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トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2005年6月1日
良書を読もう

 5月15日の日曜日のことです。午後2時ころから久しぶりに5冊の本を読破しました。正確には4冊の本と1冊の本の原稿を読んだのです。私見ですが、5冊ともすばらしい良書でした。1冊は、私の家の近所に住む岡武秀さんの『サービスを考える』(2005年5月、演劇出版社事業部刊)です。岡さんは現在、熱海市議会議長ですが、熱海後楽園ホテルの社長を昭和60年から平成7年までされていました。当時、船井総研主体で、毎年夏に、このホテルで「船井クラブ全国大会」を一泊二日のスケジュールで行なっていたのです。その時、このホテルの行き届いたサービスに感激したのですが、いつも陣頭指揮をされていた岡さんの考え方が実によくわかる本です。人としてもっとも大事なことの一つであるサービスの心髄をあらためて教えられました。
 この本のはじめに脚本家の芝修一さんが書かれた「岡さんの感性」というすいせん文(?)がありました。その一部を紹介します。ぜひ皆さんも御一読ください。

 岡さんとの交流は、かれこれ15年、いやもう20年近くにもなる。
 いつも思うことだが、僕にとって岡さんという大きな存在は汽車で富士の山中を通るようなもので、近く唯木一本を見たのではなかなか其の全体を見極めることが出来ず却って少し距離を置いて眺めた方が、大体の輪郭の見通しがつくような気がする。
 昔、勝海舟が西郷隆盛を評して「大きく叩けば大きく響き、小さく叩けば小さく響く・・・」と言っている。
 それは、まったく岡さんにも言える。だから僕なんぞは岡さんと会う時にはいつも、大小の引き出しをいくつも、前もって用意していく。
 岡さんの第二作目の後書きで僕は、岡さんの生涯は一大調和であると書いた。そしてその調和の基本を成しているものは、それは探究、思索、判断、創造そして実行(行動)であるとも書いた。
 しかし、それだけでは不十分で、岡さんを評してもっとも適当な言葉は「考えて判断する人」というのがその特徴を言い得ていると思う。
 考える行為というのは脳の極めて狭い仕事場で行なわれるが、岡さんはその中にあり余る程の古今新旧、洋の東西の知識、思想を貯え、それを醗酵させ、そして古いものは整理し、新しい道、というか、系統を創造してきた。広い知識、大きな経験、そして、それをいろいろに組合せる思索力は、これはとても僕などの及ぶところではない。それだけではない、その博覧強記により、また創作家的な力により熱海に大きな足跡を残してきた。その行動の根拠が広大であるからその判断は偏狭でなく、時としては熱海という風袋をはるかに越えていた。
 いつだったか岡さんとのイメージについて話したことがあった。その時岡さんは
「・・・・本来、物のイメージというものは確立されるものではない。例えば熱海だが、君は熱海のイメージを一言で語れるか」と聞かれた。その時、僕はとっさに答えられなかった。
「・・・そうだろう。結局、イメージというものは存在しない。有るとすれば純粋な意味での御客の自由な要求ではないのか・・・」と言った。「そして、それにどうこたえるかはそれぞれの感性だ」とも言っていた。
 ややもすると感性を若者の特技のように世間では言われるが、僕は決してそうは思わない。
 感性というのは言ってみれば“時間という抽象を距離という具体性に置き変える能力”(東北福祉大学 大竹榮教授)だと思う。つまり、それはやはり経験による裏付けである。
 しかし、無論、それも日々心に掛けていなければ蓄積された能力とはならない。
 思想にも栄養が必要であるように、やはり感性にも栄養が必要であろう。
 ここに上梓されたサービスの心得、これもある意味での感性を要求されるものであろうと僕は考える、そして、それはこの本のあちらこちらに記されてある(転載ここまで)。

 私の読んだ2冊めは、山本七平著『日本人とアメリカ人』(2005年5月 祥伝社刊)です。1991年に亡くなった山本七平さんとは、私はいろいろ付きあいがありました。彼は比較文化論の第一人者だったと思います。本書を一読するだけで、アメリカ人の本質がある程度理解できます。良い本です。3冊めは渡辺俊男著『凍土の約束』(2005年5月 祥伝社刊)です。戦後、ソ連軍に捕虜になりシベリヤのラーゲリーで2年余りを過した著者が、そこで知りあったルーマニア人の捕虜との深い交流が本書を生んだのです。最近こんなに「人間」について考えさせられた本はありませんでした。当時の実情やドイツ人、ロシア人、ルーマニア人などの特性もよくわかります。
 4冊めは山田鷹夫著『断眠』(2005年4月 三五館刊)です。『不食、人は食べなくても生きられる』(2004年11月 三五館刊)という本を書き、実際に不食を実行していた彼と親しくなりました。そしてびっくりしましたが、今度の本は彼が自ら送って来てくれたものです。
 彼の結論は「断眠は人生を変える大いなる力だ」ということですが、この本からもいろいろ教えられました。ともかく彼はすばらしい人だと思います。また、びっくりしました。
 さいごの1冊、これは原稿を読んだのですが、私の娘の著書で、船井ゆかり著(仮題)『娘の「おそらのうえのおはなしだよ」』(今年の夏、グラフ社刊予定)です。
 生まれる前の記憶があった私の孫娘の幼少時の話しから、子育てなど、実際に私のよく知っていることが書かれているだけに、感動するとともに意味深い勉強をさせられました。
 ともかくこれも良書だと思いました。
 そのうちこれらについては、このホームページの良書選定で紹介したいと思っていますが、良書を読むのはすばらしいことです。ぜひ皆さまもお読みください。
                                                 =以上=

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