“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2020.02
今こそ株式投資

「新型肺炎は恐ろしいものだが、投資の判断に影響するものではないと思う。今は株式を売るときではない」
 世界一の投資家と言われ、全米の尊敬を集めている資産家ウォーレン・バフェット氏はCNBCでのインタビューに答え現状の投資姿勢について話しました。
 昨年、米中摩擦で市場が大混乱を起こしているときも、バフェット氏は同じように「貿易摩擦の問題を捉えて株を売るべきではないと思う」と述べていました。貿易摩擦の問題が佳境で連日報道されているとき、株価の動きは乱高下して冴えなかったのですが、落ち着いてみるとバフェット氏の読み通り株価がいつの間にか上昇に転じていたわけです。

●なぜ「株を売るべきではない」と言えるのか
 バフェット氏はなぜかような新型肺炎がまん延して世界中に問題が起こり、経済活動が低迷しそうな、この時期に、自信を持って、「株を売るべきではない」と言えるのでしょうか? 普通に考えれば、新型肺炎の影響で経済活動が低迷するのは必至ですし、さらに先行きも読めません。現にここにきて世界的に株価は大きく下げてきました。
 日本企業も中国への依存度が高いですから、業績が低迷して、中には赤字になる会社も出てくるでしょう。この不透明な状況では、一旦持ち株を売却して様子を見る方が理にかなっていると感じるのも当たり前でしょう。バフェット氏は米国の株式市場について言及しているのであって、日本株の話をしているわけではありません。ですから日本株については別の見方をする必要があるのでしょうか。それも違うでしょう、バフェット氏はかような新型肺炎のまん延というような突発的な事象で株式が売られた場合は、買っておくべきという考えと思われます。
 バフェット氏自身、今回の新型肺炎の問題を甘く見ているわけではありません。バフェット氏は親交が深く友人である、同じく大富豪である、ビル・ゲイツ氏(マイクロソフト創業者)に今回の新型肺炎についての所見を聞いたそうです。ゲイツ氏は感染症に対して多大な知見を持っています。
 そのゲイツ氏によれば「新型肺炎の問題も長い目でみれば、汎用的な予防策が出てくるはず」ということで、先行きに関して楽観的な見通しを持っているということです。

 バフェット氏は長期投資で財を成してきた投資家です。ですからバフェット流で考えると市場がパニックを起こして皆が売りに回るような時こそ株を買うべきというわけです。バフェット氏はリーマンショック時、誰もが世界経済の先行きを悲観して株を売り叩いていた時に、ゴールドマンサックスの株式を大量に買い付けて、大きな儲けを出すことができました。今でこそ、リーマンショック時に株を大量に買えた、ということに対してなるほど、と感じるかもしれませんが、当時は米銀のほとんどが倒産状態にあり、ゴールドマンサックスといえ、金融危機に陥って危ない局面だったわけです。そこを果敢に投資したところがバフェット流の凄いところです。投資の世界では人と全く違う発想ができるような人が大きな利益を生み出すことができます。これは古今東西、投資の鉄則でもあるわけですが、普通の人の考えの逆を行くような投資姿勢は報われることが多いわけです。特に市場全体がパニック的になっている時は売りが殺到しているわけですから、逆に株価は異様に安い状態となりますので、余計に買いに分があるわけです。
 今回の新型肺炎による市場混乱のケースなどは長い目でみれば、バフェット氏が言うように株を売るべきところではなく、買うべきところと思われます。

