日日日是好日 〜熱海だより〜 -熱海秘書 相澤智子-
日々、船井幸雄やまわりの人たちと接する中で気づいたこと、学んだことなどを皆さまにお伝えしていきます。
船井は、「これからは、『今だけ・自分だけ・お金だけ』ではない美的意識が大事になる時代だ」と話しています。そして特に日本人が大事になってくるようだと述べています。
日本人が持つ美的意識は世界の中でも独自なものであり、他の国にはないよいところがたくさんあるようです。
自分は日本人だが自分の国について知らないことがたくさんあるなと思い、日本人の美的意識や日本人の良いところについて知りたくなりました。
日本人にとっての「美」とはどんなものなのでしょうか。日本人は、どんなことを大事にしてきたのでしょうか。
まず、外国人からみた日本人の印象についてですが、よく言われるのは、「自己主張ができない、外渉がへた、素直でない、あいまいだ、何をいいたいのか分らない」などです。日本人は、衝突して他人に自分の意見を主張するということをあまりしないため、外国人には、「日本人は面倒をさけ、自己を抑制している」ように見えるようです。
日本人は、自分を押し出す態度や姿勢を恥とし、できるだけつつましくいようと心がける謙虚な姿勢を良しとしてきました。そして他との調和を大事にしてきました。これは他者を思いやる気持ちの表れでもあるようです。
それが外国の文化とは異なるため、誤解されることが多いようです。
この「調和」についてですが、これは人間関係だけでなく、日本文化の中では庭園、茶の湯、生け花、工芸品などにも表れています。日本文化で共通するのは、これらが人工的な美によってできているものではなく、自然と調和する美意識によってできているということです。たとえば庭園についてですが、西洋の庭では、左右対称の形や、噴水、バラのアーチなどの人工的な形が多いのに対し、日本庭園は自然とかけ離れた形ではなく、自然と調和するようにできています。これは日本人の、自然と人間を分けた考えではなく、人間は自然の一部であるという考えからです。これは良い考えだと思います。
そして、日本人について、おもしろいなと思ったことがあります。
それは、呉善花さん著(韓国出身、現拓殖大学教授)の『私を劇的に変えた 日本の美風』(李白社刊)を読み知りました。一部をご紹介いたします。
あるとき、知り合いのビジネスマンから、「今度部長に昇格しました」と挨拶された。そこで心境をうかがってみると、「まあ、今の会社の流れからすれば、私がたまたま適任だったということでしょうね。」という。なぜそんなに謙遜するのかと聞いてみたことから、その人はにわかに力を入れて話しはじめた。
けっして謙遜しているのではないのですよ。自分を含めた大きな流れというものがあって、ああ、その流れがこの人事を決定したんだな、誰もがそう感じられるようなことだったらいいな、自分はそう願うばかりだということなんです。
目からウロコが落ちる思いがした。このときに自己抑制とも見える態度や姿勢から出てくる根拠がようやくわかったと思えた。
この人もそうだが、日本人はみなお坊さまのように生きようとしていると思わずにはいられない。頭の中ではなく、心の目で見ている。あるいは、頭の目の働きが、心の目の働きの要請をしっかり受け止めている。またまた、褒めすぎだとかいわれそうだが、そういうことではない。
頭の目は、自然を人間にとって便利で快適なものへつくり変えていこうと働く。それに対して心の目は、自然生命のリズムや流れに感応していて、無理のない調和への道を照らし出そうと働く。自然信仰にはじまる宗教性というものは、この心の目の働きから生み出されていったものだと思う(転載ここまで)。
「お坊さま」という言葉に思わず笑ってしまいましたが、外国の方から見ると、こんなに驚きなのだなということをはじめて知りました。
またこのようなお話もありました。
日本人は、「ありがとう」という言葉をよく使います。これは、韓国人の感覚からすると、「心にもない形式的」という感覚があるそうです。韓国にも「カムサハムニダ(感謝します)」「コマスムニダ(ありがとうございます)」という言葉がありますが、これらは形式的な場面や深く御礼をいうとき以外は日常的にはあまり使うことはないのだそうです。
日本の「お蔭さま」という言葉がありますが、これは目の前の人やお世話になった人だけにとどまらず、見えない存在にまで感謝する気持ちが表れています。
韓国には「徳沢(トクテク)」という言葉がありますが、これには具体的な他者に対しての感謝だけで、「お蔭」のように見えない存在や力に対しては含まれないそうです。
自分の努力だけで達成できたのではなく、他者のおかげでと思うことができ、そして見えない存在達にまで感謝することができるというのは、これも日本人のよいところだと思います。
他者を思いやれること、他者や自然とつながりを感じられること、そしてさまざまなことに感謝して過せることは日本人の長所だと思います。
そして日本は他の国は実現できていないことを実現しているようです。
それは、次のようなことです。
・豊かで貧富の差が著しく大きくない社会。
・安寧秩序がよく保たれた社会。
・深刻な対立・紛争のない平和で安定した社会。
・自由で民主的な制度に基づいた平等社会。
これらを実現している国は、日本以外にはないそうです。
呉善花さんは、「一つ一つを比較してみても、日本はどれについてもトップレベルの位置にあるといってよいだろう」と述べています。
自分たちの国の良さをあまり知らないという人は、若者などは特に多いと思います。普段何げなく過ごしている中にも、こんなによいところがあるのだということを知り驚きました。まずは自分たちでそれらをきちんと知ることで、日本人のこれからの役割も見えてくるように思います。
2010.11.24:ペガサスさんの本を読んで
2010.11.16:日本人の美意識について
2010.11.09:『パパラギ』から考えた資本主義について
2010.11.02:エドガー・ケイシーを知ってみて分ったこと
船井家の愛犬ゴンちゃんと一緒に。
1981年仙台市生まれ。6年間美容室に勤務後、一転して、2008年に船井幸雄グループに入社。学生時代から、船井幸雄の著書を愛読し、2007年の「船井幸雄オープンワールド」に参加。その後、すぐに「にんげんクラブ」に入会。2009年11月より、(株)船井本社の熱海本社にて、船井幸雄の秘書業務に携わる。現在、大好きな船井幸雄のそばで、いろいろな刺激を受けながら楽しく働いている。好きなものは、音楽鑑賞、ジブリ映画、犬。