日日日是好日 〜熱海だより〜 -熱海秘書 相澤智子-

このページは、2009年11月から(株)船井本社 熱海本社で船井幸雄の秘書として勤務することになった相澤智子(あいざわ さとこ)によるコラムページです。
日々、船井幸雄やまわりの人たちと接する中で気づいたこと、学んだことなどを皆さまにお伝えしていきます。
2010年11月9日
『パパラギ』から考えた資本主義について

 船井は、1980年代ごろから「資本主義は崩壊する」と考えていたそうです。船井は若いころ、経済学者であり、哲学者として戦前から有名であった灘波田春夫さんに出会いました。そして考え方に大きな影響を受けたそうです。灘波田さんは、「宇宙の法則に合わないのは、永続しませんよ。一人ゲームで多くの人が我執の塊になるような資本主義は近々かならずつぶれますよ」と教えてくれたそうです。
 現代だったら、私たちでも「資本主義の仕組みはなんだかおかしいな」と思うことができると思いますが、ずっと昔に灘波田さんのように大きな目線で世の中を見ていた人がいたということに驚きました。
 
 この資本主義について、『2009年 資本主義大崩壊!』(ダイアモンド社刊)には次のように書かれてあります。

 1990年代の共産党主義の崩壊について、自由主義、すなわち資本主義体制の勝利だと考えた多くの人たちがいたようですが、1980年代から、「物やお金をもっともっとと追求する資本主義」は近々に崩れざるをえないはずだと私は確信していましたので、1989年に起きたLTCMの破綻で資本主義体制下の“自己中心”の考え方が究極まで到達したと感じたのです。具体的に資本主義体制も近い将来、崩壊するという思いを強くしたのでした。
 (中略)儲かれば何をしてもいい、他人などどうなってもよいという意識が、一流企業の経営者までも毒していることがあらためて明らかになりました。資本主義発展の原動力になっている“自我”が、もはやコントロールできなくなって暴走しはじめたことが常識人にはっきりわかったはずです。
 この自我は、“自分だけを大切に思う気持ち”、もしくは“エゴ”と言ってもいいでしょう。(中略)
 もともと資本主義も共産主義も、エゴを大切にする「近代」が生んだ社会システムです。ともに、ヨーロッパで封建制度が崩壊するなかで、“個の確立”とともに発展し、生れたものなのです。


 資本主義のおかしいところは、他の人のものを搾取してでも一部の人が富を独占して、一人勝ちを目指すような仕組みです。資源というものは限られていますし、「そんなことがいつまでも続くわけない」と思ってしまうのは当たり前の考えのように思います。しかし、私たち日本人の大半もそうですが、普段の生活の中で、他の貧しい国の人たちに目を向けることはあまりありません 。例えば食料についてですが、私たちは年間5800万トンの食糧を輸入しながら、その3分の1(1940万トン)を捨てています。それは3000万人分(途上国の5000万人分)の年間食料に匹敵するそうです。まさに、「今だけ、自分だけ」の考えの社会です。

 皆さまは、「パパラギ」という言葉をご存知でしょうか。

 パパラギとは、白人のことです。
 最近、立風書房から発刊されている『パパラギ』という本を読みました
 はじめて文明というものを見たサモアの酋長ツイアビの目線で、パパラギ(白人)がどんな人たちかが書かれた本です。

 この中で、心に残った言葉があります。

 パパラギは、一種特殊な、そして最高にとんがった考え方をする。
 (中略)
 「このヤシの木はおれのものだ」なぜかというと、ヤシがそのパパラギの小屋の前に生えていたから。まるでヤシの木を自分で生やしでもしたかのように。ヤシは決してだれのものでもない。けっしてそうではない。ヤシは大地から私たちに向かって差し伸べたもう神の手だ。神はたくさんの手を持っておられる。どの木も、どの花も、どの草も、海も空も、空の雲も、すべてこれらは神の手である。
 私たちには神の手を握って喜ぶことは許される。だがしかし、こう言ってはならない。「神の手はおれの手だ」しかしパパラギはそう言うのだ。
 私たちの言葉に「ラウ」というのがある。「私の」という意味であり、同様に「おまえの」という意味でもある。ふたつはほとんどひとつであり、同じ意味である。だが、パパラギの言葉には、この「私の」と「おまえの」以上に違いの大きな言葉はほとんどない。「私の」とは、ただ私ひとり、私だけのものである。「おまえの」とは、ただおまえひとり、おまえだけのものである。それゆえパパラギ、自分の小屋の範囲にあるものを、すべておれのものだと言う。だれもそれには権利はない。彼のほか、だれも。
 (中略)彼はいつでも、どこでも「おれのもの」に苦労させられ、気をつかわねばならない。
 (中略)狡猾なパパラギはこう言って私たちをだまそうとする。「神のものなんて何もない。おまえが手につかんだものは、すべておまえのものだ」――そのような愚かな言葉に耳を貸すまい。正しい知恵に耳をかたむけよう。すべては神のものだ。



 自分たちが過ごしている「自分だけ良ければいい」という社会は、やはりおかしいものなのだなと考えさせられました。文明は発達していてもそれが本当の意味で幸せなことなのかは分らないものだと感じました。

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Profile:相澤智子(あいざわ さとこ)

船井家の愛犬ゴンちゃんと一緒に。

1981年仙台市生まれ。6年間美容室に勤務後、一転して、2008年に船井幸雄グループに入社。学生時代から、船井幸雄の著書を愛読し、2007年の「船井幸雄オープンワールド」に参加。その後、すぐに「にんげんクラブ」に入会。2009年11月より、(株)船井本社の熱海本社にて、船井幸雄の秘書業務に携わる。現在、大好きな船井幸雄のそばで、いろいろな刺激を受けながら楽しく働いている。好きなものは、音楽鑑賞、ジブリ映画、犬。



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