“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2026.01
消費税減税は「物価対策」になるのか
(一時的な安心と、その後に来る現実)

 いよいよ総選挙です。選挙を前に、消費税減税、とりわけ食料品の消費税引き下げが大きな争点となっています。高市首相はこれについて、「私の悲願だった」とまで語り、強い思い入れを示しました。庶民の生活を思う気持ち自体を否定する必要はありません。しかし、経済政策は思いでなく結果で評価されるべきものです。結論から言えば、消費税減税は一時的に物価を下げるだけでしょう。しかしその効果は極めて短く、その後、私たちはより高い物価に直面することとなると思います。
 要するに一瞬だけ下がる「見せかけの物価」、それが食料品への消費税をゼロにしたことの帰結となります。消費税を引き下げれば、レジで支払う金額は確かに下がります。とりわけ食料品は毎日の支出ですから、家計は一時的に「楽になった」と感じるでしょう。しかし、これは価格そのものが下がったわけではありません。税率を操作しただけの、いわば名目上の調整です。

●消費税を下げると何が起こるのか?
 実は本当の問題は時間差を置いてその後やってきます。日本はいま、誰でも感じているでしょうが、明確なインフレ局面に入っています。しかもそれは、需要が強すぎるから起きているインフレではなく、円安による輸入価格の上昇、エネルギー・原材料費の上昇、物流費・人件費の上昇といった、構造的なコスト上昇に起因したものです。消費税を下げるということは、財政支出を拡大する政策です。これは景気刺激策であり、言い換えればインフレ政策に他なりません。すると何が起きるでしょうか。
 時間差をもって、円安が進む、輸入物価が再び上がる、物流費・人件費がさらに上がる、という形で、物価は再び上昇し始めるのです。結果として、「減税前よりも高い価格」に私たちは直面することになるのです。
   もはや小手先の政策など、物価高という根本を和らげる力はないのです。補助金、減税、給付金、これら全て、短期的な痛みを和らげる効果はあります。しかし、供給力が落ち、通貨の価値が下がり、コスト構造そのものが変わってしまった経済では、このような小手先の政策は長続きしないのです。むしろ、「効いているように見える間に、次の物価上昇の種をまく」という結果になりがちです。

 庶民が本当に苦しくなってきた真の理由は何でしょうか?
 それは朝倉が新刊『株はもう下がらない』(ビジネス社)で指摘しましたが、インフレによって取られる税金、「インフレ税」の存在なのです。インフレの本質は、現金の価値がゆっくりとそして確実に奪われていくことです。実はこれは目に見えません。政府も公言しません。しかし考えてみてください。あなたはインフレ(物価高)によって今までよりも多くの支出を強いられていませんか。そしてあらゆる局面で多くの支出を行っていませんか。これらは消費税や所得税や法人税というツールを通じて国に召し上げられていきます。政府は増税するとは言いません。政治家は増税するとは言いません。しかしインフレを起こせば政府は自然に税収が大きく増えます。これこそインフレのからくりです。これを私は「インフレ税」と呼んできました。税率は誰も決めていない。しかし確実に、あなたの預金、現金収入の実質価値はインフレによって目減りしていきます。消費税減税は、このインフレ税から庶民を守ってはくれません。むしろ財政がこれだけひっ迫しているのに財源のない減税を行えば、益々インフレは加速、結果的にインフレ税は大きく引き上げられるというわけです。

●インフレから逃れる唯一の方法
 インフレから逃れる唯一の方法ですが、厳しい現実ですが、これもはっきり言わなければなりません。インフレ税から逃れる手段は、極めて限られています。
   その一つが、株式やマンション、不動産、金などインフレに強い実物資産を保有することです。企業は物価が上がれば価格転嫁を行い、名目利益を伸ばします。株価は長期的に、インフレを映す鏡になります。「現金を持ち続ける人ほど苦しくなり、資産を持つ人ほど守られる」これは好む好まざるにかかわらず、インフレ経済の現実なのです。ですから朝倉はかような時代が到来することをかねてから強く指摘し続けてきました。朝倉は一貫して<株高、円安、金利高は歴史の必然的な流れである>と警鐘を鳴らしてきました。そしてついにその現実が誰の目にもはっきり映ってきています。
 こうなるとどうすべきでしょうか。
 政策に期待しすぎないことこそ最大の防衛策となります。
 自分で自分の人生を切り開く、自己責任の下、自分で自分を守るのです。現金だけを持っていてはゆっくりと確実にインフレで価値が目減りしていくのです。
 今回の選挙で、どの政策が選ばれるかは重要です。しかし同時に、私たちは理解しておく必要があります。「どの政権であっても、物価上昇そのものを魔法のように止めることなどできない」という真実をしっかり認識することです。だからこそ、政策に過度な期待をしない、自分の生活と資産を自分で守る、この姿勢が、これからの時代には何より重要になるのです。

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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/

Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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