トップが語る、「いま、伝えたいこと」
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の4社の時価総額の合計が日本の全上場企業の時価総額を足した金額より大きくなりました。GAFAが770兆円に対して、日本株が全部で約750兆円だそうです。日本経済がたった4社の合計に負けているというのは何か切ないものがありますが、いまの株式相場というか、いまの経済を象徴している出来事になるのだと感じます。いまのIT社会の大きな特徴は勝者独り勝ちで、英語で言うと(Winners take all.)。一番になったものがすべての果実を持っていくものだからです。
昭和の時代、日本が高度成長からバブル経済を謳歌している時は、日本人は広い意味でというかいい意味で談合を得意としていました。建設業界のように法律に抵触して時には逮捕者を出すという犠牲を払ってまで談合をしていた業界もありますが、多くの業界は大体の会社毎のシェアが暗黙の了解で決められていて、業界の集まりで阿吽の呼吸で例えば、公共事業などの大きな仕事の分配はどの会社が、どの仕事を受注するかが決められていたのではないでしょうか。だから大切なのは、その調整のための接待だったのです。
これは逆に言うと、上はメインバンクを筆頭とする企業グループを形成して、下は下請けに至るまで、ある程度の痛みをみんなで共有することで、みんなが何とかやっていける素晴らしい体制だったと考えられないこともないと思います。そして、そこには業界の盟主を中心として徹底的なカンバン方式での合理化の作業を伴い、それはある意味、現在でも日本の産業の強さの秘密になっています。それを当時のアメリカは非関税障壁だと言って攻撃していたわけですが、何のことはない、いまのアメリカは勝者独り勝ちという非関税障壁を見事に確立することに成功したと考えればいいのかもしれません。
非関税障壁というのは、GAFA等が資本力にものを言わせて、本来は公共財であるべきプラットフォームを独占し、それに挑戦してくる会社を買収を含めて事前に叩き潰す戦略を採っているからです。違法ではないので非難される筋合いはないかもしれませんが、ここまで巨大な力を持ってくると、道義的責任はどうなるかを問われるようになります。教科書的に言えば、産業全体の競争力を健全に維持するための巨大すぎるプラットファーマーは分割されるべきだからです。
アメリカという国はお金持ちや大きな会社が資金力を使って政治の方向を決めることがロビイスト法という形で合法化されている社会でもあります。巨大IT企業は民主党政権と相性がいいので、バイデン政権が続いている間は彼らの力は安泰かもしれませんが、共和党の大統領になったタイミングで転換点が訪れるかもしれません。一寸先は闇の変化の激しい時代、GAFAといえども確実に生き残れる確証はないので、彼らはますます彼らの独占的な地位をキープするべく暗躍を続けることになり、今度はそれを世論がどこまで許容できるかということになるのだと思います。
「どんな逆境、どんな時代でも人とお金に愛されて成長しつづける」をミッションに活動されているこささやすしさんという経営者がいらっしゃいます。普段はIT企業を経営されているのですが、日本話すつぼ協会会長としての活躍が最近とみに有名で、先般「話すツボは7つ〜営業担当者がいなくても会社を成長させる社長の極意」という本をビジネス社から出版されました。
距離感の体得というのは、どんなセミナーや講座で学んでも、自分の育ってきた環境でなかなか個人差があり、若い人の言葉で言うと「陽キャ(陽気なキャラクター)」「陰キャ(陽キャの逆)」に分けて、特に後者だと自分で認定している人は、コミュニケーションにコンプレックスを感じることが多いようです。こさささんの今回の本では、「顔のツボ」の容姿を褒めるところから「心臓のツボ」まで相手を受け入れ、寄り添い、自分が相手に抜群に印象つけるまでの極意が書いてあります。これは、特にコミュニケーションをとても不得意としている人に読んでほしいなと思いました。
これまで何度かお目にかかっているこさささんの私の印象を一言で言うと、とても感謝の人です。人を褒めることが大切と言うと、何か見返りを含んだ下心を相手に見抜かれるのではないのかと考える人もいますが、こさきさんはお会いしてすぐに「舩井さん、会えて嬉しいです。今日、この時間に一緒にいてくださることにありがとうございます」と言うような感謝オーラをふんだんに出してこられます。このような気持ちを素直に見せてくれる人に、好感を持たない人はいないと思います。
父も晩年何度も著作に「何事にもこだわらず、全てのものに愛情を持って、あるがままに生きる世界を我々の魂は求めているのです」と書いていますが、本当にこのようなマインドを自分の真ん中に日々据えていれば、いつも極めて自然に、そして誤解を恐れずに、他者や社会に向き合えると最近はとみに考えています。こさささんもまさにこのような世界に生きてらっしゃる方です。究極の営業マンの真髄に触れられる本になっていますので、ぜひご一読をおすすめします。
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2021.08.23:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】核の傘でいいのか!? (※佐野浩一執筆)
2021.08.16:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】病気を治す医者になる (※舩井勝仁執筆)
2021.08.09:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】「いま、ここに生きる!」 (※佐野浩一執筆)
2021.08.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】リト (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |