ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2016.03.01(第25回)
日本ではまったく報道されていない北朝鮮を巡る情勢

 2016年に入ってからすでに2ヵ月経ちましたが、ヨーロッパに押し寄せる難民問題、シリア内戦、一層不安定化する世界経済など、やはり今年は世界情勢や世界経済の大きな変動が相次ぐ年になりそうです。
 そのようななか、北朝鮮の情勢にも大きな変化が見られます。キム・ジョンウンは1月6日に初の水爆実験を挙行したかと思うと、2月7日には人工衛星打ち上げ用ロケットの発射実験を実施しました。人工衛星打ち上げ用ロケットと大陸間弾道ミサイルは基本的には同じものです。搭載しているものが人工衛星なのか核弾道なのかの違いにすぎません。人工衛星打ち上げ用ロケットはそのまま大陸間弾道弾ミサイルに転用できます。したがって2月7日の実験は、事実上のミサイル実験だと見られています。
 これを受けてアメリカは、国連の安全保障理事会に北朝鮮決議案を提出しました。決議案には、北朝鮮の核兵器開発を阻止するために、北朝鮮への航空燃料の輸出の禁止や不正に関わった北朝鮮の外交官を追放することなど、かつてなく厳しい制裁が盛り込まれています。これまで北朝鮮との対話を重要視する立場から制裁の厳格化には反対していた中国も、今回の制裁案には賛同しています。
 これに対し北朝鮮は、アメリカや日本を攻撃すると強く反発し、これからさらに攻撃的な行動をエスカレートする可能性を示唆しました。やはり2016年は北朝鮮が変動の焦点になることでしょう。

 そこで今回は前回の続きとして、日本ではまったく報道されていない北朝鮮を巡る情勢を紹介します。それは、アメリカの北朝鮮に対する外交方針の転換に関する情報です。

●北朝鮮崩壊のシナリオが選択された可能性
 前回の2月のコラムでは、リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイなどのジャパン・ハンドラーが結集するシンクタンク、「CSIS」が2014年10月に出したレポート、「安倍の危険な愛国主義」を参照しながら、韓国と関係を改善するため「従軍慰安婦問題」に決着をつけるように、アメリカが安倍政権に強く圧力をかけた状況を見ました。
 このレポートが出された直後の2014年10月21日、安倍政権は早速韓国に特使を派遣し、関係改善の糸口を探りました。その後、両国の外務大臣の高いレベルの対話が繰り返され、2015年11月には日中韓の首脳会談が実現したのです。
 また、12月28日の日韓両政府による「従軍慰安婦問題」の不可逆的な解決に向けての合意も、12月20日にアメリカの外交政策の奥の院とも呼ばれる「外交問題評議会(CFR)」が出した「日本と韓国の緊張を管理する」というレポートがもとになっている可能性があります。これには、「日米韓の同盟を早急に強化すべきときに日韓関係が悪化していることは、アメリカにとってあまりに損失が大きいので、日韓が主体的に関係改善しないのであればアメリカが介入する」としていました。昨年末までに「従軍慰安婦問題」の不可逆的解決に向けて日韓が急いだ背景には、アメリカのこのような圧力があったと見て良いでしょう。
 このように、日韓関係の改善はアメリカからの強い圧力によって実現した可能性が極めて高いのです。しかし、なぜアメリカは2015年のうちに関係改善するように圧力をかけたのでしょうか?

