“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2025.04
時代の波

「財政規律ばかり考えていたら国民の生活にゆがみが出てくる可能性もある。現実の生活が苦しいときには現実的な政策を取る」
 立憲民主党の野田代表は4月25日、立憲民主党の参議院選挙の公約として食料品の消費税を1年間に限ってゼロに引き下げることを目指す考えを表明しました。同党の創始者である枝野最高顧問は「減税ポピュリズムだ」として消費税減税方針に対して反対していましたが、野田代表も党全体の要望には逆らえなかったようで、まさに苦渋の決断として食料品の消費税をゼロにすることを決断したようです。一方で国民的人気が沸騰しつつある国民民主党では消費税を5%に引き下げることを公約として謳っています。与党である自民党、公明党でも消費税引き下げへの圧力は参議院選挙に向けていつになく激しくなってきているようです。自民党参議院議員での聞き取り調査では8割の議員が消費税引き下げを求めているとのことです。立憲民主党の野田代表は「赤字国債に頼ることなく地方財政にも未来世代にも負担を及ぼさないように財源を確保する」と述べて財政規律に一定の配慮を示したものの、その具体的な財源の話には言及していません。かように今回の参議院選挙では消費税引き下げの有無が焦点になってきそうな雲行きです。

●時代の波はインフレに向かう
 朝倉が一貫して主張してきたのは、「時代の波はインフレに向かう」ということです。これは誰も抗しきれない時代の勢いでもあります。人びとがばらまき政策を求め、政治家は人々の声を無視することができず、結局、最終的に大規模なばらまき政策が断続的に続き、それがいずれ常軌を逸した流れとなって日本全体をインフレの波が襲ってくるようになるというわけです。ですから朝倉は一貫して「株を購入すべきである、株を購入しておかなければインフレ激化という時代の波に取り残されることになる」と主張してきたわけです。この主張は2013年から朝倉が一貫して主張してきたことであり、足元の日本の政治の流れをみても、人びとの心理の変化をみても、日本の政治におけるばらまき政策は留まる様相はなく、日本は着実にインフレへの道は激しくなっていくというわけです。
 考えてもみてください。日本は先進国の中で最も国の借金が多くて、尚且つ赤字国債の発行が増える一方です。世の中にはこの日本の財政赤字や日本の膨大な借金に対して、これが全く問題ないという考えも強いわけです。MMTという理論では「自国建ての通貨で国債を発行できる国はいくら国債を発行しても全く問題ない」という考えもあります。このような考えからすれば「財政規律を必要以上に重視するのは間違っている」ということになるわけです。現に日本の財政は20年以上前から世界で最も借金が多く、不健全であるといい続けられてきました。ところが一向にインフレになってこなかったわけで、このような現実を考えれば、必要以上に財政規律の話をするのは間違いであって、かような足元の国民生活の苦しさを考えれば、国はもっと財政支出を行うべきであり、国民に給付や補助を増やすべきということとなります。最近ではかような主張が過激となって財務省に対して「財務省を解体しろ!」とうデモまで起こるようになりました。
 この日本国の財政が持続可能なのか? 可能ではないのか? とういう問いに対しては答えが難しいところです。
 いくらでも国が借金していいのであれば日本国は税金など取る必要もなく、消費税も所得税も法人税もゼロにして国が国債発行だけでやっていけばいい、とのこととなりますが、かようなことは通用するわけがないということは誰でも直観的にわかります。では日本のような膨大な国の借金がある国において、どこまでこれ以上の借金が可能なのか? という問いに対して誰も答えを持っていません。財務省解体を唱える人たちはまだ十分日本国は国債を発行できる余地があると思っています。れいわ新選組などは大規模な現金給付を主張しているくらいですから、これ以上の国債発行も全く問題なしという考えだと思います。そして国民民主党も消費税引き下げの財源は堂々と赤字国債発行で賄うべきだと言っているのですから、まだ十分国債発行は可能であるという考えだと思います。ところが財政規律を守ろうとしている人たちは日本の財政はもう限界が近いと思っています。
 この両者の考えの違いのなかで、国の政策は右往左往しながら動き続けているのですが、昨今の政治の状況をみると、どうしても財政規律はいったん外に置いておいて、様々な緩和政策や補助金政策を行って究極的には国債発行を拡大させる動きとなっていくように思えます。まさにこれが人々の声、歴史の流れだと思うのです。

 正解がわからないわけです。まだ国債発行が可能なのか? もう限界でこれ以上の国債発行は危険水域なのか? 朝倉は昨今のコメの価格の倍への急騰をみると日本ではいよいよインフレが止まらなくなる流れが始まってきたと感じているのですが、かような感覚は少数意見でしょう。結局大多数の日本国民はとにかく、もっと税金を下げて補助金を出してもらって、また時には現金給付も行うべきと考えていることと思います。そしてそのように考える人たちが日本の過半数を超えていると思うのです。結果的にそのような更なる国債発行やばらまき政策は日本の政治において実行されることとなると思います。これこそ朝倉の指摘する時代の波なのです。誰もこのような波を止められないのです。

 この夏に実施される参議院選挙は見ものです。朝倉は消費税減税を訴える党が勝利することで、国民の意志として消費税の減税が行われることとなると思います。そしてそのようなばらまき政策は日本のインフレを益々加速させる流れを作っていくでしょう。まさに物価高で苦しくなった日本国民は悲鳴を上げて救済を求めるのですが、それは結局、日本の政治におけるばらまき政策を拡大させることとなって、結果的にインフレは更に想定を超えて加速していくでしょう。日本の多くの国民が求めているのは物価高を止める政策です。それは本来、不況を作り出す金利引き上げかないしは徹底的な構造改革の実行なのですが、そのような痛みを伴う政策など実行するわけがありません。最も聞こえのいい、減税という政策を実行することとなるのです。物価が上がってきてそれを抑え込む必要があるのですが、皮肉なことで、物価高を救うためと称して、日本の政治は消費税減税というばらまき政策を行って、結局物価高を更に助長させる流れを作るのです。

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★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
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Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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