トップが語る、「いま、伝えたいこと」

　忙しいというのは、字から見ても「心を亡くする」ということです。ところで私は忙しい人間のもようです。以下に紹介するのは、今年１０月に出る『「成功の扉」を開く秘密の鍵の見つけ方』（徳間書店刊）という拙著の「まえがき」ですが、先週この文の校正ゲラを見た私の中学、高校時代の親友が、びっくりしました。
　その友人は、企業経営者で、たえず「俺は忙しいんだ」と言っていたのですが、「船井君よ、俺はきょうから忙しいとは言わないよ。君に比べたらおおいにヒマだ。しかし船井君よ、忙しすぎて心を亡くするなよ」と忠告してくれました。
　とりあえず「まえがき」を読んでください。

まえがき　
　私は、４０年あまり経営コンサルタントの仕事に携わってきました。現在の船井総合研究所の顧問先だけでも八千数百社はありますから、これまでお付き合いしてきた経営者の方々はかなりの数にのぼることになります。いまでも経営コンサルタントの仕事以外に、１日に２０人くらいの方たちから特別な相談を受けて話しをしています。
　１日に２００人くらいの方たちが私と会いたいといってきてくださるのですが、仕事以外の御相談も多く、秘書を通じて１０分の１くらいに絞らせてもらっています。そのほか、全国を回って年間二百数十回くらいの講演を行っています。これは、ここ２０年くらいの平均的なスケジュールです。そのせいか、Ｅメール、ＦＡＸ、手紙などで、１日平均３００件ほどの質問も飛び込んできます。
　忙しいのですが、質問や相談には時間が許すかぎり真剣に向き合ってきました。多分、相談にこられた方たちの悩みの多くは、解消してもらえたと思います。
　なぜ、こんなことをしてきたのか？　たぶん、人様のお役に立てることが喜びだったからでしょう。最近では、多くの方たちの悩みをともに担い、望みが叶うよう後押しすることが、いままでの私の使命だったのではなかったかとさえ感じています。
　質問や相談は、本当に多岐にわたります。しかし、それらほぼすべてに共通していることが１つあります。それは、誰もがビジネスや人生において、「成功したい」「幸せになりたい」と望んでいるということです。
　こういった質問に対して、自分の知識や経験を総動員して「どうしたら成功できるか」答えてきました。その結果、かなり以前から、ビジネスの問題にも人生の問題にも、同じように適用できる「成功の法則」があることに気付くようになったのです。
　この法則を多くの人たちに知ってもらい、どんどん活用して成功を収めてほしいと願って本書を執筆しました。ぜひ、参考にしてください。
　なお、本書の内容構成や資料収集について、私の友人の櫻庭雅文さんと彼の会社（株）エディックスの嵯峨浩之さんをはじめとするスタッフの皆さんに手伝ってもらいました。ここに報告し、感謝の意を表します。
　　　　　２００５年９月６日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　船井幸雄

　このような状態なので、夜１０時前に眠り、朝は３時すぎに起きて仕事をしなければならないし、ここ２０年くらいは、夜の二次会とは無縁になったのです。ここ２０年くらい日曜なども実質的に休んだことはありません。
　ともかく、忙しくなりすぎたのか、最近の私は、どうでもいい内容の手紙や自分本位の来客には、アタマに来ることが時々あります。やはり「心を亡くしがち」になっているのに気づき、ちょっとわれながらびっくりしています。
　そこで、秘書チームの人たちと相談し、１０月１日からできるだけ、忙しさを減らし心を亡くさないようにしようと決めました。
　１０月１日からは、私でなければできないことにしぼって、時間を活用しようと思っています。他人さまのできることは、他人さまにみんなしてもらいます。これは私からのお願いなのですが、事情御覧察のうえ、今後は時間をなるべく私の自由に使わせていただきたくよろしくお願いいたします。７２才になって、こんなことを書かねばならないのは、うれしいびっくりですが、悪しからず御了承ください。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＝以上＝