 前回のコラムでは、アメリカは北朝鮮を崩壊させる選択をした可能性があることを指摘しました。どのようなシナリオになるのかはまだ分かりませんが、もしアメリカがそうした選択をしたのであれば、日韓関係の改善を早急に行い、日米韓の同盟を強化することは、北朝鮮崩壊に向けた準備であると見ることもできます。そのように考えると、2014年10月から始まったアメリカの圧力も十分に説明がつきます。

●水爆実験
 そのようななか、1月6日、北朝鮮は水爆実験の成功を発表しました。通常の核実験は4年ぶり3回目ですが、原爆の数百倍から1000倍の威力の水爆は今回が初めての実験です。
 これまでの北朝鮮の核実験は、アメリカや日本を恫喝して目的を実現する瀬戸際外交の手段としての特徴が強かったのです。そのため北朝鮮は、核実験実施の数週間から数日前にこれを予告し、欲しいものを要求する傾向がありました。いわば過去3回の北朝鮮の核実験には明確なメッセージがあり、意図が分かりやすかったと言ってもよいでしょう。

 しかし6日に実施された水爆実験は、友好国とされている中国に対してさえ実験の30分前に通知しただけで、他の国々には予告なく突然と実施された実験でした。
 そのためこの水爆実験は国際的に大きな驚きを呼び、北朝鮮の意図を巡って議論が起こりました。国民に約束した経済成長を達成できなかったので、キム・ジョンウンの支配体制を固める必要から実施したという見方から、キム・ジョンウンが訪中して首脳会談を実現させるために行ったとする見方まで、さまざまな説が出ています。
 一方、1月10日の北朝鮮労働党の「労働新聞」には、「核の廃棄を迫る6ヵ国協議の交渉は拒否するが、もし北朝鮮を核保有国として認めるのであれば、アメリカと和解し、平和条約を締結する用意がある」とする社説を発表しました。このことから、今回の水爆実験の目的は、北朝鮮を核保有国としてアメリカに認めさせることにあったと見てよいでしょう。

●米中があえて核実験をやらせる
 今回の核実験は水爆ではなく、規模から見て通常の原爆ではないのかという見方が出てますが、おそらくそうでしょう。
 でも、それはあまり重要ではありません。日本では今回の水爆実験をアメリカ、中国、日本、韓国、ロシアなどの国々がまったく知らなかったと報道されているようですが、むしろ重要なのは、少なくとも高性能の軍事衛星を保有するアメリカ、中国、ロシアは北朝鮮の動きを早くから察知しており、実験の実施時期も知っていた可能性が高い事実です。事実、米NBCは、米軍はすでに2週間前から核実験に向けての動きを察知していたと報じています。間違いなく中国やロシアも察知していたはずです。
 例えば、2013年2月に実施された第3回の核実験と比べると、各国の対応には大きな違いがあることが分かります。2013年には1ヵ月以上も前からアメリカも中国も核実験の実施を察知しており、情報を公表することで北朝鮮が核実験を実施しないように強い圧力をかけていました。
 しかし、今回はそうした情報を知りながらも、アメリカも中国も北朝鮮に事前に圧力をかけた形跡がありません。おそらく米中は、今回の水爆実験のみならず、水爆開発に向かう北朝鮮の長期的な動きを数年前から察知していたと考えてよいでしょう。そのような推察が成り立つとするなら、米中は北朝鮮にあえて水爆実験をやらせたと考えてよいのではないでしょうか?

●北朝鮮封じ込めと崩壊論、2つの落しどころ
 そのように見ると、2014年から突然と始まった日韓関係改善に向けてのアメリカからの圧力や、こじれにこじれた「従軍慰安婦問題」の昨年末までの不可逆的な解決を求める圧力などの動きは、1月6日の水爆実験を予期した動きであると見た方がつじつまが合います。前回のコラムで紹介した、昨年末までの日韓合意を促すきっかけになった「外交問題評議会」のレポートには次のようにあります。

 「もちろん、日韓関係の難局に(アメリカが)直接介入することはリスクとなるが、すでに北東アジアの国際関係の変化は、日本と韓国というアメリカにとってもっとも重要な同盟国の関係悪化のコストを高く引き上げている」

