トップが語る、「いま、伝えたいこと」
今週の日銀の金融政策決定会合で利上げが実施されるのではないかと見方が広がってきました。金融機関の方に年始のあいさつ回りをしていても、大体みなさん利上げを歓迎する意向を示しています。ひとつは先週書かせてもらったように、今年も賃上げの動きが確実に進んでいくことが確定してきて、物価上昇の流れが続いていきそうであるということ。そうなると、インフレのコントロール機能として利上げは必要という流れが背景にはあるようです。
ただ、根底にあるのは、このタイミングで利上げでも打ち出しておかなければ、円安の流れになかなか歯止めがかからないということも大きいのではと思います。昨年は、130円台ぐらいが企業のあるべき為替水準だと認識されていた気がしますが、現在は150円台であれば耐えられるというか、この水準でも対応できる準備が大手企業ではできてきていると感じます。インバウンドの消費が8兆円になり、アパレル産業と同じぐらいの市場規模になったという報道もありましたが、輸出を含めて円安は企業業績にとってはありがたいことなのだと思います。
問題は、輸入価格が上がることによる、インフレを加速するということです。日銀が量的緩和政策(国債を日銀が買っていくこと)を止めていく流れがはっきりしてくる中で、先行き利上げが予想されると、国債の価格の下落が見込まれるので誰が買ってくれるのかが問題になります。上げられるところまでは、日銀がまだ買い続けられるいまの内に利上げを進めておいて、利下げの余地も作っておき、市中銀行などの金融機関が国債を買いやすいマーケットを形成しておこうということを考えているのかもしれません。
アメリカの金融当局は利下げを打ち止めにして、もしかしたら利上げに踏み切るのではないかという流れも、これはいよいよ現地時間の本日に就任するトランプ政権がどんな政策を打ち出しても対応できるだけの余力を残しておきたいという本音があるのかもしれないと感じています。日銀のできれば利上げしたいという思惑がにじみ出ているのも同じ文脈で読めばわかりやすいと思います。国内の動向を踏まえると、何とか150円台までの為替水準はキープしたいというのが、目の前の課題なのではないかと感じています。そのために、いろいろな金融政策が出てきてくると読んでおけばいいのではないでしょうか。
マーケットや企業業績は、アメリカの一人勝ちの流れが続いています。今年もアメリカ株を中心に動いていくのは間違いないと思いますが、それにつられるように日本の株価も基本的には上昇基調だと読んでおきたいと思っています。いつ何が起こってもおかしくはありませんが、トランプ政権の市場との対話力をある程度は信じてもいいのだと感じ始めています。
今週は、伝説の名編集者である、鈴木七沖先生の著書『魂の深いところへ』(きれい・ねっと)をご紹介したいと思います。七沖先生は、170冊以上の著書を作り、多くのベストセラーを生み出してきた、出版業界のレジェンドです。お若い頃に、雑誌の編集で父とも関わっていただいたことがあったそうです。鈴木先生の在籍されていた出版社が25年ぐらい前に出されていた雑誌ですが、実質的に顧問だった父の悪い癖で時代が早過ぎたのだと思います。それだけ先が見えていたのだということにもなりますが、1年余りで廃刊になったのですが、あの時の父の蒔いた種がいま、花として開かなければならない時が来ていることが最近強く感じられるようになりました。
七沖先生とは同い年で7,8年ぐらい前から時々お会いするようになりました。本書は年齢を重ねていく中で、誰もが得ていく経験値を生かしていく方法を教えてくれる一冊です。当然ですが人間は年を取れば身体が衰えていきます。しかしその精神的な中身は反比例して成熟していきます。深いところに溜まったそれを活かすことができれば、さらに人生を豊かにできるのではないかもしれない。鈴木先生は、編集者としての思考力を活かし、それらの経験を役立てるように再構成する方法を教えてくれるといった内容。多種多様の偉大な先人たちの教えを、鈴木さんが分かりやすく伝えてくれるものでもあり、どこかで聴いたことがあるけど意味を理解しきれなかったものについての解釈を提示してくれるものとも言えます。
目次を見るといくつかの章に分かれていますが、簡単にまとめると、自身への理解の深め方、感性の意味と磨き方、出会いの大切さ、人生の仕組みとそれを理解した上でのライフプランの重要性、身体と心のメンテナンスの重要性、主題でもある編集の意味と使い方、という感じの内容で進んでいきます。どれも人生において必要なテーマであり、即ち我々が興味を惹かれるもの。この構成はさすが一流の編集者の仕事です。
個人的に興味を惹かれたのは、第二章の感性の項目です。スピリチュアル要素も含む言葉でありながら、ごく一般的に使われるそれについて、理論を交えながら、豊富な経験からそれを強化する方法について語られており、感じることの重要性を説いた本書においては、特に重要な部分であるように感じた事が理由です。冒頭に、気になる項目があれば生活の中に半月から一ヶ月取り入れて試してみてほしい、という記述もあります。書かれている内容の全てを実行する必要はありませんが、もしも自分に合いそうだなと思う部分があれば、ぜひ実践して新しいきっかけを掴んでみてください。
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※現在、佐野浩一が軽い脳震盪で仕事を控えているため、当面、このページは舩井勝仁のみの寄稿とさせていただきます。どうぞご了承くださいませ。
2025.01.20:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】魂の深いところへ (※舩井勝仁執筆)
2025.01.13:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】新境地への挑戦 (※舩井勝仁執筆)
2025.01.06:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】漫画思考 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |