トップが語る、「いま、伝えたいこと」
中国というのは、多くの日本人にとっては分らないところの多い国です。
私にも、はっきり分りません。そこで、最近3−4ヵ月間、中国についての資料を集中的に集めていました。
つぎに紹介しますのは、月刊誌『力の意志』(サンラワールド刊=TEL:03−3955−6501)の本年4月号に、いま中国分析家として注目をあびている青木直人さんが書いていた文章の一部です。
その主題は「中国でのNHK国際放送を確たる理由もなしに中国当局が止めた。まさに人治国家・中国はリスクを自ら露呈した」というようなことでした。
昨年の夏、日本では知られていないある事件が中国国内に住む日本人社会を直撃した。現在、中国にいる在留邦人が日本の情報を取るため最大の拠り所にしているのがNHKの国際放送だが、実はこの放映が昨年8月からほぼ2ヵ月間、中国当局によって妨害されたため、受信不能になっていたのである。
映像が突然見られなくなったのは8月15日の終戦記念日からで、云うまでもなく、この日は中国が非難し続けていた小泉前首相の靖国神社参拝が行われた当日である。突然の出来事に理由を問い質した日本人関係者に対して、中国側から帰ってきた言葉は「13億中国人民の抗議の意思を表明したものだ」という、およそ感情的で幼稚な常識を欠いたものだった。
最終的に妨害が解除されたのは、安倍新首相が中国を訪問した10月8日の当日。実に50日間以上も嫌がらせは続けられていたのだった。解除の理由は「中日友好のため」だったという。問題なのは、当事者であるNHKが受信料だけは徴収していながら、この暴挙に対して抗議もしなければ、報じてもいないことだった。こんな姿勢でまともな中国報道ができようはずがない。
その結果、中国がここ半年の間に急激に対日外交を転換してきた事情についても的確な分析ができていない。先頃、中国商務省が06年の海外からの投資実績の数字を明らかにしているが、注目すべきはこれまで一貫して中国進出ラッシュが続いていた各国からの投資に黄信号が点滅し始めたことだ。
現在、中国に投資している国・地域のベスト5は@香港 A英国領バミューダ諸島 B日本 C韓国 D米国だが、このうち、@Aを除いた他の先進国3ヵ国からの投資が対前年度比でいずれも減少している。なかでも日本の減少ぶりは突出していて、実に30%もの大幅ダウンとなっている。
これは主要投資国30のうち最大で、理由は05年の春に全土で拡大した反日デモにより産業界が中国リスクを実感、進出に慎重になったからだ。また、中国がこれまで売りにしていた安い労働力、地代が徐々にアップしてきたことも一因だった。日本が中国全体に占める投資割合はこれで7%となり、その前が10%だから、3%の減少だ。この数字はドイツ1ヵ国の投資総額に相当するほど大きなものだった。
これを見て、中国政府の危機感は高まる。民間投資の縮小に留まらず、日本のODA(政府開発援助)もすでに数年で廃止が決定していたからだ。中国経済はいま大きな転換点に立っている。だが、日本では日中関係の記事は外報部ではなく政治部が書くため、こうした中国国内の事情への目配りは乏しく、決まって横並びの「訪中の成功は安倍首相の靖国参拝の棚上げのため」という記事になりがちだ。
成長が謳歌される一方で、ひたすらGDP(国内総生産)のアップなど量的拡大を追及してきた中国社会はさまざまな矛盾を露呈し始めている。国民内部、地域の格差、自主開発技術のなさ、環境汚染の拡大、低レベルの製造水準など頭痛の種で、そのための技術力を持つ日本との友好関係を最重要視せざるを得なかったのだ(転載ここまで)。
先週、このページに書いた、日本人の知っておきたい「世界の常識」の一つとして、この青木さんの文章もぜひ知っておいてほしくて、ここに紹介した次第です。これも、「世界の常識」だからです。
私は多くの日本人のエリートたちと毎日会って話していますが、やはり日本人は、外国とは「世界の常識」を知って付きあう必要が、あるように思います。日本人の「日本の常識」だけでは、うまく付きあえないでしょう。
日本人として、私の言いたいことをぜひ御理解ください。
なお私は親米、親中人間です。このことも充分にお知りください。
=以上=
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