 つまりこれは、北東アジアでは、日韓関係の悪化を容認できるような悠長な状況ではないという判断です。これは昨年の12月20日に出たレポートですが、水爆実験が年初に実施されることを予期した上で書かれたとするなら、十分に納得できる内容です。
 このように、アメリカと中国が北朝鮮の処遇の長期的な目標を持っているとするなら、その最終目標がもっとも気になるところです。
 さまざまなメディアの記事や、シンクタンクが出している有料レポートなどを見ると、最終目標に関しては2つの異なった見方があることが分かります。

1)北朝鮮封じ込め論
 核武装した北朝鮮に対しては軍事的なオプションは使えません。北朝鮮が妥協できる選択を残しつつ、北朝鮮を6ヵ国協議に引っ張り出し、北朝鮮の野望を断念させる方法を模索するしかありません。それは、北朝鮮を核保有国として認めた上で、これを管理する国際的な枠組みである6ヵ国協議に参加させ、封じ込めることです。

2)北朝鮮崩壊論
 実は軍事的なオプションを使わないでも、キム・ジョンウン体制は崩壊の瀬戸際である可能性があります。アメリカ、中国、韓国、日本、ロシアなどの関係各国は、難民の大量発生や北朝鮮軍暴走のリスクを恐れ、キム・ジョンウン体制を崩壊させることを極力回避してきました。
 でも、北朝鮮崩壊のリスクは関係各国が協調して対応できる範囲にあり、中長期的に見ると北朝鮮を韓国に吸収させ、統一朝鮮の形成に向けて動いた方がメリットがあります。

●従来の見方、だれも望まない北朝鮮の崩壊
 アメリカの外交誌などを読むとこの2つの見方があるようですが、日本ではもっぱら1)の「封じ込め論」だけが報道されています。これは従来からある北朝鮮論を踏襲した見方です。
 ここで簡単に、従来の北朝鮮論を確認しておいた方がよいでしょう。北朝鮮は人権無視の残虐な軍事独裁国家で、北東アジア最大の脅威であることは間違いありません。しかし、北朝鮮が崩壊し韓国に吸収されることにはアメリカ、中国、韓国、日本は支持することは困難です。
 それというのも、北朝鮮崩壊によって膨大な数の難民が、いまのヨーロッパに殺到するシリア難民のように日中韓の3ヵ国に押し寄せる可能性が高く、どの国もこれに十分に対処することは不可能だからです。どんなに独裁的な軍事国家であっても、北朝鮮の体制を温存したほうが混乱のリスクはずっと少ないのです。

 また中国から見ると、徹底的に反米の北朝鮮という国家の存在は、中国の安全保障にとってとても重要です。北が韓国に吸収される形で朝鮮半島が統一されると、米軍基地が中国の東北部近辺に設置される恐れがあり、中国にとって大きな脅威となります。北朝鮮の存在は、中国にとっては米軍から守ってくれる緩衝地帯の役割を果たしています。

 さらにアメリカから見ても、北朝鮮は便利な存在です。ちょっと刺激すると北朝鮮は過剰に反応して、ミサイル発射などの軍事的な行動をエスカレートさせるので、北東アジアの緊張を簡単に高めることができます。この緊張の存在は、日本や韓国などに米軍を駐留させるためのよい口実になります。北が脅威である以上、米軍は日本と韓国に駐留しなければなりません。これは、米軍産複合体の利益です。

 このように、どの国から見ても北朝鮮が国家として存続したほうが、都合がよいのです。しかし、北朝鮮が軍事的に暴発するとリスクは高まるので、北を存続させながら、軍事的な脅威を管理する体制が必要になります。それが、米中韓日ロの5ヵ国が北朝鮮と協議する6ヵ国協議です。
 これが、北朝鮮に関する従来の共通した認識でした。1月10日、1990年代にクリントン政権の国防長官であったウィリアム・ペリーが「どのように北朝鮮を封じ込めるか」という論文を発表し、1)北にこれ以上の核兵器を作らせない、2)いま以上の高性能な核兵器を作らせない、3)核兵器を他国に輸出させないという「3つのノー」を順守させるならば、北朝鮮を核保有国として認めてやり、アメリカは平和条約を締結してもよいのではないかという主張を展開しました。
 これまでアメリカは、6ヵ国協議の目的は北朝鮮に核兵器を廃棄させることだと強く主張していたので、かつての政府高官が北の核保有を容認したことは、これからアメリカがこの方向へと政策転換する予兆なのではないかと見られています。ということでは、北朝鮮問題の落しどころは、北を核保有国として認めた前提で成立する北東アジアの新しい秩序だということになります。