 というのも、ゲイツ氏の指摘の通り、かような疫病での経済悪化については、永遠に続くわけではないでしょう。今回の新型肺炎のまん延に関しては、通常は暖かくなる夏までには感染拡大は収束すると思われます。この場合、この新型肺炎の混乱中、人々の需要が極端に抑えられていたという事実があるわけです。あなたの買いたいものもかような情勢下にあっては、買う気も起こらず、また人が多いところには買いに出かける気も起きず、更に先行き不安なのでお金は無駄に使わず、とりあえず現金を用意しておこう、などという考えになるのではないでしょうか。かような情勢、並びに現在では現実に中国の経済の動きがストップしているために製品を作るための原料や部品、並びに中国から必要な完成品も入ってこないということで、日本企業の中でも商売にならないケースも続出しています。更に日本では中国からの観光客がインバウンド消費で大量に品物を買ってくれていたわけですし、彼らが泊まっていた宿泊施設などもキャンセル続出で困り果てているのが実情です。この現実をみれば、企業の収益は悪化するのも当然ですし、経済活動が低迷して業績が現実に悪くなるわけですから株式など買えるわけがない、と思うかもしれません。
 ところが見方を変えてみましょう。まさにバフェット氏が今回の新型肺炎の問題は「投資判断に影響しない」と言ったわけを少し掘り下げて考えてみると、「現在起こってきた株安こそが、いいチャンスになる」との考えにも行き着くわけです。
 というのも今回のような疫病に対してはいずれ、解決策が出てくるのが人類史で常に起こってきたことだからです。このまま永遠に新型肺炎の感染が拡大して、東京オリンピックも中止になって、更に冬に向けて世界中で感染拡大していって、各国の活動がますます低下していって、世界中で経済活動が実質動かないような状態に陥っていくということになるでしょうか?
 時期がどこになるかはわかりませんが、この新型肺炎のワクチンや治療薬もいずれはできるわけです。感染拡大は予想以上に続くかもしれませんが、いずれどこかで収束するわけです。それは人類の歴史です。この新型肺炎が激しく拡大していって世界中で経済活動ができなくなって、最終的に人類の多くは交流できなくなるという惨憺たる状況に陥るということはあり得ないでしょう。歴史を振り返れば疫病もいろいろありましたし、忘れた頃に繰り返し起こるわけですが、現在の医学では概ね、時間の問題で解決策が出てくるわけです。そうなればここまで起こってきた混乱はほとんど解消され、また以前のように活発な経済交流が始まってくるわけです。しかも混乱時に抑えられていた需要が一気に爆発する将来が待っているわけです。そうなるのが普通の流れです。時間がどのくらいかかるかは定かではありませんが、今回の新型肺炎の騒ぎはいずれ解決する問題なわけです。
 であればこのような問題で株が安くなった時は買いチャンスではありませんか? それをバフェット氏は指摘して「新型肺炎の問題は投資判断に影響するものではない」と投資家を諭しているわけです。

●投資の世界においては人と反対のことをすること
 相場の格言では「人の行く裏に道あり、花の山」というものがあります。投資の世界においては人と反対のことをするのです。多くの人が買えば、売る。多くの人が売れば買う。誰も見向きもしないような会社に目をつける。なぜかというと人が皆強気で買ってくる時は株価は高くなるわけです。そのような時に買うべきではない、ということです。逆に今のように新型肺炎の問題で人々が恐れ、先行き不安で持ち株を売り、経済の先行きはわからない、と評論家を始め大多数の人が株式投資に弱気になり、ニュースや新聞で一番に株安や新型肺炎の話を連日報道するような時は、多くの人は株を買うのをためらい、売ることを多く考えるでしょうから、このような時は必要以上に株価が安くなる傾向となりますので、買うべきだということなのです。

 日本人は投資嫌い、株の暴落説ばかりが市場を席巻しています。誰もが株式をバブルと言っています。ネットを見てもYouTubeをみても、残念ながら<株は買い>と強く言っているのは朝倉慶ぐらい、という寂しい状況です。
 ゼロ金利で全く利息もつかない預金にお金を溜め込んでばかりの日本人です。日本を代表する株式の年間の配当利回りをみると今回の株安で大きく上昇してきています。2月26日現在で、例えばJTは6.9%、キャノンは5.7%もあります。これらは12月決算で12月末の株式保有者が配当の権利を持っています。そしてこの3月期をみるとNTTは3.4%、NTTドコモは3.9%、ソフトバンク(通信子会社)は5.7%もあります。メガバンクをみると三菱UFJフィナンシャルは4.5%、みずほフィナンシャルは4.8%、三井住友フィナンシャルは5.0%です。商社をみると住友商事は5.0%、三菱商事は4.7%、丸紅は4.6%です。これらの配当の権利が持てるのは3月下旬時点の株式保有者です。日本を代表するこれらの銘柄群がこんなに高配当になっているのにあなたは相変わらずゼロ金利の預金だけにお金を置いておくのですか? 「金利がほとんどない」と嘆くより、冷静に客観的な事実に目を向けて資産運用の重要性を考え直す局面ではないでしょうか。

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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
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Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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