トップが語る、「いま、伝えたいこと」
私の友人の一人に、アメリカを非常によく知り、アメリカの政治中枢の人々やシンクタンクの人々と非常に近い増田俊男さんがいます。
彼の発言は、実に分りやすく、多くのファンがいますが、彼は、アメリカの政治家、特に大統領は、「アメリカの国益を第一に考えて行動する人だ」と言っており、その思考や行動は人類の良識に反することもある・・・というのです。
副島隆彦さんや中丸薫さん、ベンジャミン・フルフォードさんらの私の友人達たちも、「アメリカ大統領」や「アメリカ政府」の、その発想のポイントについて、私が納得できる見解を示して教えてくれます。
これは、彼らの著書を読めば、だれでもすぐに分ります。
それは良心に照らしても、人類の未来を考えても、決して100%賛成できることでない・・・のは世界の有識者の常識となっています。
とはいえ、アメリカには、アメリカ人には、それはそれとして良識があると思います。
2月2日にこのホームページ上で、アル・ゴア元副大統領の顔の変化と『不都合な真実』について述べました。
この著書の中で、ゴアさんは、つぎのように書いているのです。
と同時に、そこには48人の著名なノーベル賞受賞者の名前(とサイン)がありました。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の科学者、ナオミ・オレスケス博士は、過去10年間に論文審査を受けて学術雑誌に掲載された温暖化に関する記事を1つずつ調べるという大がかりな研究をサイエンス誌に発表した。オレスケス博士とそのチームは、該当する論文総数のほぼ10%に当たる928本という大規模なサンプルをランダムに選び、広く受けいれられているこの共通認識と同じ見解の論文はどれほどあるか、見解の違う論文はどれほどあるかを注意深く分析したのだ。サンプルで選んだ論文の約4分の1は、温暖化といってもこの共通認識の中心的な点には関連のないものだった。残りの4分の3はこの主要な論点を取り上げる論文だったが、そのうち、共通認識と意見が相反するものは、どれぐらいあったのだろか? ゼロである。
温暖化に対する情報かく乱運動は成功したのだろうか?
そう。論文審査を受けて学術雑誌に掲載された科学論文のうち、温暖化に関する共通認識と違う見解のものは0%だったというこの研究と並行して、別の大がかりな研究が行われた。こちらの研究では、過去14年間、この研究者が米国で最も影響力があると考える4大新聞――ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ロサンゼルス・タイムズ紙、ウォールストリート・ジャーナル紙――に掲載された温暖化に関する記事を1つ残らず調べあげた。
研究チームは、該当する記事の18%近くにあたる大きなサンプルをランダムに選び出した。驚いたことに、半分以上の記事が、科学界の共通認識となっている考え方と人間は温暖化には関係していないという科学的には信憑性のない考え方の両方を、同等に主張していたのである。この研究論文の執筆者らは、米国のマスコミは不当に「人間が温暖化に影響を与えているかいないかをめぐって、科学界は大紛糾しているという印象を与えている」と結論づけている。
人々が混乱しているのもむりはない。
温暖化をめぐって科学者の意見が真っ二つに分かれているという誤解は、実は意図的に作り出されたものである。作り出しているのは、エクソン・モービル社などの石油、石炭、電力・ガス会社を中心とする、規模は比較的小さいがこのうえなく潤沢な資金を持った特別利益団体の中核メンバーだ。こういった企業の現在の事業計画は、温室効果ガスを地球の大気中に365日24時間好きなだけ大量に吐き出すことを前提にしている。そうした事業計画のじゃまをしそうな新しい政策は、何であっても阻止したい――これらの企業はそう考えているのである。
このグループが、情報かく乱運動要員として雇った従業員に指示を与えるために書いた内部用のメモを、ピュリッツアー賞を受賞したジャーナリストのロス・ゲルブスバンが入手した。「地球温暖化を、事実ではなく、理論として位置づけ直せ」と、このグループはそのめざすところを述べている。
この手法は、前にも使われたことがある。
40年前、喫煙と肺がんなどの肺疾患を結びつける歴史的な公衆衛生総監の報告が出された時、たばこ業界が同じような情報かく乱運動を組織して反撃した。たばこ会社を相手取ってその製品によって命を奪われた何百万人もの人々への損害賠償支払いを求めた代表訴訟の1つで、1960年代にたばこ会社側が書いたメモの1枚が明らかにされた。40年たった今、現在進行中の温暖化に関する情報かく乱運動に照らし合わせてそのメモを読むと興味深い。
「私たちが作り出すのは“疑い”である。一般大衆の心の中に存在している“一連の事実”と張り合うには、これが最も有効な手段だからだ。疑いは、物議を醸し出す手段である」たばこ会社、ブラウン・アンド・ウイリアムソン社のメモ 1960年代
温暖化に関する主要な情報かく乱源の1つは、ブッシュ―チェイニー政権である。
ホワイトハウスは、私たちが直面しているこのうえない危険について警告しようとするNASAのジェームス・ハンセンをはじめとする政府機関の科学者を黙らせようとしている。石油会社が推薦した「懐疑論者」を重要な役職に就けている。その立場から、温暖化防止に向けた行動を阻止することができるのだ。このような懐疑論者は、国際的な場で米国を代表して交渉を行うので、温暖化に対する世界的な対応に関する合意を阻むことができる。
2001年の初め、ブッシュ大統領は、ホワイトハウスの環境政策担当として、フィリップ・クーニーという弁護士兼ロピイストを雇った。その前の6年間、米国石油協会で石油・石炭会社が温暖化に関して米国民を混乱させるために行う活動の主担当であった人物である。
クーニーは科学的な訓練をまったく受けていないにもかかわらず、環境保護庁をはじめとする連邦政府の省庁から出される温暖化に関する公式な評価に手を入れたり、検閲したりする権限を大統領から与えられたのだった。
2005年、政権内部の匿名の内部告発者が、クーニーがそれでよしと許可を出したホワイトハウスのメモ(下にその一部が載っている)をニューヨーク・タイムズ紙に漏らした。クーニーは、温暖化が米国民にもたらす危険について言及している箇所には1つ残らず、微に入り細に入り手を入れていた。ニューヨーク・タイムズ紙にこのメモをすっぱ抜かれて、ホワイトハウスの面目は丸つぶれになり、この数年間ではまれなことだが、クーニーは辞任した。あくる日、クーニーはエクソン・モービルでの仕事に就いたのだった。
このような不誠実が我慢できないのは、そのために危機に瀕するものがあまりにも多いからだ。
2004年6月21日、48人のノーベル賞科学者たちが、ブッシュ大統領とその政権は科学をゆがめていると非難した。
ニューヨーク・タイムズ
温暖化によって、山岳氷河が縮小し、極地域の山頂の雪の融解のタイミングが早まるだろう。すると、流出量が変わり、洪水が起こる可能性が変わってくるが、どのように変わるかは、現在十分に理解されていない。季節による流出量が大きく変わり、漁業や狩猟に生計を頼る先住民に深刻な影響を与えることになる。このような変化は、降水の特性の変化や、降水の強度や頻度の増大などによって、さらに複雑なものとなる。気候変動と北極圏の水循環の関係に関する現在の理解の不確実性を減らすことが極めて重要である。
過去10年間に、論文審査を受けて科学の学術雑誌に発表された「地球温暖化」に関する論文数・・・928
温暖化の原因を疑う論文の割合・・・0%
過去14年間に大衆向け新聞に掲載された温暖化に関する記事の数・・・636
温暖化の原因を疑う記事の割合・・・53%
「地球温暖化などの重要な問題に関する、科学的に一致している意見を無視することによって、(ブッシュ大統領とその政権は)地球の将来を脅かしている」(転載ここまで)
(↑この下に48人のノーベル賞受賞者の名前とサインがある)
これが「アメリカの良識」であり、「人類の良識」です。このことを知るとよい未来づくりについて少しは安心してもよいでしょう。
=以上=
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