トップが語る、「いま、伝えたいこと」
日本の株価は世界の流れにおいて行かれて、もたもたしています。ただ、それでも日経平均で27,000円~28,000円のレンジなので過去の1万円割れという状態からはずいぶんまともな水準だと言えるかもしれません。アメリカの株価はダウ平均で35,000ドル近辺で動いていて、史上最高値水準です。アメリカは景気の回復が顕著でインフレ懸念が現実味を帯びてきています。
先週行われたFOMC(公開市場操作委員会)後の記者会見でFRBのパウエル議長はテーパリング(※量的緩和の縮小のこと)の早期実施を示唆しながら、それでもコロナの感染状況を見ながらの慎重な政策転換を示唆して、市場はおおむね好意的に受け止めてその後の株価はとりあえず上昇しました。インフレが止まらなくなるのは困るのでテーパリングの方向を打ち出さなければいけないのですが、いまの株高は金融緩和や政府の思い切った財政支出による金余りが主な原因ですので、その急激な縮小も大きなショックと受け止められます。バランスが難しいのですが、そういう意味では合格点というか模範回答だったようです。
日本は幸いというか残念ながらというかインフレ懸念は、株価や不動産などの資産インフレ以外には感じられません。原油などの商品価格や食料品価格は上がっているのですが、まだ企業努力で印象操作(例えば、価格を上げるのではなく量を減らして値上げを感じさせない値上げの方法)なども織り交ぜながら消費者に物価が高騰しているという感覚を感じさせないようにしています。また、賃金がなかなか上がらないので、これがインフレにならない大きな原因なのかもしれません。
私の希望的観測ですが、まだ金融崩壊のようなことは起こらない可能性が高いと思っています。中央銀行の市場との対話能力は高まっていますし、リーマンショックの教訓で市場の暴走をチェックする機能も高くなってきました。アルケゴスというファミリーオフィースが巨額の損失を出して野村證券や欧米の投資銀行が巻き込まれる事件もありましたが、巨大金融機関が潰れるような損失にはなっていませんので、いまのところはファミリーオフィースのリスクが明らかになったので、それに対する問題解決の方法が確立する方向にあるのだと思います。
父が懸念していた資本主義の崩壊は、リーマンショックの時に実質的にはすでに起きています。ただ、その後は急激に起きるのではなく徐々に浸透していって、気が付いたらまったく新しい金融秩序ができていたという感じになればいいなと思っています。楽観的すぎるかもしれませんが……。
昨年のちょうどいま頃刊行された山元加津子さんの「リト」(モナ森出版)を久しぶりに読みました。かっこちゃんこと山元加津子さんは特別支援学校の先生をされている頃からのお付き合いでした。映画「1/4の奇跡」は父も大変感激して、船井グループのイベントでも上映させていただいたり、かっこちゃんを講演にお招きしたりしていた長いご縁です。「リト」はかっこちゃんの本の中で私が一番大好きな「魔女・モナの物語」(三五館)の続編といえる作品で、フィクションだからこそ事実ではないですが真実が書けることを教えていただきました。
「リト」とは勇気のある犬の名前で、100ページほどのとても可愛いファンタジー小説ですが、先日惜しくも天に還っていかれた筑波大学名誉教授の故・村上和雄先生が、「リト」に寄せてというタイトルで、サムシンググレートについての巻末に寄稿されています。かなりのボリュームで、かっこちゃんと、村上先生の共著とも言える本になっています。
遺伝子にはONにした方がいいものとOFFにした方がいいものがあり、理想は悪い遺伝子をOFFにして良い遺伝子をONにすることと村上先生はおっしゃっていました。遺伝子のスイッチは全て遺伝子任せの生得的なものではなく、心の持ちようや生活態度で変わってくるという先生のお考えには、大きくうなずけるものがあります。
遺伝子とは、自分の生命そのものですから、この考えだと運命も宿命も自分の生き方次第だということだと解釈していいと思うのです。先生は、この寄稿の中でコロナウイルスが出現した意味について考察されています。地球規模で見ると、この時期、人間が様々な活動を自粛したおかげで大気汚染が減り空気が綺麗になった、これはウイルスが地球環境を守ったとも言えるかもしれない、と村上先生はお書きになっています。
どんなこともプラス発想に考え、中長期的な前向きな視点を忘れずにいることで、いい遺伝子がONになり、その結果みんなが幸せになり、命が輝くということを先生はおっしゃりたいのだと思います。かっこちゃんの描く「リト」も、同じくどんなことにも前向きな視点を見出していくことこそ、幸せになるための人生の鍛錬だと気づかせてくれるような童話になっています。ぜひ家族みんなでこの時期に読んでいただければと思います。
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2021.08.23:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】核の傘でいいのか!? (※佐野浩一執筆)
2021.08.16:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】病気を治す医者になる (※舩井勝仁執筆)
2021.08.09:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】「いま、ここに生きる!」 (※佐野浩一執筆)
2021.08.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】リト (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |