トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2022年10月31日
メンタリティとマインドフルネス (※佐野浩一執筆)

 人は皆ちがう……。
 そんなことはよくわかっているはずなのに、日常生活や仕事においては、いろいろ悩むことも多いと思います。
 たとえば、一生懸命悩んでいるのに、周囲からは「気にしすぎ」と言われてしまうことがあります。そのせいで「気にする自分がおかしいのでは」と、落ち込んでしまう人も増えているようです。
 また、答えが出ないから困っているのに、「考えすぎ」と言われることもあります。周囲との温度差を感じ、「考えすぎる自分が悪いのでは」と自分を責めてしまう人も増えてきていると聞きます。
 そんなとき、一つ確認できたらと思うのです。
 「本当に、気にしなくていいことをいちいち気にして、考えなくてもいいことをわざわざ考えているのですか? しかも、自ら望んでそうしているのですか?」
 きっと、……違いますよね。
 気にしたくないのに気になったり、考えたくないのに考えたりしてしまうから、悩んでしまうのです、きっと。人はだれでも、気にしなくてすむなら気にしたくないし、考えずにすむなら考えたくないのだと思います。
 そんなとき、「気にしすぎ」「考えすぎ」じゃなくて、「気になるようなことがあって」「考えてしまうようなことが起こっている」と思っていいのだと教わりました。こんなに悩み頑張ってきたのですから、せめて自分で自分を責めないでおきたいですよね!
 喜怒哀楽という感情が、色鉛筆だとイメージしてみてください。世の中の多くの人が「10色の色鉛筆(=感情)」を持っているとしたら、もしかしたら「100色の色鉛筆」かもしれません。
 一つの色にだっていろいろあります。
 世の中の多くの人にとって「ただの青」であったとしても、「透き通るような青」「目が覚めるような青」「優しい青」などさまざまなものを感じ取っているかもしれません。
要するに、持っている感情の種類、色鉛筆でいえば、その種類と数が違うのです。ならば、当然、感じ取るものも、表現するものも違ってきます。
 こんなシーンでの感情の動きも、ちがいが生まれます。
 誰かがコップを倒した場面。
 シンプルに、「あ、コップが倒れた……」と認識する人。これは、事実を情報としかキャッチしていないということです。
 でも、「たいへんだ、拭かないと!」「濡れてしまったらたいへん!」と感じる人もいます。「自分も気を付けないと……」と感じる人。「そういえば、以前にそんなことあったな」と思う人。「そもそも、あんな置き方してたらだめだな」と感じる人。
 本当にそれぞれにちがいが生まれているのです。
 ここでお伝えしたいのは、「気にしすぎ」なのではなく、「気にするようなこと」が現実に起こっているということ。ほかの人たちが「1つの問題点」にしか気がつかないような時にでも、「5つの問題点」に気がつき「5つの解決法」まで思いを巡らせているという可能性があるということですね。
 だから、「そりゃあ、疲れるなー」と思えてきますよね。
 考えすぎて疲れてしまうのは、弱さではなく、感受性のちがいです。
 ですから、「疲れて当然」なのです。
 つまり、自分をねぎらってみること。決して、自分を責める材料にしないことです。そうするだけでも、今よりも心が疲れにくくなります。

 さて、人にはこうしていろんなメンタリティがあります。
 心や体を疲れないようにメンテナンスするために、マインドフルネスをお勧めしたいと思います。
 マインドフルネスは、臨床心理学や精神医学といった世界にも大きな影響を与えています。1970年代以来、マインドフルネスに基づいた多くの治療応用が開発され、うつ症状の緩和、ストレスの低減、薬物依存への手当、精神疾患の治療、心の健康に関する問題の改善といったことに用いられてきました。マインドフルネスが心身の健康の改善に役立つということがどんどん解明されてきたのです。
 マインドフルネスとは、過去の経験や先入観といった雑念にとらわれることなく、身体の五感に意識を集中させ、「今、瞬間の気持ち」「今ある身体状況」といった現実をあるがままに知覚して受け入れる心を育む練習のことです。練習によって身に付いた心の状態を表現すると、いわゆる「マインドフルネスな心」になっていくと言われています。
 ご存じのとおり、マインドフルネスは、仏教における瞑想がベースになっています。瞑想は、腹式呼吸や呼吸と連動したおなかの動き、五感を使う体験などを通して、過去や思考、感情にとらわれない心を育成するものです。
 実は、マインドフルネスの実践によって得られる効果やメリットは思いのほかたくさんあると言われています。

@集中力、記憶力、作業処理スピードが向上する
 ハーバード大学は、管理職を被験者としてマインドフルネス前後の作業処理スピードを、正確性や複数同時作業などの効率性といった項目から調査しました。その結果、マインドフルネスが不十分であったグループと比較した場合、スピード、集中力、記憶力といったすべての項目でマインドフルネスを実施した被験者のほうが数値がアップしたといいます。

Aストレスに関する遺伝子の数が減る
 ワシントン大学では、慢性的にストレスを感じている被験者210名に対してマインドフルネスを6カ月間実施し、ストレスに関する遺伝子数の変化を調査しました。その結果、「マインドフルネスを実施した被験者のストレスに関わる遺伝子数が減少した」という報告がなされたのです。この実験から、マインドフルネスに耐ストレス性があると分かりました。

B抗炎症効果が期待できる
 オハイオ大学では、乳がんを克服した被験者200名を100名ずつのグループに分け、3カ月後に血液検査を実施しました。その結果、マインドフルネスを行ったグループでは、3つの炎症マーカーの数値がそれぞれ10〜15%減少したのです。このようにマインドフルネスは、精神的な安定だけでなく身体面での抗炎症効果も期待できると分かってきたのです。
 
 では、その「マインドフルネス」はどのようにおこなえばいいのでしょうか?
 基本的に、マインドフルネスでは、
@姿勢を正す
Aただ自分のしている「呼吸」に意識を向ける
 この2つを実践します。
 
 最近よく話題になる「マインドフルネス瞑想」とは、マインドフルネスと瞑想が組み合わさったものを指します。
・マインドフルネス:現在、つまり「今の瞬間」に注意を向ける心理的過程
・瞑想:心を静めることで無心になったり、何かに心を集中させたりする

 マインドフルネス瞑想とは、マインドフルネスと瞑想の両者が合わさることで、マインドフルネスをより発達させ、充実したものにできること。マインドフルネスの実践に欠かせない概念です。
 『脳を鍛える超呼吸法』(KADOKAWA)の著者であり、マインドフルネスの第一人者、関根朝之氏は、つぎのような方法論をお勧めされています。

●超呼吸法の基本ルール
@吸うことよりも、吐くことを重視する
A鼻から吸って、口から吐く
B座ってやっても、立ってやってもよい

 「4秒(吸う)8秒(吐く)」が1つの単位で、これをくりかえすことが基本の呼吸のリズムになります。吸う時間よりも吐く時間を長くすることで、副交感神経優位になり、こわばっていた体がほぐれ、脳と体に大量の酸素がスムーズに送り届けられるようになるといいます。
 朝スッキリ起きたいときは、「2秒(吸う)2秒(吐く)」を1単位として、短いリズムで胸式呼吸をくりかえすことで、交感神経優位へと導くことができます。
 休む暇のない脳が病んでしまわないためには、よりじゅうぶんな酸素を供給して、脳を回復し続ける必要があるのです。

 とにかく、「鼻から吸って、口から吐く」が基本のルールになります。その理由は、鼻は呼吸器官ですが、口は呼吸器官ではないということにあります。何も考えずに、ではなく、しっかりと呼吸に意識を集中してみることです。息を吸ったときに、おなかをへこませ、息を吐いたときに、おなかをふくらませます。逆腹式呼吸を行うと、呼吸にかかわる呼吸筋群(横隔膜・肋間筋など)や、呼吸を助ける呼吸補助筋群(僧帽筋・腹斜筋など)をしっかり使うので、全身の血流が改善されるのです。
 というわけで、今回もまたメンタルのことについて書かせていただきました。メンタルの課題やテーマというのは、いつの時代にも共通して取り上げられてきました。だからこそ、こうしたシンプルな方法論は、ぜひ取り入れていただいて、いっしょに実践していけたらと願っています。
                        感謝

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2022.10.31:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】メンタリティとマインドフルネス (※佐野浩一執筆)
2022.10.24:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】日本という希望 (※舩井勝仁執筆)
2022.10.17:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】いまこそ、共感 (※佐野浩一執筆)
2022.10.10:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】エクソダス (※舩井勝仁執筆)
2022.10.03:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】躾と人財 (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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