“超プロ”K氏の金融講座
このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。
「2024年、25年、そしてその先も成長し続ける条件は整っている」
2月21日、株式市場で最も注目されていたエヌビディアの決算を受けて、記者会見を行ったジェンストン・ファンCEOはエヌビディアの先行きについて圧倒的な自信を示しました。「生成AI(人工知能)は新しい演算処理で新しいソフトウエアを生んでいる。従来の汎用計算機では生成AIを動かせず、画像処理半導体(GPU)で加速する必要がある」と言うわけです。そして「世界のあらゆる大手企業が当社のソフトを使うようになるだろう。ソフト関連の年間売上高が10億ドルに育ったが、長期的に重要な事業になる可能性が高く、まだ始まったばかりだ」と今後の成長への確信をみせました。
まさに世界の株式市場はエヌビディア祭り、AIブームに沸き立っています。
エヌビディアが劇的な決算を発表した後、エヌビディアの株価は急騰、何と1日で時価総額が2770億ドル(約41兆7000億円)と世界の株式市場の1日での時価総額の増加額の記録を打ち立てました。41兆円となると日本の国家予算の4割に匹敵します。それが決算直後のわずか数時間で達成されたのです。まさに驚愕の上昇です。エヌビディアは10年前、世界のトップ1000にもカウントされない企業でした。ところがそこから株価は200倍に化け、更にこの上昇です。
●日経平均、34年ぶりの最高値更新
日経平均は2月22日、ついに34年ぶりに史上最高値を抜きましたが、その引き金となったのはこのエヌビディアの決算を受けて大きく上昇した半導体関連株でした。
半導体関連株は値が高い、株式市場で言う値嵩株(ねがさかぶ)が多く、半導体関連株の上昇は指数としての日経平均に与える寄与度が極めて高いのが実情です。その半導体関連株が昨年から驚くような上昇となったのも、このエヌビディアの怒涛の成長によって恩恵を受けるとみられているからでした。
現在の世界的な株高の中心はまさにエヌビディアであり、エヌビディアの上昇が市場を引っ張ることで、米国でもNYダウ、ナスダック、S&P指数とも史上最高値更新となっているわけです。
実際驚かされるのがエヌビディアの成長の勢いです。普通、エヌビディアのような世界冠たる企業はその大きさゆえに小型株のように急成長しないのが当たり前です。例えば日本で一番の企業であるトヨタが年間の売り上げが倍以上になり、利益が数倍になったと言ったら目を疑うのではないでしょうか。しかしながらエヌビディアは超大型企業でありながら、利益が1年で8倍超になるというような驚くべき成長を成し遂げているのです。
今回発表されたエヌビディアの2023年11月〜2024年1月期の決算をみると、昨年同期に比べて売り上げが3.7倍、純利益が8.7倍、という驚愕するものなのです。しかもこの先も売り上げが伸びるという見込みです。まさにお化けのような成長ぶりです。
株式は利益が拡大した会社が買われるのは当然ですから、エヌビディアの株式が昨年から4倍超になってきましたが、エヌビディアの利益の拡大模様を考えれば、これだけ上がっても当然ということなのです。むしろ市場関係者の多くはエヌビディアはまだまだ割安ではないか、という見方が多いのです。エヌビディアの時価総額は2月23日の時点でついに2兆ドル超え、日本円で300兆円を突破しました。日本の株式市場の時価総額全体で940兆円程度ですから、日本全体でエヌビディア3社分の時価総額しかないという実情です。日本株は急上昇していて多くの人の注目を集めていますが、それでもエヌビディアの株価や業績の拡大ぶりをみると、日本株の上昇さえかすんでしまうほどなのです。
エヌビディアはファブレス企業と言って自社で工場を持っていません。高性能な半導体の設計に特化している会社です。需要が高い分野に集中的に経営資源を投入して、高い利益率を確保して収益を爆発的に拡大させているのです。
エヌビディアのAI向け半導体の世界シェアは現在約8割というほぼAI市場を独占している状態にあるという凄さです。
エヌビディアでは1個500万円超の半導体が飛ぶように売れ、注文がひっきりなしに舞い込んでくる状況です。
●走り出したAIブーム
何と言ってもここにきて始まったAIブームの恩恵が凄いのです。一昨年暮れにチャットGPTが世の中に出現してAIを巡る風景が一変しました。
一気に世界中でAIブームがやってきたのです。世界の歴史をみると様々な転機があって、ある時点から急速に経済成長が加速する局面があります。例えば産業革命で蒸気機関が発明されると今までは馬車で移動していたものが車に変わっていきました。これがどれほど人々の生活を豊かにして生産性を拡大したかは誰でもわかるでしょう。またインターネットも人々の生活を激変させました。
今や誰でもネットを使って様々なこと、日々の事を行っているわけですが、インターネットがこれほど普及し始めたのは2000年からです。今ではインターネットを使うのは当たり前のことです。これら産業革命や車の普及、日本で言えばかつて1960年代から1970年代、3Cと言ってカラーテレビやカー(乗用車)、ルーム・クーラーが本格的に普及し始めた時点では経済の著しい発展がありました。
そのような時に株価は大きく上がります。2000年、インターネットが普及し始めた時点では、株式市場は3-4年に渡ってインターネット相場に沸き立ちました。最終的にインターネット相場ではバブル化して株価がとんでもない高値を付けたのですが、それは相場が始まってかなり経てからのことでした。
今回のAIブームは昨年が起点となっているので、まだ始まったばかりと言えるでしょう。AIを本格的に使うようになると生産性が劇的に増える事象が山のようにあります。今後AIは社会の隅々に広がっていくでしょう。
このような中、AIを動かすために必要なAI半導体の市場は2027年までに年間で70%ずつ拡大し続けると言われています。そしてAIの利用者は今の4倍の8億人に達して、1日の利用時間は5倍にまで拡大していくと予想されています。
ソフトバンクグループの孫正義会長は「人間の知能を超える人工知能が10年以内に出現する」と予想しています。そして自らはソフトバンクグループの傘下にあり、大株主となっているアーム(米ナスダック上場)を中核にしてソフトバンクグループを世界で最もAIを活用するグループにしたいとの野望をみせています。チャットGPTを生んだ米オープンAIのサム・アルトマンCEOも孫氏と同じように10年以内に人類の英知を超える汎用的なAIが出現すると予想しています。
一方で昨今はAIが引き起こしかねない様々な災いについても議論されています。ダボス会議のような国際会議でも常にAIの規制について話し合われています。AI研究を野放しにすれば、行き過ぎてしまって何が生じるかわからないというわけです。どちらにしても走り出してしまったAIブームは止めることはできません。今後AIの研究は更に加速して地球上のあらゆるものを変えていくでしょう。
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★『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。
★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/
経済アナリスト。
株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。
実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。
著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。
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