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トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2008年9月26日
すでに経済恐慌は避けられない

 最近来訪される多くの方が、アメリカのファニーメイ、フレディマックへの政府資金の投入について、
 「さすがアメリカですね。ポールソンは大したものです。これで景気もよくなるでしょう」と言われます。
 それを聞いて私は、日本人のリーダーたちのお人好しと先見性のなさにびっくりしています。
 
 以下は、経済予測の超プロのKさんが、9月14日に私に送ってくれたレポートの大部分です。これを紹介しますから、AIGやリーマンブラザーズのことも考え、アタマを冷やしてください。

船井幸雄さま  
                     (2008年9月14日 Kより)

束の間の解決に終わる住宅公社救済策


 <眠れぬ夜を過ごしたのは、初めてだ>ゴールドマン・サックスのトップに登りつめ、財務長官となったポールソンにとっても、今回の決断は厳しかったことのようです。<難しい決定だったからではない、できることなら回避したかった。ただ、他に選択肢がなかった>この言葉にすべてが凝縮されています。難しい決断ではありませんでした。2つにひとつ、救済するか、破綻させるかしかありません。破綻させれば、1兆4000億ドルに上る、両社を対象としたCDS (クレジット・デフォルト・スワップ)が一斉に決済不能となり、CDS市場は崩壊し、瞬く間に金融破綻の連鎖がおきたのです。もちろん世界中にばらまかれた両社債券の五月雨の売りも抑えられなくなったでしょう。すでにじわじわと世界各国から両社の債券の売りは出始めていました。8月29日に中国銀行は保有額を約46億ドル減らしたと発表し、(保有額の約3割)、農林中金は約3000億円、また各国の中央銀行も持ち高を次から次へと減らしていく流れが始まってきていました。この状態で9月30日両社合わせて、2250億ドルの社債の借り換え償還の期日が迫ってきていたのです。無事に通過できるわけはありませんでした。こんな大量の額を、現在の状況で、だれも借り換えに応じてくれるわけもなく、金利は急騰し、それが売りの連鎖を引き起こすことはみえていました。まさにタイムリミットはきていたのです。
 米連邦住宅公社監督局 (OFHEO)のロックハート局長は<過去数週間にわたった財務状況見直しで見つかった重大な問題が両社を公的管理におくきっかけになった>と述べました。すでに債務超過になっているのは、明らかだった両社ですが、公的管理に持っていくには、大義名分が必要だったのです。7月中旬からモルガン・スタンレーのチームが両社に特別調査に入りましたが、これは、ことを進展させる<アリバイ作り>のステップだったと言えるでしょう。これによりますと、8月7日、8月9日に相次いで発表された両社の決算は問題がある、とのことで、特に、その資本勘定に重大な問題があると、報告によれば、両社の繰り延べ税金資産が合わせて390億ドルに及び、これは決算で出された株主資本の約半分に当たるとの指摘でした。そしてこの繰り延べ税金資産を計上しないと債務超過であると、繰り延べ税金資源とは、払いすぎた税金を利益から引ける形のものですが、もともと会社に利益がなければ、引き落とすべきお金が存在しないわけで、4四半期連続赤字で、今後の黒字化の見込みのない両社に適用できるものではありません。2003年に、日本のりそな銀行が同じ問題を指摘されて公的資金導入となったわけですが、そっくり同じ形がなされたのです。
 米政府は両社を救済することを決断しました。発行された債券はすべて保障すると宣言したのです。これにより両社の債務はすべてアメリカ国家の債務となったのです。苦渋の決断を迫られたポールソンでしたが、その出されてきた公的管理の内容をみると、まさにおそまつなもので、またしても問題先送りの形がはっきりと示されています。
 今回の救済策の骨子は、

1.優先株の政府購入枠を設定、各1000億ドルで、(配当利回り10%)、当面10億ドルずつの購入。
2.粉飾決算した経営者の更迭
3.既存の普通株、優先株は無配に
4.住宅ローン担保証券を政府が購入
5.2009年までは、保有する住宅ローン債権と住宅ローン担保証券の残高をそれぞれ8500億ドルまで(約92兆円)まで増やすことができる、2010年以降、保有資産を毎年10%ずつ圧縮して現在の3分の1にする

 ひとつ、ひとつ検証していきます。

1.優先株の政府購入ですが、まずは各1000億ドルということで、この金額は9月30日の両社の社債の償還金頷2250億ドルにほぼ一致します。月末の資金繰りをまずはなんとかしよう、ということが透けてみえます。しかしながら姑息にも最初は10億ドルずつ、しかも配当を10%つけると決めました。これは多分に納税者を意識したものでしょう。
 宣言の中で、損失に関しては、政府優先株に先行して、既存の株主にとってもらう、と言っています。要するにまずは、既存株主は0になるまで責任を取ってもらい、どうしてもだめなら、政府優先株に来ると、そしてその額はただの10億ドルだと、その上、配当は1割を確約だと、これなら、たいしたことはないでしょう、と納税者に語りかけています。しかし、この両社合わせて20億ドルという額は、両社の発行している住宅ローン債券、社債、またデリバティブ総額を合わせたリスク資産総額の合計、7兆5000億ドルのわずか0.026%、優先株購入枠を設定された各1000億ドル、計2000億ドルでさえ、2.6%にしかすぎないのです。抜本的な解決には程遠いというしかなく、まさにその場しのぎの資金投入です。

