トップが語る、「いま、伝えたいこと」
ついこの間のことです。「先生のHPを見ていたら、“にんげんクラブ”は4500人が損益分岐点だ。だから増やさねばならない…と書いていたでしょう。イメージがこわれますから、これは書かないほうがいいのでは?」と親しい人から言われました。
私は「経営者でない人には、経営体とか経営者のあり方、それに経営者としての特性などは分らないんだな」と思いながら、これについては、このページ上に絶対に書かねばならないと気づいたのです。
一般に株式会社や有限会社というような資本主義下での民間企業体は、利益が上らねば存在価値のないものです。
自分らで働き、稼ぎ、生活をし、しかも利益を残し、そこから税金を払っている存在だからです。主としてこの税金で、いまの世の中は回っています。
いま、世の中で唯一税金を払う存在が、民間企業体と言っていいくらいです。
ところが経営者や経営コンサルタントをやってみるとよく分るのですが、民間企業で、最終に利益を残し、税金を払うのは、なみたいていのことではありません。約半数の会社が、常に赤字で四苦八苦しています。
ちょっと売上げが落ちても、経費がふえても、結果として赤字になってしまいます。
赤字になると存在意義が無くなります。さらに倒産でもすれば、経営者はもとより従業員は路頭に迷いますし、株主にも迷惑をかけます。
楽をして、のんびり生きていこう…という人にとって、もっとも楽しくないし、やりたくないのが多分、経営者という職業でしょう。
特に大企業はまだよいのですが、中、小零細企業は、まったく不安定です(いまは大企業も決して安心できなくなりました)。
それゆえに、経営者は、まず会社を黒字にすること、いわゆる利益を出すことに、なによりも全力を尽くすのが常識です。
不景気で売上が減る、受注が減る…当然、不要な経費を減らします。
人べらし、設備休止、不要な投資の中止、不要な物件の販売などは当然のことで、経営者のこのような行為を批判したり非難する人は民間企業の経営とはどのようなものなのかをほとんど知らない人だと思います。
したがって私も自分の経営する会社で、赤字部門は、やむをえない場合以外はつくらないし、そのようなことをなるべくしないように注意してきました。赤字部門は、なるべく早く黒字になるように努力しますし、できねばつぶしてしまいます。
赤字のところ(部門)には力が入らないからです。
というより力を入れられないのです。
たとえば私が赤字と分りながらやってきたのが「オープンワールド」です。船井総研や船井本社の利益でカバーできましたから、去年まで16回もやりました。
しかし今年から中止します。「オープンワールド」は採算的に見ますと、全力投球して、かろうじて黒字、ちょっとまちがうと1回で数千万円も赤字になる催しだからです。
「世のため、人のため」に、どうしても私がやらねばと思ってやってきました。中止するのは多くのファンのために、さみしいのですが、経営者としては、「ほっ」としています。もう少し具体的に「にんげんクラブ」を運営している船井本社を例にして説明します。
「にんげんクラブ」はすでに4000人の会員がいます。
4500人以上になれば黒字になります。経営者として力の入れ方がちがって来るのが分りますので、ついホームページで書いたのです。
「にんげんクラブ」を運営しているのは(株)船井本社ですが、創業以来31年間は、黒字でした。ただし32年目(2007年9月1日〜2008年8月31日)は、はじめて赤字になりました。理由は私が体調を崩したからです。
第31期(2006年9月1日〜2007年8月31日)の税前利益は約2億4,400万円でしたが、第32期(2007年9月1日〜2008年8月31日)の税前利益は約5,400万円の損失(赤字)となりました。この原因は、中心になって働いて来た私が2007年3月以降、昨年いっぱい病気のためにほとんど働けなかったことにあります。
そこで今期(2008年9月1日)からは、まず社長を息子に変り、私の給料などを大幅に減らし、黒字に転換するように体制を変えました。
多分、今期は、少しくらいは黒字になると思いますが、赤字の会社経営は、むつかしいものです。
黒字化は経営者の最大の関心事であり、まっ先にしなければならないことなのです。
経営者が赤字について気にならなくなれば、また黒字にできない時は失格ですから、消えねばならないのです。
私には、この経営者の特性が100%あります。
それだけに、いま、この不況下での各企業経営者の気持がよく分ります。
世の中のため、社員のため、株主のため、ひいては自分のために彼らが、どんな気持でいるのかを考えますと、胸が痛みます。
これは経営については人並み以上に詳しいし、ノウハウも知っているし、経営のプロと自負している私の、いまの本音です。
経営者の中には、まちがったことをする人もいますが、大多数のまじめな民間企業経営者に、ぜひ暖かい目を向けてください。
よろしくお願いいたします。
=以上=
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