●スー・ミー・テリー博士の北朝鮮崩壊推進論
 たしかにこれは、核兵器廃棄を強く求めたアメリカの方針からは大きな転換です。しかし、北朝鮮の国家としての存続を前提にしていることでは、従来の北朝鮮に対する見方と大差はないように見えます。
 でも、少なくとも2014年10月から始まり、昨年末までに「従軍慰安婦問題」の不可逆的な解決を迫る強い圧力をかけてきたアメリカの態度を見ると、北朝鮮を核保有国として認めるという方向は、アメリカの真意とは考えにくと思います。「従軍慰安婦問題」のような複雑な問題を昨年末までに最終決着させ、日米韓同盟を強化せよという切迫した圧力の裏には、もっと違う意図があると見たほうが自然でしょう。
 ところで、最近スー・ミー・テリー博士という人物が書いた北朝鮮崩壊推進論が注目を集めています。スー・ミー・テリー博士は小学校まで韓国で育った在米韓国人で、CIAの元上級分析官だった人です。そしてなんと、ブッシュ、オバマ両政権で米政府の外交政策の中枢である「国家安全保障会議」の「韓国、日本、海洋問題部門」の部長として、ホワイトハウスの北朝鮮を含む北東アジアの基本政策の立案を担当していました。現在はコロンビア大学に席を置いています。
 オバマ政権が安倍政権に露骨に圧力をかける3ヵ月前の2014年7月、スー・ミー・テリー博士は、米外交政策立案の奥の院である「外交問題評議会(CFR)」が発行する外交誌、「フォーリン・アフェアーズ」に「自由な統一朝鮮:朝鮮半島の統一はなぜ悪くはないのか」という論文を発表しました。ここでスー・ミー・テリー博士は次のように主張しています。

 「北朝鮮が崩壊し朝鮮半島が統一するには次の3つのシナリオがある。1)北朝鮮が中国の経済モデルを採用して発展し、韓国との経済格差を縮めた上で韓国が平和裡に北朝鮮を吸収するというソフトランディング、2)キム・ジョンウン体制が内部から崩壊し、韓国が北を吸収するというハードランディング、3)北朝鮮、韓国、日本、アメリカが全面的な戦争になる戦争のシナリオの3つだ。
 このうち、1)と3)はほとんど現実性はない。一方、2)は十分な現実性がある。キム・ジョンウン体制は国内問題の収拾がつかなくなり、自壊する可能性は大きい。
 これまでは北朝鮮の崩壊は、アメリカと周辺諸国に対して大きな脅威となると見るのが一般的であったが、そのような認識に捕らわれずに現実を見ると、中長期的には北朝鮮の崩壊にはプラス面がとても大きいことに気づく。たしかに崩壊直後の時期にはリスクが伴うだろう。しかしそうしたリスクは、関係国の協調で十分に解決できる範囲だ。統一のメリットから見ればリスクは小さい。我々はキム・ジョンウン体制の崩壊を恐れるべきではない。」

 このような主張です。この論文に対して、韓国の専門家から反論が寄せられましたが、スー・ミー・テリー博士は反論に応えながらも北朝鮮自壊論を強く主張しています。
 その後、2015年4月には、アメリカがイランに妥協したように北朝鮮を容認する姿勢をとるならば、核兵器を保有する北朝鮮の脅威は逆に高まる結果になるので、キム・ジョンウン体制を追い詰める手をゆるめてはならないとする論文をやはり「フォーリン・アフェアーズ誌」に書いています。

