“超プロ”K氏の金融講座
このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。
「これは史上最大のカムバックであり、自らの命を危険にさらしながらも政界の既成勢力全体に抗うものだ、おかげで世界はより良いものとなった。今は自由の風が吹く、より強くなっている」
アルゼンチンのミレイ大統領はトランプ氏の私邸フロリダの<マーアーラゴ>で開催されたパーティーの壇上でトランプ氏を称賛、今回の選挙での勝利をたたえました。ミレイ大統領は世界の首脳のなかで初めてトランプ氏と面会、その蜜月ぶりを披露したのです。一方で必死にトランプ氏との面会を模索していた石破首相は今回、トランプ氏と面会することはできませんでした。安倍元首相亡き後、強烈な個性を持つトランプ氏と日本の首相が上手くやっていけるかどうか心配なところです。
このミレイ氏ですが、自由主義を標榜して徹底的に規制緩和や財政カットを推し進めてきました。2023年11月アルゼンチン大統領選挙でミレイ氏が勝利したとき、トランプ氏は祝辞を送り「ミレイ氏はアルゼンチンを好転させ、真に偉大にするだろう」と述べていたのです。そのアルゼンチンですが、一般的には経済が破綻してハイパーインフレになっていたことで知られています。そんなアルゼンチンですが、実は株価はこの5年で52倍、過去16年でみると株価は2000倍になりました。
一方、同じくインフレに苦しんでいたことが知られているトルコですが、トルコでも株価はこの5年で10倍、過去16年間をみると41倍になっています。
一般的に国がインフレになったり、経済破綻に近づくとその国の株価は暴落しているようなイメージを持つ人が多いと思います。ところが現実は逆で、経済が悪化して中央銀行がそれに対処するため補助金を連発したり、貧困層に現金をばらまくとその国の通貨が大きく下げてしまいます。結果、その国の株価は自国の通貨の価値の減価を受けて大暴騰してしまうのです。
現在の世界はどの国の人びとも物価高に苦しんでいます。トランプ氏は「4年前より生活は良くなったか?」と問いかけ、これが人びとの心に響きました、物価高で生活が困窮してきた国民は迷わずトランプ氏に投票したのです。日本では国民民主党の<手取りを増やす>とのキャッチフレーズがSNSを通じて大きく拡散、選挙では予想を大きく上回る得票を得て、国民民主党が国会のキャスティングボートを握ることとなりました。欧州では極右政党と極左政党が大きく支持を伸ばしています。彼らの主張は一緒でもっと税金を下げる、もっと収入を増やす政策を実行するということです。つまり世界のあらゆるところで、緊縮政策は嫌われ、国民受けする減税や補助金の増額などばらまき政策が花盛りで、これが選挙民に受けて、うまいイメージを作り出した政党が大勝する構図です。
いったい財源はあるのですか? ないです! でもばらまき政策を続けるしかありません。だってどの国も一緒です。そして世界の中心、米国ではトランプ氏が当選、減税の延長と関税の引き上げなどこれまたインフレを加速する政策を行うこと決定的です。
米国の債務残高は5000兆円を超えてきました。利払い費は140兆円超と日本の国家予算を超えてきています。さすがの米国もこの利払い費を賄うためには追加的な国債発行を行うしかありません。こうして日本だけでなく、今は世界どこでも例外なく、国債を大量に発行して借金を重ねて、そして経済を押し上げていく政策が取られ続けているのです。その甲斐あって株価はどこの国でも今年史上最高値となりました。史上最高値を取るような絶好調の経済なのに、何故人びとは苦しいと悲鳴を上げ続けているのでしょうか? まさにインフレです。どの国も例外なくインフレで物価上昇が止まらない。今年多少は物価上昇が収まったとは言え、物価が元の水準に戻るはずがないのです。
そして米国第一主義を掲げて選挙で圧勝したトランプ氏は今度は第一次トランプ政権時とは違って、自らの思い通りに政策を推し進めることでしょう。司法、軍、情報機関を抑え、権力を盤石なものにして、独裁的な政治体制を作っていくことでしょう。いよいよ本当の意味で米国においても民主主義の危機が訪れるかもしれません。一方で米国は内向きになり、関税を大幅に引き上げそうです。結果、世界経済が大混乱に陥っていく可能性があります。またトランプ政権は中国を敵視する姿勢が鮮明です。今後の米国と中国との関係は決定的に悪化していって、まさに米中の経済はデカップリング、お互いがお互いなしで自らの経済圏を構築しようとするでしょう。これは自由貿易を死滅させ、世界の物価を大きく引き上げる要因となります。更にトランプ氏は米国の金融政策の中枢であるFRBに対しても大きな圧力をかけることとなるでしょう。FRBのパウエル議長の任期は2026年5月までですが、そこまでにトランプ氏とFRBが深刻な対立を引き起こすことは必至でしょう。内にこもる米国はもう世界の面倒をみようとは思いません。トランプ政権はどの国も「自国第一主義でやってくれ」と突き放すことでしょう。
こうして世界での協力や協調は消えて、無秩序で自分勝手な世界がやってきます。気候変動は更に激しくなって、国際協調などなく、物価がどの国でも予想を超えて大きく上がり、そしてどの国も怒涛のマネー印刷を続けて、その国の通貨ベースでみると驚くように各国の株価が上がり続けるでしょう。
混乱とカオス、対立の時代です。秩序がないのです。どの国も苦しいのです。どの国の国民も不満だらけです。どの国の政治家も本当の意味での解決策を見い出せないのです。かような中、世界的なインフレを止めることはできません。どの国の国民も苦しいので減税、補助金、給付金を求め続ける、いわばインフレ政策を求め続けるのです。「インフレになったのにインフレ政策を求める」これは本来矛盾なのですが、これこそ時代の大きな流れで止めようのない大波なのです。誰も止めることができないのです。限界に行きつくまでは……。そしてそれは政治が機能しなくなったアルゼンチンやトルコが歩んできた道と一緒です。驚くような市場の激変と混乱が待っています。それは株価の暴落でなく、現金の暴落、すなわち世界を襲うのはインフレの高騰なのです。
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★『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。
★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/
経済アナリスト。
株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。
実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。
著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。
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