まちも人も、認められ、褒められ、感謝されれば元気になる。
日本人全員がエンターティナーになればいい!
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今回紹介する、野尻博さんは、一人で同時に20以上の楽器を演奏し、歌う"世界一の大道芸人"です。
10年近く前のあるパーティーの舞台で、パフォーマンスをしていた野尻さんが、主賓であった舩井を突然壇上に引き上げ、(躍りや音楽が嫌いな舩井を)音楽に合わせて躍らせてしまったという伝説の持ち主です。
ところがそんな野尻さんを舩井は大変気に入りました。その後、野尻さんは地元富山で、舩井の講演会を主宰し、なんと会場を1000人以上の人で埋めつくし、舩井をビックリ、感動させました。それ以来、舩井は野尻さんを「親友」と紹介し、とてもかわいがっています。
そんな集客の達人でもある野尻さんは、日本全国のまちを元気づけるまちおこしのプロデュースも手がけています。熱い思いと論理的な手法で、さびれたまちがイキイキと活気のあるまちによみがえっていく様は、多くの感動を呼んでいます。 |
 
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(有)作芸人磨心(サウンドマシン)事務所 代表取締役、NPO 全国元気まちづくり機構 理事長 野尻博さん
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プロフィール ●野尻 博(のじり ひろし)(有)作芸人磨心(サウンドマシン)事務所 代表取締役、NPO 全国元気まちづくり機構 理事長
1949年、富山生まれ。1977年、サラリーマンから転身し、音響会社を設立。86年、総合イベントプロデュース会社に。93年には、1人で十種類の楽器、二十以上のサウンドを操るユニークな大道芸人「作芸人磨心」(サウンドマシン)としてデビュー。同年、エンターテイメント会社「作芸人磨心事務所」設立。エンターティナーの育成を始めるとともに、独自の手法による地域活性化活動を開始。まちおこしや地域の元気づくりの講演・公演で全国各地を飛び回る。98年、オリジナル創作演劇を全国各地で公演。99年には街全体をページェントとして展開する博覧会をプロデュース。2001年には、カラフルなテントを活用したテント村を総合プロデュース。抜群の集客と経済効果をもたらす「まちづくり」を展開中。著書に『ひと・まち・まつり』 (評言社刊)がある。
★(有)作芸人磨心(サウンドマシン)事務所:http://www.daidougei.jp/
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―まず、野尻さんのお仕事の中心はまちおこしのプロデュースなのでしょうか?
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パフォーマンスをする野尻さん |
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野尻:基本的には僕は大道芸人なんですよ。大道芸人を45歳の時に始めました。それまでもずっとイベント業をやってきていたのですが、それにどこか物足りなさを感じていて、「もっと人が喜ぶことはないだろうか」とずっと考えていました。
そんな時、ヨーロッパへたまたま行くことがあって、本場・ヨーロッパの大道芸を見て、もう「これしかない」と思ったのです。フランスのパリやニースをはじめ、イタリアのローマなど、いろいろなフェスティバルを見てまわりました。エンターテイメントの文化はやはりヨーロッパで生まれているのですね。
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野尻:エンターテイメントの要素には、大きく分けて二つあります。
一つは「人々が喜ぶ芸」というものです。そしてもう一つは「もてなしの空間」です。この二つがエンターテイメントの空間だと私は考えます。
だから、「人を喜ばすことができる人」と「人をもてなすことのできる人」を、"エンターティナー"と呼ぶんですね。なにも芸人や役者がエンターティナーということではないのです。私は、日本の1億2千万人すべてがエンターティナーになればいいと思っています。
「世界中の人が笑顔になる」というのが私のテーマなのです。特にいま、日本は笑顔を忘れているように感じますね。本当の笑いを忘れているんですね。ということは、本当のコミュニケーションや愛することも忘れています。だからやる気がなくなり、自分さえよければいいということになってしまうんですね。
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―本当にそうですよね。野尻さんのCDを聴かせていただきましたが、熱い想いが伝わってきて、元気になりました。いい曲ですよね。
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野尻:そうですか、ありがとうございます。
私のテーマは、「"元気"と"幸せ"」で、「講演(お話)&公演(パフォーマンス)」というスタイルで活動することが多いですね。
いままでは「元気」がテーマだったのですが、これからは「元気」プラス、「幸せ」というテーマにしていっています。これからの時代は、誰もが「人が本当に幸せになるために、何をしていけばいいのか」を考えなければいけないと思います。
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野尻博さんCD『君を幸せにしたい』 |
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―それでは、人が幸せになるために大切なことは、どんなことなのでしょうか?
