“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2024.08
商品市場の異変

「今年の新米の生育は順調で平年よりも1週間程度収穫が早まる産地もあり、出荷も前倒しで行われる見込みだ。品薄の状況は今後順次回復していくと見込んでいるので、必要な量だけコメを買い求めるなど落ち着いた購買行動をお願いしたい」 8月27日、坂本農水相は昨今のコメ不足に対して国民に冷静な対応をするよう呼びかけました。
 従来日本ではコメ不足など考えられなかったことで、常にコメの過剰な生産が問題視されてきました。昨今の食料の値上がりを受けてもコメの値段だけは安定して推移していたのです。ところが今年は情勢が一変、<令和の米騒動>などとコメ不足に対してパニック的な報道も見受けられます。これは昨年夏の猛暑に伴うコメの生育不足による流通量の著しい減少と、昨今の訪日外国人の増加によってコメ需要が爆発的に増えて一気にコメが品薄状態になってしまったことが影響しています。そして足元で襲ってきた台風の影響などで「コメが買えなくなる」という恐怖感も国内全般に広がってきたようです。最近はあらゆる面で想定外の思わぬことが起こってくるようです。実は世界の商品市場も想定外の混乱が起こっています。現状の変化を見てみましょう。

●世界の商品市場の現状
 日本のコメ不足とは対照的に世界の穀物市場は落ち着いています。
 代表的な穀物であるトウモロコシ、大豆、小麦などは世界各地で豊作が伝えられているのです。結果、穀物市場は値段が下がる一方です。かつて2022年はロシアによるウクライナ侵攻によって世界で最も肥沃な穀倉地帯と言われたウクライナの小麦生産が壊滅的な打撃を受けて、穀物市場が暴騰しました。果ては値段高騰でアフリカなど貧しい国で暴動が起こるのではないか? と懸念された時期もあったのですが、これが全くの杞憂に終わりました。と言うのも、昨今の世界の温暖化によってロシアの小麦生産などが極めて順調に拡大し続け、また米国の穀物生産も順調で、かえってトウモロコシや大豆、小麦は市場にモノがあふれかえる有様で、これら穀物の市場価格は下がる一方なのです。例えば今年、米国産大豆の生産量は過去最大となる見通しで、大豆の先物価格は約4年ぶりの安値となりました。
 これら主要穀物の豊作はインフレに苦しめられている世界にとって朗報だったのですが、今度は思わぬところで、まさに足元の日本でコメ不足、それに伴ってコメ価格の急騰が起こってきました。まさに「トウモロコシ、大豆、小麦の世界的な豊作と日本国内のコメ不足」このような商品別、地域別のコントラストが各地で発生しています。

 この中でも今後、日本に確実に影響をもたらしてくると思われるのがカカオ豆の不足です。カカオ豆はチョコレートを作る原料です。カカオ豆の7割はアフリカで生産され、そのうちの大半はガーナとコートジボワールで生産されています。実はこのカカオ豆の値段は1年前の3倍に高騰しています。と言うのもカカオ豆が極端な不作で取れなくなっているのです。日本が輸入するカカオ豆の75%はガーナ産ですが、ガーナではカカオ豆が深刻な生産減となっています。異常気象と病害が広がっているのです。ガーナで今年向けに需要家に確約した78.5万トンのうち、出荷できるのは43万トン程度ということです。これではカカオ豆の値段が上がるのは当然であり、この影響によって今後、カカオ豆の供給を考えるとチョコレートの値段の急騰は避けられないと思われます。既に国内の菓子メーカー各社は9月からのチョコレートの値上げを開始しますが、これは単なる始まりで、来年からはチョコレートは更に値上がり、今後チョコレートが高嶺の花になっていく可能性もあります。
 またオレンジジュースも今までのように気楽に飲めなくなるかもしれません。と言うのもオレンジの最大生産国はブラジルで、世界におけるオレンジジュース市場の8割がブラジル産なのです。このブラジルでのオレンジ生産が現在大打撃となっているのです。これも異常気象による干ばつと病害によるものです。
 今年のブラジルのオレンジの生産量は前年比24%の減少、近年この傾向は続いていますが、現在世界のオレンジジュースの値段は5年前の4倍にまで急騰してしまいました。
 魚もなくなってきています。日本近海で魚がとれなくなっているという話は誰でも聞いていると思います。それは温暖化によって海水温が上がり、従来の生態系が破壊されつつあるからです。日本の漁獲量の推移をみますと、1984年の日本の漁獲量は年間1284万トンでしたが、昨年2023年の漁獲量は372万トン、何と40年で日本の漁獲量は3分の1以下にまで減ってしまったのです。また魚は世界的にも需要が拡大しています。輸入品も日本勢が円安で買い負けるケースが多発しています。これでは安く魚を食べられるわけもありません。
 因みに今月サンマが一本7万円で落札されたことが話題になりました。脂ののったサンマだったらしいですが、海外に持っていかれるようです。サンマもついに超高級魚となってしまうのでしょうか。
 ワカメの生産では三陸が日本全体の7割強を占めています。その三陸でのワカメの生産量は今年3割減ということです。ノリですが、これも2年連続の不作です。海水温が高温になり、赤潮が発生してノリが取れなくなってきています。
 またコーヒーも値上がり必至の情勢です。8月23日インスタントコーヒーなどに使われるロブスタ種コーヒー豆の先物価格は史上最高値更新となりました。
 最大の産地であるベトナムで生産が低迷、供給懸念で価格の急騰となっています。これも熱波によってベトナムの産地で干ばつが深刻化して生産が激減しているのです。
 日本に襲い掛かる台風も年々巨大になり、従来考えられなかったような勢力で日本本土を直撃してきます。気候も経済も社会もあらゆることが今後の大混乱の到来を告げています。
 まさに今後は<異常な状態こそが普通>になっていくという厳しい現実をしっかり認識しておく必要があると思われます。

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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
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Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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