“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2024.09
驚愕の人手不足がやってくる!

「聖域なき規制改革を断行する、労働市場改革の本丸、解雇規制を見直す、2025年に法案を出す」
 自民党総裁選に出馬した小泉進次郎氏は日本の最も強力な岩盤規制にメスを入れる姿勢を示しました。
 また同じく総裁選に出馬した河野太郎氏は「一方的に解雇されたときに金銭補償するルールがあれば次の仕事に余裕が持てる」とこれも小泉氏と同様に解雇規制の緩和について言及しました。これら解雇規制緩和の主張は総裁選でも大きな波紋となって大々的な議論を呼び起こしています。朝倉は両氏の主張しているように、日本でも解雇規制を緩和する必要性があると思っています。それを考える前に日本のこれから訪れる驚愕の人手不足について考えてみたいと思います。

●予測される驚愕の人手不足
 リクルートワークス研究所は昨年3月<未来予測2040労働供給制約社会がやってくる>という驚くべきレポートを公表しました。
 このレポートによると、2040年には日本において働き手が1100万人も不足して日本全体で普通の社会生活ができなくなる可能性が高いというのです。レポートによれば「これは、単なる人手不足論ではありません。日本社会が生活を維持するために必要な労働力を供給できなくなる可能性があるということです。この背景にあるのは人口動態です。2044年までは65歳以上の高齢者が増え続け、一方で15〜64歳までの現役世代が2040年までに急激に減少していくのです。結果として起こるのは、労働の担い手となる現役世代の割合が不足する社会です」と警告を発しています。
 実際様々な未来予測があるのですが、その中で最も確実なものは人口動態から想定される未来予測です。人口動態の動きは出生率と死亡率がわかっているので、狂いようがありません。その結果、今後日本でどのような人口構成になっていくかは確実に予想できるわけです。そしてこのリクルートのレポートではその人口動態を基にして未来予測をしているので、その結果、出てきた未来を否定しようがないのです。
 レポートによれば日本の労働力の不足は2030年に341万人の不足、2035年に678万人の不足、2040年には1100万人の不足になっていくと言うのです。1100万人の不足というのは東京の人口、そして現在の近畿地方全域の就労者(1104万人)が丸々消えてしまったのと同じ状況なのです。この基となる日本の人口動態の推移をみると来年2025年には15歳〜64歳までの現役世代が7170万人、2030年には6875万人、2035年には6494万人、2040年には5978万人と劇的に減っていきます。そして65歳以上の人たちは2025年には3677万人、2030年には3716万人、2035年には3782万人、2040年には3921万人と増え続けるというわけです。
 この数字を基に日本の労働需要と労働供給の差を計算していくと、足元の2024年の段階で日本国全体の人手不足は25.1万人なのですが、先に書いたように2030年には341.5万人、2035年には678.9万人、2040年には1100.4万人足りないというシミュレーションができるというわけです。
 問題は、我々がいま生活している足元では労働人口の不足はわずか25.1万人程度でしか過ぎないという事実です。これはグラフでみると更にわかりやすいのですが、2040年の1100万人の不足と比べれば、今の25.1万人程度の不足では想定される2040年の44分の1程度の人手不足であって、現状は将来と比較した場合、全く人手不足の状態に至っていないことがわかります。その状態の現在で日本中、各地で人手不足に対しての悲鳴の声が聞こえてくるではないですか! これでは将来はどうなってしまうのでしょうか?
 レポートでは各業種の人手不足の具体的な数字が示されています。それによると2040年には輸送・機械運転・運搬では98.8万人の不足、これでは宅配便も届きようはないですし、タクシーなどとても拾えないでしょう。更にトラックの運転手などほとんど見当たらないかもしれません。そして建設業では65.7万人の不足です、こんなに建設業で人手不足となっては道路のメンテナンスなどできようがないですし、橋なども使えないものばかりとなるでしょう。更に災害の復興などできようもありません。今でも能登の惨状は見ていられないほどですが、人がいなければ復興のやりようもありません。これが更に酷くなっていくわけです。介護サービスも58万人足りなくなるということです。こうなってはデイサービスなど引き受けてくれるところがなくなってしまいます。そうなれば年老いた両親を誰もが自宅で介護しなければなりません。そのような状態で会社員の人たちは今までのように普通に連日会社に出勤できるのでしょうか? 朝倉の友人は70歳なのですが、自宅で100歳の母親を介護しているということです。かようなケースが日本中多々出てくるのがこれからです。また保険・医療専門職も81.6万人不足するということです。医者がいなくなれば診療してもらえません。そもそも近くに病院がなくなってしまう可能性が高いのです。今でも地方では医師不足が深刻な問題となっていますが、2040年の将来と比べれば今の状態は格段に恵まれている状態だということです。要するに現在2024年の段階はまだ人手不足が始まった初期も初期、始まりの段階に過ぎず、これから恐るべき状態がやってくるというわけです。こうなると各地で医療崩壊となって救急車を呼んでも受け入れてくれる病院を探すことができなくなるでしょう。誰もが社会生活を維持することに精一杯となって仕事どころでなくなる可能性があります。
 まさにこれから起こることは、景気がいいので人が確保できないとか、給与を多く支払っても人が取れない、というレベルの問題ではないのです。本当に日本の社会を維持していくことができなくなるという切実な問題が迫ってくるのです。
 かような日本全土の労働力不足が迫ってくる未来を考えれば、雇用規制などで生産性の低いところに貴重な労働力を縛りつけておく余裕などないはずです。これだけの人手不足が来るとなれば、誰でも働く気があれば次々と高い給与のところに転職できる流れが生じてくるでしょう。モノの値段は需要と供給の関係で決まってきます。労働力も一緒です。極端な人手不足となれば、どの会社でも人材の確保は急務であって、大幅な賃金アップで日本中、働く人は当然のように高い給与をもらえる時代がやってくるはずです。このような労働者、働く人が有利な状況(働き手が激減するのですから、働く人の価値が大きく上がっていくのは当然の帰結です)になるのが見えているのですから、やたらと労働者の権利を主張して、日本の企業を硬直的な雇用体制で縛って、企業の生産性を低くするような政策を取るより、企業側にも解雇規制を緩和する流れを与えて、その結果、日本で強い企業が生き残るようになり、働く人は当然のごとく高い給与で働く体制が出来上がった方がいいと思います。いつまでも昭和時代の高度成長期の製造業が主流だった工場労働者の権利意識を持ち続けるのでなく、時代の流れに合った雇用規制の緩和を日本全土で受け入れて、日本企業全体を筋肉質にしていくような体制を作るべきだと思います。とにかく人手不足はこれから驚くほどに深刻化するという将来を危機感を持って日本全体が見据える必要があると思うのです。

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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/

Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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