家内が迎えに来てくれました。船に上りまして・・・船上の大広間にみなで集まりました。丸テーブルの回りに集まりましたら、家内はおもむろに、袂から、新聞紙に包んだものを出しました。皆んな何を出すんだろうと、きょとんと見ておりますと、中からくしゃくしゃになった紙のテープを取り出しました。そして「さあ、どうぞこの先を持って下さい」と、先を家内が、もう一方を私が持ちました。「いったいこれは何んだ」と言いますと、「一年数ヶ月前に神戸でお別れした時に持った紙テープでございます。船が遠ざかるにつれて、紙のテープは切れました。しかし私はそのテープを肌身離さず今日まで持っておったんです。片時も貴方の事を忘れたことはありませんでした。再び二人がこの同じテープを持って結び合うことのできることを心から嬉しく思っております」と。人の世の喜びというのは、そういう喜びでなければなりません。日常生活の何でもないことの中に真の喜びがあるのじゃありますまいか。帰って来る、あたりまえのことが、それほど嬉しいことであるはずなんです。元気であることを喜ばなければならないのと同じであります(転載ここまで)。


 私も愛妻家ですが、柏先生には「かなわないな」と思った文章でもありますが、恩師の夫婦愛に深く感動させられました。
 夫婦仲よくが、幸せに生き、男としては、よい仕事をする決め手だといつも思っていただけに「わが意を得たり」というところですが、柏先生の奥さま(敏枝さん)が、今後よりお元気に余生を送られることを祈ってこの拙文を終ります。
                                            =以上=

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