トップが語る、「いま、伝えたいこと」

　今年７月２７日のことです。「お菓子の日高」（日高久夫社長）から、文化講演会の講師をたのまれ宮崎へ行きました。当日のことは、このホームページの７月２９日の「秘書からみた船井幸雄」に詳しく紹介されていますので、ぜひ読んでください。
　講演前に月刊『Funai Media』のイヤシロチ探訪に霧島東神社と綾町の照葉大吊橋を訪ねました。
　この綾町は私とは特別に縁のあるところで、前町長の郷田　實さんと私は非常に親しかったのです。西日本一の貧乏町だった綾町を、日本一の豊かな町にした人として郷田さんは有名な人ですが、私とは非常に気があいました。
　この郷田　實さんが亡くなられた後で、私はお嬢さんの郷田美紀子さんにお会いしたのですが、初対面から特別に気があいました。彼女とは２００２年３月に『F-Ace』（その後『Funai Media』に改題）誌上で「人間力対談」を行なっています。彼女はいま、綾町で薬局を経営しながら薬膳茶房の「オーガニックごうだ」を経営していますが、今回も綾に行くと、まず、彼女のところを訪ねました。ともかく私は彼女が横にいるだけで「ほっ」とするか癒されるのです。彼女に今回も大歓迎を受けました。
　以下に『F-Ace』２００２年３月号の人間力対談の冒頭の記事を再録します。

人間力対談 ――�D　　郷田美紀子／船井幸雄
自然の摂理に従って生きよう　――生命の根っこからのメッセージとは

過疎の貧しさから抜け出し、「村おこし・町おこしの先駆的モデル」と言われるまでに、町を蘇らせた宮崎県綾町の前町長、郷田實氏を父に持つ、郷田美紀子さんが今回のゲストです。父君の意思を継ぎ、綾町の自然を愛し、守り続けようとするその姿は、「人間は一人で生きているのではない。人間を大自然の中の生き物の一つとしてとらえ、すべての『命』の尊さを感じることが大切なのだ」という彼女の生き方そのものと言ってもいいようです。

町の８０％が照葉樹林という綾町に生まれ育って
船井　宮崎県綾町というのは、昭和３０年〜４０年代にかけて、おそらく日本で一番貧しい町と言ってもいいようなところでした。ところが、今では多分、九州、いや西日本で一番裕福な町に変わったといっていいと思います。
　これは、郷田さんのお父様が町長として自然の摂理に従った理想郷にされたからだと思うのですが、その遺志を継がれて、郷田さんもご専門の薬剤師として、食・環境運動などの面で、さまざまな活動をなさっているし、さらに綾町を素晴らしい町にと努力していらっしゃると、つねづね敬服しています。
郷田　ありがとうございます。おかげさまで綾町には、年間、１２０万人近くの人々が全国からお見えになるようになりました。
船井　これは、ものすごい数字ですね。たとえば四国の四万十川などは有名な自然の宝庫などといわれていますが、年間、２３万人ぐらいの人が訪れる程度ですし、屋久島だって１６万人ぐらいなんですから。
郷田　ありがたいことだと思っています。やはり日本では最大規模といわれる常緑広葉樹である照葉樹林を含めて、森林が８０％を占めている町のよさが、多くの人びとにそのよさをご理解いただけたからでしょう。
船井　その森林を守られたのが、お父さまです。私は以前、お父さまに親しくしていただいていましたので、本当に綾町の発展には感無量のものがあります。営林署が照葉樹林を伐採しようとするのを身を挺して反対されたから、いまの綾町があるんです。住民の方たちも偉かった。ほとんどの人が反対の署名運動をして、県知事、県議会を動かし、農林大臣に直訴して阻止したのですね。素晴らしいお父さまです。
郷田　それでも私には、とても厳しい父で怖かったんですよ、ずーっと。幼いころには、いっぱい遊んでもらった記憶があるんですが、やっぱり父は男の子が欲しかったんだと思いますね。それなのに私一人しか生まれなかったものですから、いろいろ複雑な思いが父にはあったと思います。
船井　なるほど、しかし立派に、お父さまの心を継いでいらっしゃる。
郷田　でも私は、あまりかわいげのない娘だったと思います。父が生きている間は、早く父に追いつこうとか、追い越そうとかを考えているような娘でした。何というのかな、早く一人前に認めてもらいたくて、いつも無理しているようなところがありました（笑）。きっと父は苦笑していたでしょう。
船井　お父さまの町長時代は、東京で学生時代、青春時代ということになりますね。
郷田　父の初当選は昭和４１年で、山の伐採を阻止する戦いをしたのも同じ年です。私が東京から帰ったのは昭和４７年ですから、町長時代の最初の頃は知らないのです。山を守るあのものすごい時代を知りませんし、斧を持って人が押しかけてきたり、石を投げられたりしたことも体験していませんね・・・。
　父のことを本当に知ったのは、亡くなった後、父が書いた『結の心』を読んでからです。もうびっくりしましたね。
　父は私を決して甘やかしてはくれませんでした。信じられないくらい厳しかったのですが、いなくなってから実はすごく愛してくれていたことに気づいたのです。
船井　いつも私は聞かされていたんですよ。ご自慢のお嬢さんでしたから。だから昨年の１１月でしたか、宮崎の講演後のパーティーの席上、はじめてお会いした時、名前を聞く前に、顔を見た瞬間、あ、お嬢さんですね、って申し上げたんです。
郷田　本当にそうでしたね。ありがとうございます。そんなに父のことを大切に思っていてくださって、はじめてお目にかかる私なのに、一瞬でわかっていただいて・・・。だから今日、また先生にお会いできると思うと、うれしくって涙を流してしまったんですよ。何だか仏さまにお会いできるような気になってしまうんです（笑）（抜粋ここまで）。

