トップが語る、「いま、伝えたいこと」
年始の経済団体の賀詞交歓会で大手企業の経営者から今年も大幅な賃上げをするという発言が相次いだことで、引き続き賃金が上がっていくことが確認されました。それを受けて、日銀が金利を上げるのではないかという観測が広がってきました。一方では、トランプ政権の動きを織り込む形でアメリカの長期金利も高くなってきており、為替相場の動向はさっぱり予想不可能という感じになっています。相場の流れを見ていると、どちらかというと円安を模索しているような気もしますが、160円を超える円安になると政府日銀の介入の可能性が高く、短期筋も作戦を練っているという状態なのかもしれません。
日本の株式相場に関しては、国内投資家の動きではなく、残念ながら海外の投資家、投機家の動きに翻弄されるという状態が今年も続きそうです。ただ、新NISAの影響もあり、貯蓄から投資への流れは定着してきているようです。ニュースでも、いわゆるオルカン(オール・カントリー:全世界株式投信)の残高がはじめて5兆円を超えたということが報道されていましたが、割合の多くは米ドルで投資をする形の投資信託なので、短期的には円安要因になります。あくまで、個人的な意見ですが、私も長期積立投資でオルカンを買い続けるのが、素人には一番安全な方法だと思っていますので、いつのまにか日本人の金融マインドもかなり高くなってきているようにも感じます。
オール・カントリーなので、国内株式にも一部は投資されますが、ポートフォリオで言うと圧倒的に海外に対する投資になるのだと思います。昔は、これが一番大きな問題かもしれないと思っていたのですが、本当の分散投資、安全性を考えると全世界株式への投資が優れているのは間違いなく、長い目で見ると投資に対するリターンが戻ってくるので、やっぱり日本の個人金融資産の使い方としては正しい方向に動いているということになると思います。
故・竹田和平さんのお話などを思い出してみると、昭和の時代はバブルの頃でも、アメリカ株をまとめて買うのも大変な思いをしたとのことなので、ネット証券でほとんど手数料を支払わずに世界中の株式が投資信託という形で簡単に購入できるようになったのは、やっぱりすごく進歩した、ありがたいことだなと思います。自分が、許容できる範囲で、引き続き今年もリスク資産への投資に挑戦するのは正しい方向かもしれないと感じています。
今週は、新堂冬樹著『直木賞を取らなかった男』(光文社)を紹介させていただきたいと思います。王道からは外れた道を選んだ小説家の半生を描いた小説ですが、この本を手にした時点で新堂ファンの方なら察する事ができると思いますが、新堂先生自身がモデルになっている半ば私小説のような作品だと推察できる内容です。既存の小説とは違い、黒く(ノワール小説、暗黒小説)もなく白く(純愛小説、動物小説)もない、中間色のような新堂作品。どちらの色にも見られる劇的な展開がない(その理由は読み進めていくうちに理解できるはずです)、新境地とも言える小説ですが、非常に読み応えがあり、惹きつけられる魅力を持っている作品です。
「ザ・フナイ」への小説の連載がご縁で仲良くさせていただくようになりましたが、そもそも、それまで小説を載せたことがない月刊誌への連載自体が挑戦だったのですが、本作の中にも出てきますが、みんなに反対されることをやり通すことに強い意義を感じていらっしゃる、ある意味ではとても新堂先生らしい小説です。内容は、あくまでもフィクションである小説、しかしその境界線は非常に曖昧であります。自分のものでもないはずの登場人物の言動は作者の内面だと世間から批判や賞賛を受ける部分も持ち合わせています。
しかしここまで実際の作者の顔がハッキリと見える(ように感じるだけかもしれませんが)ものは、なかなかありません。ある種のエッセイのようであり、ラブレターのようにさえ感じられる内容で、高校生の時に檀一雄先生の私小説『火宅の人』(新潮文庫)を読んだ時以来の衝撃を覚えました。物語の軸はその主人公の小説家の半生というより、普通ではない道を示した編集者の磯川と、それを受け入れた小説家の日向。設定の時点で変わり者である事が窺える2人の強い信頼関係。月並みな言い方になってしまいますが、深い絆の物語です。
作中を通して、日向から磯川への愛情がひしひしと伝わります。強い個性を持ちながら、繋がり合う二人の友情は、ヒューマンドラマとして非常に高い完成度を誇っており、腐女子と呼ばれる方も食いつきそうだなとくだらない事を考えてしまうものでした。もしかしたら、この作品は今までの先生の作品のように大ヒットとはならないかもしれません。しかしこれは確かに価値のある一冊であり、非常に意味のある一冊であった。それは間違いないはずです。
私は、本作から絶えず新しいことに挑戦することの大切さを教えてもらいました。いままで、投資などしたことがないという人も、ぜひオルカンを毎月小額買い続けることからでもいいので、新しいことに挑戦されてみては、いかがでしょうか。
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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |