トップが語る、「いま、伝えたいこと」
私と親しい科学者に筑波大の村上和雄名誉教授がいます。彼は1936年生れで、私より3才若いのですが、京都大学農学部の後輩でもあります。とはいえ偉大なる後輩で、いろいろ教えてもらっています。
今年の夏休みに、今年のはじめから、いろんな人からいただいて「読みたい」と思いながら時間がなく読めなかった本を何十冊か読みました。その1冊に彼の『笑う遺伝子』(一二三書房刊)があります。
その中につぎのような文章がありました。
私たちが、人間として生きて活動するための遺伝子の設計図は、最初から受精卵という一個の細胞のゲノムに書きこまれていました。
お父さんとお母さんから遺伝子をもらい、受精した一つの受精卵となった結果、細胞分裂を繰り返して、数十兆もの細胞からなる赤ちゃんが誕生するのです。
その期間は、わずか38から40週間ほど。これは、単純な細胞からヒトにまで進化した「膨大な期間」に比べれば、ほんの一瞬のことになります。
私たちは、たった38週間の間に、お母さんの胎内で、約38億年の生命のドラマを再現していることになります。赤ちゃんの誕生は、人類という歴史の奇跡をまざまざとみせつけてくれます。
ここで重要なことは、遺伝子暗号のレベルでみれば、人間の遺伝子は99.9%以上、同じだということです。
ノーベル賞をとった人もあなたも、その意味ではせいぜい誤差の範囲の違いしかありません。それにも関わらず、お父さんとお母さんから受け継いだ遺伝子は、まったく同じものは、ただの一つもないのです。
生物は、38億年前に誕生しました。そして進化を重ねていき、約9億年前から両親が子どもをつくるという営み(有性生殖)が始まりました。
生命が誕生するドラマ
遺伝子暗号はすべての生物で共通しているにも関わらず、有性生殖という仕組みをもつことによって、私たちの個体は一つとして同じものがないという多様性を持ったのです。
その結果、激しい環境の変化に耐えることができました。
私たち人間の場合、父親の身体でつくられた4億匹もの精子が、それこそ生死をかけて戦っています。死に物狂いの競争を続け、数億匹のなかから母親の卵子に一番早く到達した「オンリーワン」が卵子にもぐりこんで受精は完了となります。
ここまででも、ものすごい戦いです。
受精卵というものは、生命のなかでも特別なものであり、エリート中のエリートということができます。
受精卵になるだけで、すでに大変な競争を勝ち抜いているのです。
受精卵は、母親の胎内に38週間いて細胞分裂を繰り返し、赤ちゃんとして誕生します。
この間、受精卵は遺伝子に書かれた設計図にしたがって分裂しながら成長していきます。
胎児を映像でみると、一つの細胞からどんどん分化し、始めは魚に似た形だったものが、やがて爬虫類のような形となり、哺乳類の特徴が出てきて、少しずつ人間の形に近づいていくのが確認できます。
ここでさらに驚異的なことは、一組の両親から生まれる子どもには約70兆とおりの組み合わせがあるということです。すなわち、遺伝子に書かれた設計図が「まったく同じ」となる確率は、70兆分の1しかないのです。
これは、とてつもなく大きな数字です。地球上のどこを探しても、自分と同じ遺伝子を持つ人間はいない、まさにオンリーワンということを示しています。
奇跡的な多様性を持つ生命
私たちは、二度と同じ遺伝子を持たないようにして生まれてきました。
そして、この遺伝子は、一度失われてしまったら、二度と同じものは生み出せない貴重なものなのです。
そんな貴重な生命体なのに、自分らしく生きようとしない人や、自分を殺してしまう人、生命を大切にしない人がいるということも、生命科学を研究してきた私にとっては、信じられない気持ちです。
(中略)
私たち科学者は、試験管のなかでいろいろな材料を集めて加工しても、そこから物質はつくり出すことはできますが、生命体をつくることはできません。
アミノ酸からタンパク質という物質は合成できても、そこに生命の灯をともすことはできないのです。
その意味では私たちの技術よりも、大腸菌のほうが偉いということもいえましょう。だって彼らは間違いなく「生きている」のです。
そこが物質とは大きく異なっています。
世界の学者の全知識を結集しても、世界の富を集めて研究しても、大腸菌一つを元からつくり出すことはできないのです。
だから、今生きているということについて、私たちはもっと驚いていい。もっともっと自慢していいのです。ノーベル賞をとった偉い生物学者でも、生命をつくり出すことはできないのですから。
生命があるものから、DNAを取り出し、コピーすることはできても、ただの物質から生命を生み出すことはできません。
たった一つの細胞すら、つくり出せないのです。
それなのに、私たちはいま、一人で数十兆個もの細胞を持っています。そしてその細胞は一つひとつ生きて呼吸し、精一杯、自分の役目を果たしているのです。
人間として生れてきたということは、それだけですごいことなのです(抜粋ここまで)。
たしかに村上さんのコトバのとおりです。
いま私たちは、自分のことはそこそこ大事にしています。が、同じような生まれ方をした他の人々や他の生命のことは、どうでしょうか?
特に母体内で、魚→爬虫類→哺乳類→そして人間というプロセスを経るというのは、人間はすべての動物の集大成した存在であるとのことです。
すべての生命に対して責任があると思います。
われわれはもう一度考えなおし、地球上のあらゆる生命体を大事にしようではありませんか?
=以上=
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