トップが語る、「いま、伝えたいこと」
「共感力」
共感力とは、文字どおり他人に共感する力のことです。他人の気持ちがわかる力ということであり、他人に自分の気持ちをわかってもらう力ということでもあります。そこにさらに、お互い共感することで発揮される力という意味も込めて、私は「共感力」という言葉を理解しています。
具体的には5つの手段があると考えられます。
(1)感謝を伝える
(2)可能性を信じる
(3)誤った行為をしかる
(4)感情を共有する
(5)チーム心を養う
上記をさらにかみ砕くと、おおよそ次のようになります。
(1)感謝を伝える=大切な人に、きちんと言葉で感謝を伝える
(2)可能性を信じる=大切な人の可能性を最後まで信じ、相手の自信を育くむ姿勢をもつ。
(3)誤った行為をしかる=しかるときは人格を否定せず、誤った行いを短い言葉でしかる
(4)感情を共有する=恥ずかしがらず、喜怒哀楽を一緒に表現する
(5)チーム心を養う=「チームのために自分には何ができるのか?」を全員が自問自答できる雰囲気をつくる
私たちは、いろんな組織、団体に所属しているわけですが、リーダーすべてが最初から完璧にできるわけなどありません。そして、私たち自身もできないことがあります。ですから、一人でも多くの人材が、こうしたリーダー的資質を身に付けていこうとする努力は必要だと思います。
「共感力」を高めるのは、その一歩ともいえますし、カウンセラーという立場でとらえると必須の資質とも考えられます。
私は、案外、(4)番の「感情を共有すること」の大切さを痛感しています。もちろん、感情的になることではなく、あくまで自身が感じた「感情」を伝えることです。そのことによって、互いを分かり合うことにつながると感じています。
「他人に共感する」ことは、とても大切です。精神科医のカウンセリングでも大切だといわれますが、今回は、この「共感」について、ある精神科医の見解をもとに、カウンセラーの一人として少し掘り下げてみたいと思います。
辞書的には、他人の考えや意見、感情について「その通りだと感じること」ですが、ちょっと違和感を感じてきました。
ここで、その精神科医が面白い表現をしていたのです。
『共感でいちばん大事なことは、「アナタの気持ちはわからないです」っていう謙虚さです。』
これ、めちゃくちゃ衝撃的でした。
「相手の気持ちがわからないと共感できないでしょ?」と思ったかもしれません。でも、いつも話しているのですが、人間って相手の気持ちになることはできないものです。もちろん、相手の状況とかシチュエーションを想像することはできますが、相手の気持ちをそのまま完全に理解することは不可能です。
そのことを前提としたうえで、「私にはアナタの気持ちを完全に理解することはできませんが、アナタの話を聞く限り、私はこう思います」というふうに、自分の心のままに話すのが、本来の共感だとおっしゃっていました。これは結構、腑に落ちました…。
だから、共感するには「相手の気持ちはわからない」という謙虚さを持つことがなにより大事です。相手に共感しようと思ったのに、逆に反感を買われたなどという話はよく聞きますが、それはこの謙虚さがないことが原因なんです。わかったふりをしないことが大事です。
「アナタの気持ちになることはできないけれども、私はこう思いますよ」っていうふうに思いながら聞いていくと、「それはつらいだろうね」という共感が生まれ、「アナタの気持ちを想像すると、とても大変そうだと思う。話だけでも聞くよ」と、相手にもアナタが共感する気持ちが伝わると思います。
要するに「相手の気持ちはわからない」という謙虚さを抱きながら、一歩引いたところで親身になって話を聴くこと。すると「なんか本当に大変ですよね」という感じで、心からの共感が生まれるということです。
下手に「私も同じような体験をしましたからわかります」みたいなことをいって、「そんなときは、こうするべきだ」なんて指導するようなことは、ぜったいに共感とはいえません。場合によっては「マウンティングされた」みたいに受けとられかねないからです。
やはり共感で大事なことは、「私はアナタの気持ちにはなれない」という大前提を踏まえた謙虚さを持つということなんですね。
これは、とっても勉強になりました。
感謝
2022.10.24:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】日本という希望 (※舩井勝仁執筆)
2022.10.17:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】いまこそ、共感 (※佐野浩一執筆)
2022.10.10:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】エクソダス (※舩井勝仁執筆)
2022.10.03:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】躾と人財 (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |