トップが語る、「いま、伝えたいこと」
締め切りの関係で金曜日の朝にこの原稿を書いています。私の場合は、相場の情報を前半に書くことにしていますので、なるべくリアルタイムに近いところで書こうと思っています。1月26日(木)には、トヨタの社長交代のニュースが飛び込んできました。ちょっとびっくりしましたが、いまのところ市場は概ね歓迎しているように感じます。また、テスラの好業績も発表されて、米商務省が発表した10〜12月期のアメリカのGDPが速報値で2.9%増になり、これも市場予想を上回るもので、急速な利上げにも関わらずソフトランディングができるのではないかということで、アメリカの株式相場にはプラスに働きました。
この原稿を書く日は、いつもにもまして日経新聞をしっかりと読むのですが、27日の朝刊をみていて感じたのは、日経新聞は日銀のYCC(イールド・カーブ・コントロール)政策に異議を唱えているようだということです。簡単に言えば、長期金利を日銀の意向でコントロールするというか、いまのところ0.5%以下に抑えるために日銀が国債を購入する政策のことです。まず、IMF(国際通貨基金)が日銀緩和に修正案という記事があり、債権のインデックス(指数)運用から日本国債を除外する動きを伝えて、ダメ押しで長期金利が再び上昇してきたことを報道しています。
3番目の記事は、今月の金融政策決定会合で市場の予想に反してYCC政策を維持し、長期金利を引き続き0.5%以下に抑える政策を続けることに露骨に反論をして、まるでヘッジファンドのお先棒を担ぐような記事だなと私には思えてしまいました。確かに、長期金利を中央銀行がコントロールする政策は、少し前までは禁じ手でした。ただ、ヨーロッパでもいまの激しいインフレが進行する前は同様の政策がとられていたように感じます。日本を代表する経済の専門紙が中央銀行ではなくてアメリカの投機筋の肩を持つのはどうなのかな、と私には思えてしまいます。
日本の金融政策や金融関連企業(銀行、証券等)を叩いて、アメリカのそれを持ち上げるのが日経の方針だとは感じていましたが、27日の朝刊はちょっと酷すぎるのかなというのが私の感想です。黒田総裁が退任された後の日銀の政策がどうなるのかはわかりませんが、アメリカの国益ではなく日本の国益を考えていくのが、政財官やマスコミの第一線で活躍するエリートの人の本来の役割だと思うので、そんな状態に早く戻って欲しいなと、私の勘違いだとは思いますが少し残念な気持ちになりました。
2017年に出版されたものなので、古い本になりますが、ある人からすすめられて養老孟司先生の「遺言。」(新潮新書)を読みました。解剖学者ですが、2003年に出版された「バカの壁」(新潮新書)が400万部を超えるベストセラーになって一躍エッセイストとして有名になられました。「遺言。」は2016年に養老先生が80歳の時に書かれたので遺言というタイトルを付けられたそうですが、まだまだ生きるつもりなので、これからもどんどん書きかえると「はじめに」に書かれています。
まず面白かったのは、動物にはイコールがわからないというところでした。人間はイコールがわかるから数学ができる。「a=b ならば b=a である」は人間にしかわからない。
(引用開始)
朝三暮四という四字熟語がある。サルを飼っていた宋の狙公が、サルに朝にはドングリを 三つ、夜には四つやるといったら、サルがイヤだといった。ではというので、朝四つ、夜三つにしたら、それでいいといったという話である。一日に七つなんだから、同じことじゃないかと考えるのがヒトだが、じつは違う。ここにもみごとにa=bならば、b=aだという問題の理解が表れている。動物にとってはa=bでもb=aにはならない。だって、左辺だけ見たら、すでにaとbで「違う」んですからね。
以前から中国人はそこにサルとヒトの違いがあると、ちゃんと知っていたのである。
(引用終了)
人間はイコールがわかるから、嫉妬して同じにならなければ満足できません。隣人がいい思いをしていることを許せないのです。多分、これが貸し借りの感情から生まれたものであるという面で考えると、お金の始まりになると思います。また、陰謀論で言うディープステート(DS)がワンワールドで世界共通政府をつくろうというのも、イコールにしようという人間の本性からくる圧力だと思えばいいのかもしれません。関連で面白かったのは、一神教は都市文明でできたので同一性への圧力が強いが、日本の八百万の神々という概念は自然の中で生まれた文明なので、多様性を認めるのではないかという点でした。
さらに、人は死にますが、情報というデジタルデータはデータとしては、(いまの文明が滅びない限り)永遠に残るということを紹介されていました。これは自然の摂理に反するようにも思えますが、スピリチュアル的にいうと、アカシックレコードというものがあってすべての宇宙の生物の営みが記録されているという考え方もあるので、広義に概念を広げていけば、デジタル社会は天の理を地上でも使えるようにしてくれるものなのかもしれません。養老先生はデジタル化をどちらかといえばネガティブにとらえていらっしゃいます。読者の皆さまも、ご自分はどう考えるか、養老先生の見地を参考に考えてみていただければと思います。
=以上=
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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |