船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
「幸せの経済学」を見て
2011.5.30(Mon)
社名:(株)船井メディア 常務取締役 「JUST」編集長
名前:人見 ルミ

 3・11以前に出現した言葉として「ロハス」「サスティナビリティ」などが台頭していたが、3・11後に主流となる新しいコトバは「ローカリゼーション」ではないだろうか?

 先日、「幸せの経済学」というドキュメンタリー映画を見た。
 ツイッターでも評判で、朝日新聞に掲載されていたからだ。
 渋谷の小さな映画小屋(40名くらいしか入らない)で満席。補助椅子が出ていた。さらに整理券をもらっても、入れない人たちがいたくらいだ。

 監督は、ヘレナ・ノーバーグ というスウェーデン生まれの言語学者。ISEC(International Society for Ecology and Culture)創設者、代表。

 世界中に広がるローカリゼーション運動のパイオニアで、グローバル経済がもたらす文化と農業に与える影響についての研究の第一人者。1975年、インドのラダック地方が観光客に開放された時、最初に入った海外からの訪問者の一人で、言語学者として、ラダック語の英語訳辞典を制作。
 以来、ラダックの暮らしに魅了され、ラダックで暮らす人々と共に、失われつつある文化や環境を保全するプロジェクトを開始。
 この活動が評価され1986年に、もう一つのノーベル賞と知られ、持続可能で公正な地球社会実現のために斬新で重要な貢献をした人々に与えられるライト・ライブリフッド賞を1986年に受賞。ダライ・ラマ法王の訪問も受けている。

 この映画は、持続可能な世の中を創るために考えられることを、様々な角度から提案する世界中の学者や実践者たちのインタビューでひたすらつづられたドキュメンタリーで、1時間程度のものだが、3・11を経験した日本人にとっては、脱原発を含めてグローバル経済がもう限界に来ていて、大量消費、拡大経済がこれからは、縮小、ローカル、節約モードに入らざるを得ない・・世の中はもうすでにそういう方向へ歩き始めたということを確信するような構成だった。
(日本というロケーションでは埼玉県の小川町の地域農業の話とインタビューが紹介されていた。)

 インドに1年半近く暮らした私としては、監督された女性がラダックに住み、彼らの自然と共に生き、地域コミュニティーがしっかりとある彼らの豊かな暮らしぶりを「幸せ」であるという側面をもっていることから、人として「本当に幸せな生き方」が「大から小へ。人工から自然との共生へ。競争から共生」に向っていかねばならないというテーマは、これからの世の中の一つの方向としてまったく共感し、とても参考になる映画ではある。

 しかし、この映画の中で語られる「大企業が悪の権化」「大企業こそが、CMで人々を洗脳し、流通を拡大し、地球環境そのものを根こそぎ奪っていく」という図式は
いささか、無理があるように思った。
 日本の大企業がすべからく持続不可能な反自然的な活動をしているかと言えば
そうではなく世の中に貢献すべく質の高い企業もあると思うし、「大」を崩壊させて、すべてをローカルにシフトしてゆくことだけが幸せの在り方ではなく、逆に多くの問題も生み出すだろうと思えるからだ。

 地震が起きたあと、がんばって被災地まで流通を引くことができた
クロネコヤマトなどは、石巻にいち早くセンターを持ち
被災者は、そこに段ボールをとりにいくことが出来た。

 また、大手スーパーでは食糧や米が東京の店に並ばなくなったけれど
いち早く被災地に送り込んでいた。

 大きいからこそできることもあり、「大企業」の良さ、ローカルの良さを
上手に共存させてゆける「知恵」を使っていくことが
これからの持続可能な生活に求められることではないだろうか?

 もちろん、原発の「大規模送電」「大量発電」は終止符を打ったほうが
いいことは間違いない。
 「ローカリゼーション」の提唱のもと、自然エネルギーを小さな町、村規模で開発利用してゆくことが求められていることは必然だ。

 この映画を観て感じたのは、何か大きなモノを敵、悪とみなして
そこから脱したり、あるいは非文明的な生活に後戻りするのではなく
今、現存しているモノを良質に変化させ(たとえば、ゴミを出さない工夫や
資源をリサイクルさせてゆく、体や心に良い影響をもたらすものに変えるなど)、
人や社会や地球に貢献できるような新時代へのマーケットへと
シフトをして、人としての最高の叡智を使い、よりよい「幸せの追求」を
「大」も「小」も共に探してゆける場を創っていくことが
高度な頭脳をもった私たち人間に課せられた使命ではないかと思ったのでした。


1周目:「私もできるだけ本音で生きてみよう」
2周目:「エジプト暴動から考える私の本音」
3周目:「大地震から3週間。そろそろ提案型でいこう!」

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