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野尻:そうですね、私はいままでは、元気、元気…であることを重視して、お金儲けをすることや、自分が元気になるために活動してきたところもあるのです。
ところが、「幸せ」について考えていくと、お互いがよくなる…という状況をつくらないと、幸せって感じられないことに気づいたのです。
自分がどれだけお金を持ったり、どんなに権力を持ったとしても、幸せって感じられないものなのです。「幸せ」となると、絶対に一人では感じられません。仲間がいるとか、家族がいるとか、親友がいるとか、すばらしい会社の仲間がいる…という意識がないと、幸せは感じられないのです。
そこで、「幸せ」を考えていくと、"エンターテイメント"に行き着くと思うんですよ。つまり、人を喜ばすして、人をもてなすことです。
「もてなす」というと、つい日本人は、相手に何かをしてあげることを考えてしまいます。だから「もてなす」…というと難しく考えてしまい、できなくなってしまうんですよ。
そうではなく、相手と自分の相互が心地よく空間を作っていくことが「もてなす」ということだと私は思っています。
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―なるほど。では、相互が心地よくなる「もてなし」は、どのようにして生まれるのでしょうか?
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野尻:そうですね、それは「本当に、相手が喜ぶことは、どんなことだろう」…と追求していくことが大切だと思います。
人によって求めているものが違うのです。
たとえば、「私たちのおもてなしは最高です」と謳っているデパートがつぶれたりします。それは、接客に対して画一的な教育しかしていないからだと思うのです。「おじぎは45度で、しゃべり方はこうで…」みたいなね。確かにそういうことを喜ぶ人もいるけど、そのようなマナーを喜ぶ人は全体の3分の1くらいなものだということです。あとの3分の2の人達は、それとは違った対応で喜ぶんですよ。
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「相手が何を求めているのだろう?」と考え、相手が本当に喜ぶことをすることです。
相手が喜んでいるのを見て、自分もうれしくなり、そこにエネルギーが生まれるのです。それが相互が心地よくなる「おもてなし」だと思います。自分の好きなものや都合のいいものを相手に押し付けることは、おもてなしとは言わないと、私は思います。
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野尻:さらに、「幸せ」を追求して考えると、幸せは二つのことから感じられるということが分ってきました。
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―え、「幸せ」はどういうことから感じられるのですか?
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野尻:一つは、"感動"です。感動の中には、「心から笑える空間」や「信じ合える空間」だとか、「自分を磨き、育てられる空間」というのが必要なのです。
そして"感動"というのは、「感じるものを与えるから動く」ということだと思うのです。
なのに、たいていの人は「感じるもの」をもらおうとしているのです。まちおこしのプロデュースをする時も、皆、最初はもらおうもらおうとしているから、なかなか動けないんですね。まずは感じるものを人に与えることによって動いていくのですよ。
幸せを感じていくためには、「感じるもの」をどれだけ人に与えられるか、です。
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―なるほど。野尻さんは、日本全国のあらゆるまちの「まちおこし」のプロデュースもされていて、多くの成功をおさめていらっしゃいますが、まちおこしにもそういうことは関係しているのでしょうか?
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野尻:大いに関係していますね。まず、まちおこしをする時でも、やる気のない人にいくらいいアイディアを与えてもうまくいかないのですよ。やる気のない人にいくらお金を与えてもダメなのです。まずはその人たちがやる気が出るようになってもらうことから始めなければなりません。
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―そうなんでしょうが、人をやる気にするって難しいことですよね。
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野尻:それが意外とそうでもないのですよ。たとえば、人には「良心」というものがあるのですよ。人は良心を持っているかぎりは絶対にやる気が出るのです。一生懸命になれるのです。
なぜかというと、たとえば、私がまちおこしに携わることになるまちの人たちに、「心のこもった言葉をかけられるとうれしい人は?」と聞くと、全員、手があがるのです。また「心のこもった贈り物をされるとうれしい人は?」とか「心のこもったお店に行くと、また行きたくなる人は?」と聞くと、全員手があがります。「では、あなたのまちに心のこもったものはありますか?」と聞くと、手があがらないのです(笑)。
だから、人にやる気になってもらうためには、良心に訴えることが大事なのです。
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パフォーマンスをして、元気になっていく自分を見てもらう
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野尻:たとえば私はどんなにしゃべっても元気にはなれませんが、パフォーマンスをすると元気になれます。なぜかというと、私がパフォーマンスをすると人が褒めてくれるのです。認めてくれて感謝してくれるのです。だから、私が講演に公演(パフォーマンス)をつけるのは、私が、パフォーマンスをすることで元気になるところを皆に見てもらうためです。私のパフォーマンスを見ると、皆が泣いてくれるのです。そして、「ありがとう」という感謝の手紙をいっぱいくださるのです。「死にたいと思っていたが、元気をもらえた」とか、「離婚を考えていたが、考え直した」という、いろんなマイナスのことをプラスに転じられたという人からは、皆、感謝の手紙をいただきます。その感謝の手紙を読んでいるだけで私は元気になれるのです。
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野尻博さんの、富山の魅力を歌にしたCD『知ってますか?富山』 |
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だからまちおこしもそれと同じなのです。人に感謝されることをやればいいわけです。人から褒めてもらえるものをつくればいいわけです。そうすれば元気になってきます。お店なども全部そうです。繁盛しているお店に行くと、必ず褒められるものがあります。人に感謝されることをやっているんですよ。
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―なるほど。でもそうは言っても、地方の保守的なまちなんかになると、人の意識がかたまってしまっていて、それが変わるというのは難しいようにも思うのですが…。
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野尻:でもね、これはあくまでも世の中の環境しだいなんですよ。たとえば、10年前の東京の山手線の駅構内はどこを見てもタバコの灰皿がありました。ところがいまは、どこの駅を見てもタバコの吸殻1本見つけるのも難しいですよ。
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野尻:それはすべて環境なんですよ。「こういうのが望ましい」「こういうのがいいことなんだ」という具体的なことが分かれば、人間はすぐにそれに沿うように行動するものなのです。
お金よりも必要なことは自律心なんですよ。ところが、やる気がないと自律心は持てないんですよ。その根底にあるのは何かいうと「愛」だと思いますね。
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CD『知ってますか?富山』が好評のため、今年の1月30日の富山新聞に取り上げられました。 |
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野尻:「愛」というのは、たとえば異性に対するものだけではないですね。愛の対象はいろいろありますね。国に対する愛、会社に対する愛、地域や商売に対する愛…。一人ひとりの内面にあるこれらに対する愛を掘り起こさないかぎりは、まちおこしは達成できません。
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野尻:それと「幸せ」が感じられるもう一つのポイントは、"異空間"です。いつもと違った環境に行くことによって人は幸せになります。だから旅というのは、皆、幸せを求めていくのです。その最たるものは何かというと、新婚旅行です。最高の幸せを求めていくわけです。"異空間"が幸せを生むんですよ。違った人と出会う、違った言葉と出会う、違った環境に行く…これらが幸せを生むのです。
だから人もまちも"異空間"をつくればいいわけです。"異空間"とは、単に形という意味での空間だけのことではありません。「心の異空間」というのもあります。まわりとは違った自分らしさは、私はその人の魅力だと思っています。一人ひとりの違いをお互い、尊敬し合ったり、話しあったりするのは大切なことですね。
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―なるほど。そうですよね。まちおこしも、個人レベルの幸せも、共通するものがあるのですね。野尻さん、今日は興味深いお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。
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(インタビュアー:藤原)
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舩井幸雄よりのコメント
野尻さんは、意気の人です。
勉強家で常に前向き、プラス発想の人です。
会っていると、それだけで元気になります。多くの人にぜひ彼のことを知ってほしいと思っています。アタマのいい、世界一の大道芸人と言える人です。
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◆◆◆ 野尻博さんのCD・著書プレゼントのお知らせ ◆◆◆
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野尻博さんの、超元気になれるCD、『君を幸せにしたい』とCD『知ってますか?富山』のいずれか1枚か、著書『ひと・まち・まつり』1冊を、合計30名様にプレゼントいたします♪ご希望の方は、お名前、郵便番号、ご住所、お電話番号と、CDと著書どちらをご希望か、またCDの場合、どちらのCDをご希望かをご記入の上、件名に「野尻博さんプレゼント希望」と記載し、下記のアドレスまでお申込みください。なお、当選された場合も、ご希望の商品になるとは限りませんので、ご了承願います)。
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★ご応募アドレス→ oubo@funaiyukio.com
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※当選の発表は、商品の発送をもって変えさせていただきます。
応募締め切り:2009年2月28日
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☆3月4日頃に、当選された方全員にプレゼントを発送させていただきました。
多数のご応募をまことにどうもありがとうございました。
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★野尻さん企画のイベント『笑いの王様 2009 ~幸せづくりは笑いから~』(NPO法人 全国元気まちづくり機構主催)が3月26日に開催されます。奮ってご参加ください(日時:3月26日(木)(18:00~) 場所:富山県教育文化会館 料金:大人1000円、子供600円 *チケットのお求め、お問い合せTEL:076-495-9765)。
詳細はコチラ
★野尻博さんのまちおこしプロジェクトの様子は、近日中に『今月のクローズアップ』でも紹介する予定です。お楽しみに! |
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