　彼女のところで、この『F-Ace』を見せられ、帰ってから改めて、この人間力対談を読みました。さらに第１号（２００１年の９月　創刊号）から、いままでの人間力対談の全部に目を通しました。すべてに感動があります。
　『Funai Media』誌の看板企画ですから、感動しても当り前なのでしょうが、対談の一方の当事者が私なので、変な気持ちですが、どの人とも謙虚にあけっぱなしに語っているを発見しました。
　ぜひ時間がありましたら皆さんにもお読みくださることをお願いしたいと思っています。
　ところで、この日、昼ごはんを『オーガニックごうだ』で食べました。１５００円の特別定食をつくってもらったのですが、実においしくびっくりしました。その時そえられていた説明書を、ちょっと紹介します。
　宮崎市から車で約３０分／宮崎空港から約４５分です。
　宮崎へ行かれたらぜひ皆さまもこの店へ足を伸ばして下さい。必ず満足されると思います。

薬膳茶房　オーガニックごうだ
オーガニックとは環境を汚さずに作ったものを指します。
「医食同源」といわれるように、まさしく食べ物は人の体の「肥料」
なによりの「薬」となりますし、その逆のこともありえます。
良い食べ物とは、できる限り無添加・無農薬であることはもちろんですが、
漢方薬膳では、“気・血・水”の考えの基に“酸・苦・甘・辛・鹹”の五味調和を重要視いたします。
　また、気候風土に見合っているかということも忘れてはなりません。
　私共は、食材を充分吟味し、真心を込めておもてなしをいたしたいと考えております。
薬剤師　郷田美紀子

食材へのこだわり
水・・・・綾の名水を麦飯石にとおしたミネラル水を使用。
塩・・・・昔ながらの海水を煮つめた「海の精」を使用。
酢・・・・黒酢もしくは天然穀物酢。
砂糖・・・粗糖、もしくはオリゴ糖を使用。
油・・・・椿油・オリーブ油・米油・菜種油などの良質の各種・天然植物油を食材・調理法によって選択。
御飯・・・・無農薬の米・小豆・黒豆・はと麦・粟を一緒に炊いた五穀の御飯です。
パン・・・・郷田薬局とパン工房綾の共同開発による紅麹パン使用。
卵・・・・・郷田農園と黒木農園のこだわりの卵を使用。
野菜・・・・綾を中心に全国からオーガニックの野菜を集めました。
肉・・・・・水と飼料にこだわった綾産の肉を使用。

薬膳茶房　オーガニックごうだ　
宮崎県東諸県郡綾町南俣３０３−４
ＴＥＬ：０９８５−７７−００４５
営業時間：１０：００〜１８：００
定休日：火曜日（祝日は営業）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＝以上＝