●政策立案者の見方
 もしこのような見方が市井の分析者から出たものであれば、簡単に無視することができます。しかしこれが、ブッシュ、オバマ両政権の「国家安全保障委員会」で北東アジアの外交政策を立案していた人物の意見であるとしたら話は違ってきます。スー・ミー・テリー博士はもともとCIA出身の分析官です。とするなら、情報分野にも相当に知見があり、キム・ジョンウン体制の自壊か、または自壊を誘導するアメリカの工作が存在ことを十分に知った上でこれを書いている可能性があります。
 そのように見ると、水爆実験の動きを察知しながらも、北を止めるどころか、あえて実験をやらせたオバマ政権の真意も見えきます。つまり、水爆実験や弾道ミサイル実験という脅威を口実にしながら、関係国との協調と結束を強化し、将来的に統一朝鮮を実現すべく、キム・ジョンウン体制が自壊する方向に誘導するということです。もしこれが事実であるとすれば、これはアメリカの北朝鮮政策の根本的な転換ということになります。

●あり得ない状況をあえて想像する
 もちろん、アメリカが北朝鮮の崩壊を誘導し、統一朝鮮を実現する方向に転換したとはにわかに信じがたいかもしれません。
 難民が津波のように発生することは目に見えています。これを中国や韓国が到底容認するとは思えません。また、朝鮮の統一は韓国を機軸にした北の吸収になるでしょうから、これは中国にとって北朝鮮という重要な安全保障上の緩衝地帯を失うことを意味します。中国がこれを容認するとは考えにくいでしょう。また、北が簡単に崩壊するとも思えません。さらに、本格的な核戦争の可能性だってあります。そのリスクをアメリカが受け入れるとは思えません。
 このように考えると、やはり北朝鮮を国家として温存しながら、6ヵ国協議の枠組みでそれを暴走しないように管理するという従来の方針をこれからも踏襲するしか道はないように思えます。

 しかし、これとほぼ同じことが2003年のイラク侵略戦争のときにも言われていたことを思い出します。
 サダム・フセインの世俗的な独裁政権を倒してしまうと、イラクはイスラム原理主義勢力による内戦に突入し、コントロールできなくなります。さらにイスラム原理主義勢力は中東の他の地域に拡大し、中東全域が流動化する恐れが出てきます。そして、なによりも隣国のイランが後ろ盾になったシーア派が強くなり、結局イラクはイランの勢力下に入ることになります。
 これはアメリカがサダム・フセイン体制を倒す前から予想がついていたし、また実際にいまそうなっていますが、それにもかかわらずアメリカはイラクを侵略したのです。
 そしてなによりもまず、2002年や2003年には、ネオコンとブッシュ政権は、サダム・フセイン政権がいかに危険な体制であり、イラクの「強制民主化」がどれだけメリットをもたらすのか強調していました。
 当時のネオコンのそのような過去の事例を見ると、いまのスー・ミー・テリー博士の北朝鮮崩壊推進論と、当時のネオコンのイラク強制民主化論が不気味に響き合います。
 オバマ政権が、こうした不合理な道を絶対に選択しない保証はないと私は考えます。「イスラム国」のような世界の怨念の結集軸となるような集団が現れ、ヨーロッパに難民の津波が押し寄せ、イスラム原理主義勢力の歯止めとなっているシリアのアサド政権の打倒を欧米が最優先するという不合理が支配する現在、この不合理の津波が今度は北東アジアを襲い、政治経済的な合理性を押し流して行くことが絶対にないとは言い切れないのです。

●北朝鮮崩壊が実現する条件
 でも、こうした不合理性が実現するためには、合理的な条件がどうしても必要になります。その条件とは、アメリカ及び関係国がキム・ジョンウン体制の打倒に専念するためには、世界の他の地域の緊張が緩和していなければならないことです。まとめると、それは次のようになるでしょう。