2.政府管理になる以上、経営者の更迭はやむを得ないことです。しかしながら、日本のりそな銀行のときと同じく、繰り延べ税金資産がその粉飾の理由になったところが面白い。すでにこの両社の持っている住宅ローン債券は、大量のサブプライムローンが保有されていて、その額はオルトAと合わせると、約7800億ドルあるのです。とうに、債務超過であることは事情通では常識です。粉飾決算で経営者が責任を取らされるのは、当たり前のことですが、まずは、9月末の社債償還を乗り切れないとみた米政府の<公的管理やむなし>の結論が先にあって、その額を当面いかに少なく抑えるのか、という観点から、ほどよい若干の債務超過という決算が作られた。いわば、官の粉飾と言えるものでしょうか。経営者は遅かれ早かれ更迭は必至でしたから、このタイミングでなされただけで、単なる茶番劇と言えるでしょう。

3.新しくいれる政府購入優先株は10%の配当を約束させましたが、既存の普通株、優先株は無配にすると発表しました。優先株は普通株に優先して配当が取れるので優先株なのですが、これでは何の為の優先株なのでしょうか? 0にならなかっただけ、日本の長銀や日債銀などの処理とは違い、りそな銀行と同じケースで<再建できれば株も上がってくる>と報道されていますが、住宅価格の下げが続くかぎり再建のめどはなく、実質はかなりの債務超過の事実から判断して、この普通株、優先株は政府発行の優先株に先んじて結局は、無価値となるものと思われます。

4.住宅ローン担保証券を政府が購入する、とのことで、市場は、はしゃいでいますが、これも単に、月末の2250億ドルの社債償還を意識したものにしかすぎません。仮に、借り換えが不調に終わり、社債が借り換えできなければ、両社としては、持っている住宅ローン債券を売却して、資金を作るしかありません。ところが、現状で2250億ドルもの住宅ローン債券を市場に売却しようものなら、買い手がつかず、大変な事態が発生するのは目に見えています。その為に、予防策として、政府が購入できる、という道を作っておいたわけです。

5.―見目立たないのですが、この来年末までは住宅ローン債券の残高を増やすことができる、という、この政策が今回の内容のポイントと言えます。その後、資産を現在の3分の1に縮小すると言っていますが、来年末までは増やす。増やすのか、減らすのか、政策が矛盾しています。実は今回の公的資金導入の措置は、7月末に可決された<住宅公社支援法>に基づいています。この法律は、なんと、来年末までの時限立法なのです。ですから来年末までは、<住宅ローン債券を買い増して市場にパニックを起こさないよ>ということなのです。その後の資産を減らすというのは希望的観測を言っただけで、言い換えればその後は、法律もないし、何が起こるかわかりません、次の人よろしくお願いします、ということです。ポールンン自身が9月8日<新しい議会と次の政権は住宅市場における政府や両社の役割を決めなければならない>とし、<今回の措置は小休止にすぎず、長期的に両社の構造については、選挙後の新しい議会と次期政権が議論する問題>と発言しました。なんてことはない先送りなのです。自分の在任中は、雀の涙の10億ドルだけ公的資金を投入し、後は、アナウンス効果で何とかしたいとの思惑です。
 今住宅ローン債券を野に放てば、市場には買い手がなく、暴落し、それが金融恐慌の引き金になるのは明らかです。ですからこの、ファニーメイ、フレディマックの2社を清算することはできないのです。とは言っても、一気に清算とばかりに米政府が両社のすべてを引き受ければ、米国は巨大な債務を背負ったことが白日の目に晒されます。それはドルの暴落を引き起こさずにはいないでしょう。先送りしか方法がないのです。根本的な解決を目指せば、そのとたんに金融危機が発生するのです。しかし、先に延ばせば延ばすほど、不景気は拡大して、将来の巨大な金融破綻のマグマは溜まっていくというわけです。ジョージ・ソロスの著書The New Paradigm for Financial marketsで、彼はポールソンについて、洞察力に長けた人物と表し、ゴールドマン・サックスの現役時代、住宅バブルの崩壊を予想して、サブプライムローンのデフォルト保険を大量に購入して、払いこんだ保険料の何倍もの利益を上げたことを紹介しています。そんなポールソンですから、先に待つ金融崩壊が見えていないわけがないのです。現在はとんだ貧乏くじを引いたと思っていることでしょう。彼は次期政権には参加しないことははっきりと明言しています(転載ここまで)。


 お分りになったでしょう。
 いよいよ世界経済はすでに恐慌に突入してしまったのです。
 いまさらどうしてもダメでしょう。そのことをぜひ知ってほしいのです。
 より詳しくは、ちょうどきょうあたりに書店店頭に並び出した拙著の『有意の人』(徳間書店刊)を御一読ください。目次はこのホームページ上で9月22日に発表していますので、まず『有意の人』の目次だけでも、もう一度お読みください。
                                            =以上=

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