トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
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2021年3月8日
私が原発を止めた理由 (※佐野浩一執筆)

 2011年3月11日14時46分。
 東北地方太平洋沖地震(通称:東日本大震災)による災害およびこれに伴う福島第一原子力発電所事故による災害は、大津波、火災等により、東北地方を中心に12都道県で2万2千人余の死者(震災関連死を含む)・行方不明者が発生しました。これは明治以降の日本の地震被害としては関東大震災、明治三陸地震に次ぐ規模となり、沿岸部の街を津波が破壊し尽くす様子や、福島第一原子力発電所におけるメルトダウン発生は、日本だけでなく、地球規模で大きな衝撃を与えました。
 あれから10年。
 本当に、未来の子どもたちのことを考えるならば、原子力発電所はいらない……。
 ずっとそう考えてきました。
 しかも、原発が止まっても、多少不便ではありましたが、生活できたのです。原発がなくても大丈夫なことを、私たちの生活で証明したはずです。

 一昨年、樋口英明さんとのお出会いがあり、それはエビデンスのある確信へと変わりました。
「原発の耐震性は、一般住宅より低い!」
 樋口さんから、そう教わりました。
 科学が苦手であろうと、原発の詳しい知識がなかろうと、この事実を知っただけで、原発の稼働が是か非か、だれにもわかることです。
 福井県の関西電力大飯原発3、4号機は、2012年7月に再稼働しました。それに対し、「運転差し止め」を求めて189人が提訴。14年5月21日に東京電力福島第一原発事故後、初めて差し止め判決が出されました。
 樋口さんは、そのときの裁判長として差し止めを言い渡したご本人です。原発が危険だと思ったら止める、思わなかったら止めない……。このご姿勢を最後まで貫かれたのです。
 「福島第1原発事故ではたまたま“奇跡”が重なって日本の歴史は終わることがなかった」とし、「原発は日本の国を滅ぼす。暴れ出したら誰も止めることができないゴジラだ」と、樋口さんは、いまもなお、各地でご講演活動を続けていらっしゃいます。
 今回、旬報社より、「私が原発を止めた理由」をご出版されました。
 本書には、明解に「原発を差し止めた理由」が綴られています。繰り返しますが、未来の子どもたちに、安心で安全で幸せな未来を残してあげたいのです。ぜひ、一人でも多くの方にお読みいただきたいと願います。

 樋口さんはおっしゃいます。
「福島第一原発事故後、地震を理由に原発の運転を差し止めた裁判長は2人のみ。18人は差し止めませんでした。私の答えに迷いはありません。原発の本当の危険性を18人はわかっていないのです」と。
 では、その「危険性」とはどういうことなのでしょうか?
 危険性には2つの意味があります。事故が発生する確率が高いから危険なのか、事故の被害が大きいから危険なのか……。2つの“危険”の性質は同じではありません。大飯原発差し止め裁判のポイントはここにあると思いました。
 地震が来たときに原発がとるべき「安全三原則」があります。核分裂を「止める」、核燃料を「冷やす」、格納容器に放射能を「閉じ込める」です。すべて守られなければ甚大な被害が生じます。福島第一原発事故では三原則は守られませんでした。
 事故当時、4号機は点検中で貯蔵プールに使用済み核燃料があったそうです。隣の原子炉ウェル(上部の空間)との仕切りがなぜかずれて、工事の遅れにより抜き取られていなかった原子炉ウェルの水が、貯蔵プールに入り核燃料を冷やしました。
 1〜3号機は地震の影響でモーターが停止。非常用電気も津波で使えず、冷却用の水が送れなくなり、核燃料は自らの熱で溶け落ちました。それにより2号機の格納容器は蒸気でいっぱいになりました。爆発すれば放射能が飛び出し、東日本壊滅も予想されたところです。ところが格納容器の底に欠陥部分があり、蒸気が抜けました。2、4号機の奇跡で、首都圏を含む半径250kmへの放射能被害は免れました。
 これは奇跡以外の何物でもありません……。
 あのとき、この「ミス」と「偶然」のボタンのかけ違いがあったら……と思うと、恐ろしくてなりません。こうして常に私たちのいのちの脅威となるものを、発展、拡大、便利、効率化、安さ訴求……という旗頭のもと、次の世代に残してよいものかと、いまを生きる人間の一人として強い責任を感じます。
 一方、日本は世界有数の地震国です。まだ、南海トラフそして、近年、温暖化に起因すると考えられる自然災害の「極端現象」も頻繁に起きています。
 ちなみに、日本では、年間で1000回以上、地震が発生しています。この10年間のデータは以下のとおりです。 
 2011年=10680回
 2012年= 1904回
 2014年= 2052回
 2015年= 1841回
 2016年= 6587回
 2017年= 2025回
 2018年= 2179回
 2019年= 1564回
 2020年= 1704回

 回数だけ見ると、2011年と2016年が特筆して多く発生していますが、2011年が東日本大震災、2016年が熊本地震が発生した年です。
 地震には2つの指標があります。地震の大きさを示すマグニチュードと、地震の強さを示すガルです。2008年の岩手宮城内陸地震では4022ガル、東日本大震災では2933ガルを観測しました。
 住宅の耐震設計は、三井ホームの基準が5115ガル、住友林業は3406ガルです。  
 それに比べて、大飯原発3、4号機は判決当時、700ガルでした。のちに、関西電力も「強い地震には耐えられない」と伝えていますから、これまた理解不能です。
 「大飯原発に限っては700ガル以上の地震はきません」と主張したのだそうです。争点は「強い地震は来ません」という予知が信用できるかどうか……。樋口さんのおっしゃるとおり、この訴訟は「専門訴訟」ではなく、「良識と理性の問題」だったということになります。どうか、良識と理性で、明るく幸せな未来を選択しませんか!

 最後に、樋口さんが必ず最後にお伝えになられているメッセージを記します。  

「原発問題は自分や家族のいのち、日本の国富の問題です。みなさんにお願いがあります。この話を多くの人に伝えてください。原発由来の電気は使わないでください。そして、選挙では反原発の人に投票してください。危険な原発を次の世代に残してはいけません。今の時代に解決するべき問題です。」
                                感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けている。
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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