1)シリア内戦の停戦とロシアとアメリカの緊張緩和
2)中国とアメリカの接近と協調
3)日米韓の軍事同盟の強化に向けた動きの加速
4)イランと欧米とのさらなる緊張緩和

 他にもあるかもしれませんが、少なくとも上の条件は無くてはならないでしょう。
 これを見ると、まず1)ですが、ロシアとアメリカの協力で、やっとシリア内戦の停戦が実現しました。停戦がいつまで続くか分かりませんが、いまのところ守られるようです。
 そうした状況で、アメリカはウクライナ問題とクリミア併合でロシアに化していた経済制裁の一部を解除しました。ロシア製ロケットエンジンの禁輸の解除です。
 またケリー国務長官は、もしロシアが昨年のミンスク合意を順守するのであれば、経済制裁の全面的な解除もやぶさかではないと繰り返すようになっています。
 一方2)では、中国は南シナ海の島々の軍事基地化を推進しており、アメリカとの緊張関係は高まる方向に動いています。
 他方、詳術する余裕はありませんが、3)と4)はすでに進展しており、これからも加速することでしょう。

 このように見て行くと、すべての条件が整ったと言える状況ではありませんが、アメリカが昨年のうちに「従軍慰安婦問題」を永久解決し、日韓関係を改善するよう強い圧力をかけてきたことは、オバマ政権の北朝鮮崩壊に向けた長期の計画とシナリオがあり、それに基づいて状況が動いている可能性は決して否定できないようにも思います。
 北朝鮮を核保有国として認め、「3つのノー」を実現すべく6ヵ国協議を再開するという従来の方向に動くのか、それともキム・ジョンウン体制の崩壊に向かって突き進んで行くのか、あと1ヵ月もすれば見えてくるでしょう。やはり目が離せません。

*  *  *  *  *  *  *  *  *
新刊本が出ました。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!

『「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来 世界の政治・経済はこれからこう動く』著者:高島 康司


●「ヤスの勉強会」第24回のご案内●

「ヤスの勉強会」の第24回を開催します。3月上旬に市場が暴落するという予測が出ています。そのような方向に動くでしょうか? また、いま世界経済の崩壊の引き金になりかねないさまざまな危機が指摘されています。これらの危機はいつ発現するのでしょうか? 最新の情報を駆使して、これらを徹底して解説します。

【主な内容】
・3月の市場の暴落予測はどこまで的中したのか?
・1881年に起源があるロシアに対する怨念
・暗黒のヨーロッパなのか? GEABの報告書より
・マイナス金利の日本をどう生き延びるか?
・次第に見えてきた希望の光


 よろしかったらぜひご参加ください。

日時:3月26日、土曜日
時間:1時半から4時前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)


いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

記載必要事項
名前(ふりがな)
住所 〒
メールアドレス
参加人数
懇親会の参加の有無
info@yasunoeigo.com


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●高松の講演会●
以下の日程で高松の講演会を行います。お近くの方はぜひどうぞ!毎回ディープな講演会をしています!

日時  平成28年3月25日(金)18:30受付 19:00〜22:00前後まで
場所  高松生涯学習センター


会場内の掲示板にて部屋の確認をお願いいたします。
〒760−0040 高松市片原町11番地1
電話:087−811−6222 FAX:087−821−8022
会費   ¥5000/人


講演会後、高島先生を囲んでの懇親会を予定しております。場所 未定ですが高松市内にて行う予定です。

主 催  里坊会計事務所 里坊昌俊
実行委員 有限会社ウエストフードプランニング小西啓介、ソニー生命保険株式会社 山下智幸、株式会社京蔵 京兼慎太郎、株式会社クリード インテグレーション平野伸英

内容
・市場の暴落の予測は的中したのか?
・シェールオイルバブルは破綻するのか?
・シリア内戦の行方と戦争の拡大
・ロシアと中国の長期の計画
・個に内在した本来の力


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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
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