トップが語る、「いま、伝えたいこと」
ある調査によると、「ゆううつな気分になることが増えた」と回答した人が、男性で約40%、女性で約55%、そのうち中等度以上のうつ状態は約17%、重症うつ状態は約9%という結果となっています。心のケアは、いまや大きな社会問題であるとも言えます。
舩井幸雄は、「すべてのことは必然で必要ととらえ、だからこそベストにしていこう」と伝え続けてくれました。そして、「前向きでプラス発想していこう」と……。
前半は、心理学的、脳科学的観点から、「前向き」→「モチベーションアップ」の本質について、後半は、体、運動面からのアプローチについてお伝えします。
さて、「やる気」や「情熱」「モチベーション」といったものは、一体、どこから湧いてくるのでしょうか? アメリカニューヨーク州には、コダックやゼロックスなどの有名企業が生まれた5大湖の一つ、オンタリオ湖に面する学際都市「ローチェスター」があります。
そこにあるのがローチェスター大学。コロンビアやコーネルに並んでアメリカ屈指のリサーチ大学ですが、「自己決定理論」はここで生まれます。21世期の心理学のメジャートレンドの1つをつくり上げたのです。
それによると、モチベーションは私たち人間の心の3大欲求から生まれるといいます。先に結論を言うと、「つながり」「できる(有能)感」「自発性」の3つ。
まず1つ目の「つながり」ですが、私たちは誰かのために何かをしたり、他の人とコミュニケーションをしたり、コラボをしたりする機会がモチベーション向上につながります。実際、他の人とコミュニケーションをしたり、コラボをしたりすると、脳の報酬系が活性化することがわかっています。人とのつながりは脳にとって気持ちがいいのです。逆に言えば、脳は根本的につながりを欲するようにできています。
いまの時代、「自粛」「テレワーク」「行動制限」など、「つながり」が分断されることからメンタルの課題が生まれてきていると考えられます。この「つながり」をどうやって創出するかが1つのポイントです。
2つ目は「有能感」です。要するに、「できた!」「できるぞ!」という感覚です。たとえば、テレビ番組の「東大王」などで難問が解けたときなど、「できたー!」ってめちゃくちゃ嬉しくなります。調べものをしていて、知らないことが「わかった」瞬間なども同じです。私たちの脳が新しい知識やスキルを学ぶとき、ドーパミンが分泌されて、またまた報酬系が活性化されるのです。「できた!という感覚」は脳にとって非常に気持ちがいいのです。
3つ目の「自発性」については、舩井幸雄もよく話していましたが、これはわかりやすいですね。無理やりやらされてはモチベーションが上がりません。だったら、やる気を持てるよう工夫して取り組めばよい……。こういう文脈でも伝えてくださいました。つまり、どんなことも自分次第でやる気は変えられるということなのですが、そもそも自分自身が望んでやっている……、自分の意思を感じることができる……ほうがベターです。自分の心の底から湧いてくる思いに、自分として主体的にやっている……という対象、そしてその状態。これがベストです。いずれにせよ、「自分からやっている」「自分の意思でやっている」という感覚を欲するのは、人間の根本欲求だということです。
自己決定理論によると、「つながり」「できる(有能)感」「自発性」が高まるような環境を整えたり、それらを意識することで、モチベーションが高まったり、維持されたりします。まわりの人と協力できたり、人のためになるプロジェクト。自分が達成したとか、できるようになったと思える瞬間。そして、やらされているのではなく、自分で自分のやるべきことをコントロールできている……。
この3つの視点から、現在の自分の目標やモチベーションと向き合い直してみることは、実は「脳科学」における脳の仕組みにかなった心の習慣だということです。
一方、こうした視点からも、いま、「カラダを動かす習慣づくり」が注目されています。「つながり」を意識できることから、1人よりは何人かのメンバーで、そして、少しずつできることを増やして「できた」という自己効力感を高め、さらに習慣化することで「自発性」をアップする……。少々飛躍して感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、心の課題は、体へのアプローチで改善できる事例が数多く存在します。
大山峻護さんは、元総合格闘家で、現在は、企業や学校を訪問しトレーニング指導や講演を行っています。昨年、「ビジネスエリートがやっているファイトネス 〜体と心を一気に整える方法」(あさ出版)を出版されましたが、そのなかに次のようなエピソードを書かれていました。
「大山、視線を上げろ!」
試合前の大山さんは、恐怖や不安から、体を丸め、視線を下に落としていることが多かったといいます。そんな大山さんに、トレーナーはいつも「大山、視線を上げる!」とアドバイスされたそうです。目線が上がると心がオンに……。目線が下がると心がオフに……。だから、視線を常に上げることで心を強く持てるように指導されたということです。
つまり、心の課題は、体へのアプローチで変えられるということです。
さて、メンタルの課題とも並行して、コロナ禍で絶対的に行動量や運動量が減り、体や健康に関する課題を感じる事例も増えているようです。
「40歳を過ぎたころから太りやすくなってきた」「若いころに比べて疲れやすくなった」「階段の上り下りがしんどい」。40〜50代のミドル世代になると、こうした身体の変化を実感するようになります。60代以降になると、さらに体力の衰えを感じることが多いようです。その大きな要因となっているのが、筋力の低下です。
一般的に、「下肢の筋肉量は20〜30代で最大となり、中高年期以降加速的に減少。60歳以上になるとピーク時の15%減、70歳以上になると30%減となると言われています。
「東京都健康長寿医療センター研究所」の老化予防に関する様々な追跡研究によると、中高年期以降の運動機能には、いくつかの特徴があることがわかったそうです。
1.運動機能は加齢とともに低下し、進行していく
2.運動機能の個人差は、年齢が進むにつれて大きくなる
3.運動機能は将来の生活機能に影響を及ぼす
若いころは「運動が苦手」「仕事が忙しくて、運動をする時間がない」といっていても、それなりに活動量があれば大して困ることはなかったかもしれません。ところが、筋力が低下してくる中高年期以降、特に60歳を超えるようになってくるとそうはいきません。
加齢とともに加速する筋力の低下を予防するには、筋肉の細胞に刺激を与えて活性化する必要があります。体力の衰えを感じ始める中高年期以降は、意識的に筋細胞に『プラスα』の刺激を与えられるかどうかで、将来の健康度が違ってきます。つまり、「健康寿命は運動によって伸ばせる」ということです。
今現在、日本は世界的にも長寿国とされており、平均寿命は平成の初めが、男性75歳、女性82歳という数値から、今では男性81歳、女性87歳と年々平均寿命が上がってきています。今後も将来的には平均寿命は上がっていくと予想されています。しかし、長生き=健康という図式は成り立っていません。だからこそ、「健康寿命」を伸ばしていく必要があります。そのポイントこそ、「体づくり=筋トレ」ということになります。
メンタルの維持、アップは、「つながり」「できる(有能)感」「自発性」という心の3大欲求を満たすこと、そして、そのための有効な方法論の1つとして「体を動かすこと」。ひいては、筋力のアップが健康寿命の増進につながること。心の課題も体の課題も、それだけでは解決しづらいわけで、だからこそ双方向のアプローチが必要であるということになります。
ご参考までに、以下のURLをクリックしてみてください。
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2021.05.24:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】健康能楽 (※舩井勝仁執筆)
2021.05.17:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】茶道に学ぶコロナ時代の知恵 (※佐野浩一執筆)
2021.05.10:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】落ちる (※舩井勝仁執筆)
2021.05.03:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】『真ん中』でいること (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |