日日日是好日 〜熱海だより〜 -熱海秘書 相澤智子-
日々、船井幸雄やまわりの人たちと接する中で気づいたこと、学んだことなどを皆さまにお伝えしていきます。
東日本大震災での福島第一原発事故以降、原子力に代わる新しいエネルギーに注目が集まっています。
現在、日本で主流となっている発電用のエネルギーは、天然ガス、石炭、そして原子力です。日本は資源が少ない国であるため、これらの資源の8割強は輸入にたよっています。資源は限られているため、輸入に依存しない電力の供給が必要です。
また、現在は国際的にもCO2の削減が目標とされており、CO2の排出が少ないクリーンエネルギーが求められています。そして今回の福島の原発事故により、安全なエネルギーに人々の関心が集まっています。
皆さまは「温度差発電」というものをご存知でしょうか。
慶應義塾大学環境情報学部武藤佳恭教授は、熱を電気に変換する熱電変換素子に熱を効率よく送る仕組みを作り、高温の物質と低温の物質の温度差を利用して発電する「温度差発電」の性能を向上させる技術を開発しました。
武藤教授のある実験を紹介します。
15センチほどのパイプが二股になったM字形の装置(片側に4本ずつ合計8本のパイプがあります)の、M字の真ん中の部分には、温度差を電気に変換するゼーベック素子(大きさが4×4センチ、厚さ2ミリ)がついています。
そして、そのパイプの片方には90℃のお湯、もう片方のパイプには氷水をつけると、およそ5ワットの電気が発電され、3つのLEDが点灯します。
こんなシンプルな装置で電気が生まれるなんて驚きです。緊急時や野外でも役立ちそうです。
熱海は温泉が有名ですが、現在熱海市では武藤教授とともに、この温泉を利用した温度差発電の実用化に向けた研究や事業展開が進められています。熱海市のホームページでも「低温度差発電」の実証実験が紹介されています。熱海温泉の源泉は温度が高いため、この発電にはとても適しているそうです。
全国には温泉の源泉は約2万8,000ヵ所あり、湧水量は1分間に270万リットル以上ありますが、その中で、未利用のまま排水されている温泉が多くあるそうです。 これはもったいないことですね。温度差発電はこの排水を使って電気を作ることができる画期的な技術です。
温泉以外にも、使われずに捨てられている廃熱には、太陽熱、工場や発電所、自動車などのエンジン熱、家庭の台所のガスコンロ、お風呂の熱などさまざまなものがあります。
温度差発電は、使われずに捨てられるだけの廃熱を有効活用することができるので経済的で、地熱発電のように地下を掘ったり大掛かりな施設も必要ありません。しかも二酸化炭素も排出しないという利点もあります。
武藤教授は、将来的にすべての家庭に温度差発電装置を普及させることを目標としているそうです。すでに実用化にも近づいているそうです。これからは、各家庭で必要な電気は自分の家で作ることが当たり前になるかもしれません。すばらしい世の中になりそうです。楽しみですね。
いままではこのようなすばらしい技術があっても、実用化までにいかないことが多い時代でしたが、東日本大震災後、人々の意識は大きく変わったようです。多くの人々が安全でクリーンなエネルギーを求めています。今はこのようなすばらしい技術が世に出るよいチャンスなのかもしれません。多くの人がこういうすばらしい技術があることを知ることで、世の中は少しずつ変わっていくように思います。
先日もテレビ番組で武藤教授のことが紹介されていました。とても注目されているようです。こんなに手軽に電気を作ることができるのかと、驚かれると思いますので皆さまもぜひ武藤教授の「温度差発電」を調べてみてください。
2011.06.21:32年前の船井の本を読んで
2011.06.14:船井がアドバイスした川口博さん(現衆議院議員)のまち再生について
2011.06.07:「量子医学」を研究されている島博基先生がいらっしゃいました
船井家の愛犬ゴンちゃんと一緒に。
1981年仙台市生まれ。6年間美容室に勤務後、一転して、2008年に船井幸雄グループに入社。学生時代から、船井幸雄の著書を愛読し、2007年の「船井幸雄オープンワールド」に参加。その後、すぐに「にんげんクラブ」に入会。2009年11月より、(株)船井本社の熱海本社にて、船井幸雄の秘書業務に携わる。現在、大好きな船井幸雄のそばで、いろいろな刺激を受けながら楽しく働いている。好きなものは、音楽鑑賞、ジブリ映画、犬。