トップが語る、「いま、伝えたいこと」
あけましておめでとうございます。本年も舩井幸雄.comならびに舩井本社グループの媒体をどうぞよろしくお願いいたします。
今年は一体どんな年になるのでしょうか。年末には、多くの方に質問されましたが、答えはわかりません。わからないというか、近未来も含めて社会の行方は、私たち一人ひとりが持っている集合的無意識が決めていくので、今年の行方は我々の意識次第だということになるのだと思います。それだけ、私たちの意識の力が直接社会に反映されるようになってきたとも言えるのかもしれません。創造力を駆使して、無理のない範囲で想像可能な今年がどんなに良い年になるのかをお正月の間に考えていただければと思います。
昨年は一時、150円を超える円安になりびっくりさせられました。背景には欧米で進む激しいインフレとそれに対処するために主にFRBが実施した利上げ政策がありました。それに対して日銀はかたくなに金融緩和策を修正しないということを言い続けていたのですが、12月20日の金融政策決定会合でついにYCC(イールドカーブコントロール)政策の見直しを迫られ、長期金利(10年物の国債)の水準を0.25%以下から0.5%以下へ修正しました。
11月までに海外勢は11兆円にも上る長期国債の売りを仕掛けていて、近年では初めて日銀が市場に屈した事例(長期国債の価格が下落したことで、売っていたヘッジファンド等がかなり利益を出した)になったのではないかと言われています。
今年の4月に任期を迎える黒田総裁の後任がこの事態に追い込まれるのは確実視されていたのですが、見ようによっては、黒田総裁は自分の手で市場への対話の責任を果たしたということになるのかもしれません。この政策が直接のきっかけになったわけではありませんが、結果論として130円台前半の、一時に比べればかなり円高水準で為替相場は推移しているので、日銀としても一番大事なものは守ったのではないかと個人的には感じています。
今年も様々な金融相場の動きに翻弄されることになりそうですが、より大局的に見ていきながら私なりの解説をさせていただければと思っています。
新年最初にご紹介する本は下川部康雄著『お金をかけずにお客様が戻ってくる 繁盛店の作り方』(ぱる出版)です。著者の下川部さんは北海道で『活食・隠れ酒蔵かけはし 北2条店』という飲食店を経営されていて、赤塚高仁先生の北海道変容塾のメンバーです。私も同塾の講師として札幌に行った時の懇親会でお邪魔したことがあります。先月、全国の変容塾の最後になる沖縄に私はゲスト講師として参加させていただいたのですが、下川部さんは、はるばる北海道から沖縄までやってこられていました。その懇親会の時に赤塚さんから強く勧められて本書を読んでみました。
飲食店は、その多くが数年以内に閉店すると言われていますが、下川部さんはそんな厳しい競争の中、30年以上飲食店経営を継続されてこられた、いわば生き残りのプロとも言える経営者です。経営の中で多くの工夫をされることで、北海道地震や新型コロナの影響で何度も窮地に陥りながらも、その度に逆境を乗り越えてこられた強者です。そして、その生き残りのコツは一人で考えずに誰かに相談することで、相談できる人をたくさん持っているのが下川部さんの生き残り策の極意のような気がしました。
30年以上の経験を持つ経営者の視点から語られる内容は、飲食店を始めようとする方には非常に有用な一冊になるはずです。
特に要点を度々太字で強調されていることで、本を読み慣れていない方にもやさしく、頭に入ってきやすい構成になっています。そして、飲食店を経営しているわけではない私が読んでいても参考になることがたくさんあり、経営者としても人間としても多くのことが学べる本になっていると思います。
下川部さんのお店は「日本一椎茸の焼き方にうるさい店」だそうです。日本一をつくることがお店の経営にとって大事なことは、お分かりいただけると思います。その日本一を基に様々な工夫をされていることが、シンプルで大事な経営のコツになっています。このノウハウは、異業種の方にも本当に参考になる情報だと感じます。
その他にも、例えば、経営のコツとして紹介されている方法の中には、食材の生産者様と直接かかわる重要性、スタッフとのコミュニケーション、SNSを活用した発信、お客さんに見せられる調理場作り、名刺やそれを活用した宣伝方法、同業者と良好な関係を築くなどがあります。
それらに一貫しているのは、コミュニケーションが重要だという点です。繋がりの中から成功や逆境を乗り越える術は生まれる、自分の世界に閉じこもらない。インターネットを利用すればそこからさらに広がりはできる。そうしていれば、人が集まり、経営も上手くいく。人間関係の構築は、いざという時のセーフティネットとしての機能も果たします。
特に飲食店経営は、経済的に追い込まれることで自ら命を絶つ経営者なども、多く存在すると言います。ですが追い詰められた時、そこから抜け出す方法を見つけ出す最適な方法は、信頼できる相手に相談する事。お金を集めるにしても、一度撤退するにしても、繋がりを持つことは、解決策を見つけるきっかけにもなります。
かけはしという店名は、生産者さんの心を伝えられる、かけはしのような場所にしたいという下川部さんの想いから付けられたそうです。
チェーン展開など、規模を拡大して大きな利益を上げようとするのとは違う、ご縁を大切にする、そこに一つの飲食店経営としての理想形を見出せたように感じました。社会的にも経営レベルで見てもいろいろなことが起こるのであろう本年の冒頭を飾るにふさわしい本だと思います。ぜひお読みください。
新鮮な食材や美味しい料理など、以下のサイトで販売中です。
隠れ酒蔵かけはし 北2条店オンラインショップ
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2023.01.23:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】すぐに幸せになれる理由 (※佐野浩一執筆)
2023.01.16:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】アフターデジタル社会への適応 (※舩井勝仁執筆)
2023.01.09:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】新しい断捨離の時代 (※佐野浩一執筆)
2023.01.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】繁盛店の生き残り策 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |