ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2023.12.01(第118回)
これから正念場になるガザ戦争

 日本の主要メディアでは、ガザ戦争の報道は激減している。日本では、社会の関心もなくなってきているのだろう。しかし、世界的に拡大したパレスチナ支持の抗議運動はいまだに激しく続いており、イスラエルという国家に対するイメージが根本的に変化している。ガザ戦争の行方がひとつの背景になり、2024年は大変な年になる可能性が高い。だから、我々もガザ戦争の行方を追うことはとても需要だ。

●完全にバランスを失ったイスラエルの国内世論
 まずは、日本では報道されていないイスラエルの国内の状況について伝える。
 イスラエルでは10月7日の「ハマス」による攻撃のショックは続いており、それによってイスラエルの国内世論はバランスを崩し、危険な方向に変化している。筆者は毎日カタールの放送局、「アルジャジーラ」を見ているが、イスラエルの世論の危険な変化を頻繁に報道している。
 イスラエルはアメリカ並の分断国家である。さまざまな問題で異なった政治勢力が対立しているが、もっとも大きな対立は、パレスチナと共存する2国家案を受け入れるリベラル、および左派と、ヨルダン河から地中海までをイスラエルの領土として、パレスチナ人の権利を認めない大イスラエル主義との対立である。この支持勢力は、ネタニヤフなど右派と極右だ。

 15年ほど前まではパレスチナ国家との共存を主張する左派が有力だったが、第二次ネタニヤフ政権が成立してから大イスラエル主義が主流となっていた。それでも、左派もそれなりの影響力があった。しかしながら、10月7日の攻撃以来、イスラエルの国内世論はバランスを失い、過激になっている。左派は陰を潜め、大イスラエル主義が熱狂的に主張されている。
 国内の主要メディアでは、すべてのパレスチナ人の追放を主張する意見や、核兵器を使ってパレスチナ人すべての殲滅を主張する意見などがさかんに放送されている。
 一方、国際社会が唯一の解決策として認めるパレスチナ国家との共存案の支持はほとんどない。左派がこれを主張する集会を開催すると、警察によって暴力が奮われ解散させられる。従わない場合は、逮捕される。パレスチナ人全員の殲滅を主張する大イスラエル主義がイスラエルの国内世論を支配するに至った。

●沈静化したように見えるイスラム勢力
 こうした大イスラエル主義の熱狂のため、主に左派が主張する2国家共存の方向は消滅しかかっている。これをまじめに支持するイスラエル国民は非常に少なくなっている。このため、現在のガザ戦争がどれほど悲惨なものだったとしても、パレスチナ人に同情するイスラエルの世論は非常に弱い。世界の趨勢とは逆行している。
 そして、こうした世論の支持があるイスラエル軍は、「ハマス」を軍事的に圧倒しつつある。いまガザでは4日間の停戦が成立しつつあるが、ネタニヤフ政権は停戦期間が終了したら「ハマス」の完全な壊滅を目指して戦争を継続するとしている。ネタニヤフ政権が「ハマス」の壊滅を発表するのは時間の問題だと見られている。

 では、「ハマス」の壊滅でガザ戦争は終了し、心配されていた戦争の中東全域への拡大がないかと言えばまったくそうではない。むしろ「ハマス」の壊滅が戦争拡大のスイッチになる可能性が指摘されている。
 ところで一時期、ガザ戦争はイスラム勢力を反イスラエルで団結させ、大きな中東戦争に拡大する可能性が指摘されていた。しかし、サウジアラビアの首都、リアドに集合したイスラム諸国は、口頭ではイスラエルを非難しつつも、制裁など具体的な行動は一切取らなかった。どの国もイスラエルとの戦争は望んでいないことは明らかだった。
 その一方で、イラクやシリアで活動するイランに支援されたシーア派系の武装組織は、現地に展開する米軍基地への攻撃を頻繁に行っている。米軍の死者はいないものの、60人を越える米軍関係者が負傷している。また、イエメンのイランが支援する「フーシー派」もイスラエルに対する巡航ミサイルの攻撃などを実施している。また11月20日には「フーシー派」は、紅海でイスラエルの企業が保有し、日本郵船が運行するトルコ行きの貨物船を乗っ取った。これからこのような乗っ取りが増えることで紅海経由の輸送のリスクが高くなり、これがインフレを通して世界経済に与える影響が出てくる可能性は否定できない。

●エスカレートするガザ戦争、「ヒズボラ」の攻撃
 しかし、ガザ戦争がエスカレートするカギを握っているのはレバノンのシーア派武装組織の「ヒズボラ」である。イスラエルとレバノンの国境沿いの緊張はすでに高まっている。
 イスラエルと「ヒズボラ」の砲撃の結果、10人のイスラエル軍兵士と民間人が死亡し、70人のヒズボラ戦闘員と10人のレバノン民間人が死亡している。
 両者による攻撃の領域は拡大し、巧妙さは増している。対立の境界線は数週間のうちに1マイルから25マイルに広がった。ヒズボラが対戦車ミサイルでイスラエルの前哨基地に損害を与え、武装ドローンで350マイル離れたイスラエルのエイラート市を狙う一方で、イスラエルは空から激しく攻撃している。

 イスラエルとレバノンの国境沿いの現状が持続可能かどうかは、非常に不透明だ。2006年、イスラエルは「ヒズボラ」と全面的な戦争をしながらも、「ヒズボラ」を壊滅することができなかった。「ヒズボラ」は実質的に勝利した。それ以来、双方は不文律の交戦規則を尊重しており、明確に定義された地理的範囲内での一定レベルの対立は容認されてきた。
 しかしいま、そうしたルールはゆっくりと、しかし確実に消えつつある。「ヒズボラ」がシリアからイスラエルのエイラート市を攻撃したことがその証拠だ。
 いま、イスラエル国防軍(IDF)内では、幹部の多くがイスラエル北部での戦争は避けられないと考えている。イスラエルが先制攻撃を仕掛けるべきだという意見も強い。「ヒズボラ」はこれに対し強硬に反応するだろう。
 バイデン大統領が再選の時期に最も望まないのは、イスラエルと「ヒズボラ」の戦争であり、アメリカを紛争に引きずり込み、イランとの直接対決につながることである。

●「ヒズボラ」のレッドラインと核兵器の使用
 では、「ヒズボラ」とイスラエルが全面的に対決する可能性はあるのだろうか? これはアメリカやイランを関与させる大きな戦争に拡大しかねない。実は「ヒズボラ」が全面攻撃を仕掛けるレッドラインになるものこそ、「ハマス」の壊滅である。「ハマス」が「ヒズボラ」のレッドラインを明らかにした。
 11月20日、「ハマス」のベイルート代表であるアフメド・アブドゥル・ハディは、「ヒズボラ」はまだ戦闘に参加する準備ができておらず、「ハマス」が完全に敗北した場合にのみイスラエルに対する作戦をエスカレートさせるだろうと語った。これは、ガザ戦争でイスラエルが「ハマス」を壊滅させると、「ヒズボラ」が全面介入する契機になることを示している。
 ところでイスラエルには「サムソン・オプション」という暗黙のルールがある。「サムソン・オプション」とは、イスラエル国防軍が、イスラエルの大部分を侵略または破壊した国に対する「最後の手段」として、核兵器による大規模な報復を行うイスラエルの抑止戦略のことである。「ヒズボラ」は「ハマス」のような小規模な武装組織ではない。10万人から15万人の戦闘員と数万発のミサイルを有する巨大な軍事組織である。この武装組織がイスラエルを全面攻撃すると、イスラエルは存亡の危機と感じられる状況になるかもしれない。すると、「サムソン・オプション」も選択肢に入ってくるはずだ。

●イスラエルは存亡できるのか?
 このような状況を見ると、将来、イスラエルは存亡の危機に直面する可能性もあることを示唆している。だから、ガザ戦争はこれからが本番になると思っていた方がよい。
 しかしカザ戦争が終結すると、イスラエルは「東地中海パイプライン」や「ベングリオン運河」、そして「インド・中東・欧州経済回廊」の建設を進めるので、これらのプロジェクトにからんでいるサウジアラビア、アラブ首長国連邦、そしてトルコなどのイスラム諸国が経済的利益を優先して、緊張緩和のために介入してくる。そのため、状況はゆっくりと元の状態に戻るのではないかという観測もある。
 また、イランや「ヒズボラ」もイスラエルとの全面戦争を望んでいるわけではない。緊張緩和の仲介がイスラム諸国からあるならば、当然乗るだろう。そして、10月7日以前の比較的に安定した状態に戻るはずだという観測も強い。
 しかし、「アルジャジーラ」などのイスラム圏のメディア報道を見ると、イスラエルは二度と元の状態に戻ることはないとする見方の方が強いことが分かる。イスラエルは、「東地中海パイプライン」、「ベングリオン運河」、そして「インド・中東・欧州経済回廊」という野心的なプロジェクトがすべてだめになる可能性すらあるという。

 その理由は、イスラエルという国家の信用失墜である。今回のガザ戦争で、パレスチナ問題とイスラエルがこれほど世界的に注目されたことはなかった。イスラエルが建国された1948年当時よりも、注目度は高い。ガザ戦争でバイデン大統領の支持率が大きく下がったように、いま世界は初めてイスラエルという国家の残虐性に気づき始めている。世界はナチスドイツを見るようなまざなしで、イスラエルを見るようになりつつある。この状況を、元ニューヨークタイムス紙の記者で数々の章を受賞したジャーナリスト、クリス・ヘッジズが次のように記事でうまく表現している。

「イスラエルがガザを平らにした後、ヨルダン川西岸のパレスチナ人に矛先を向けるという不吉な兆候として、装甲車が少なくとも4つのヨルダン川西岸の病院を包囲した。イブン・シーナ病院は、東エルサレム病院とともにイスラエル兵に襲撃された。
 イスラエルの入植者植民地国家は嘘の上に築かれた。それは嘘によって支えられている。そして今、75万人のパレスチナ人が民族浄化され、ユダヤ人民兵によって50人ほどの虐殺が行われた1948年のナクバ(大惨事)以来、最悪の虐殺とパレスチナ人の民族浄化を実行に移そうとしているとき、イスラエルは次から次へとグロテスクな不条理を口にする。パレスチナ人を非人間的な塊として語る。母親も、父親も、子供も、教師も、医者も、弁護士も、料理人も、詩人も、タクシー運転手も、商店主もいない。イスラエルの辞書では、パレスチナ人は根絶されなければならない単一の伝染病なのだ。

 イスラエルの小学生たちがガザで「われわれは皆殺しにする」と歌っているビデオを見てほしい。
 ヒトラーユーゲントもユダヤ人についてこのような歌を歌っていた。

 大量殺戮のプロジェクトに乗り出す者は、自国民の士気を下げるのを避けるために嘘をつき、犠牲者に全員が絶滅させられることはないと信じ込ませ、外部からの介入を阻止する。ナチスは、列車に詰め込まれ、絶滅収容所に送られたユダヤ人は、労働に従事し、十分な医療と十分な食料を与えられていると主張した。病人や高齢者については、休養センターで世話をしていた。ナチスはユダヤ人の「東方移住」のための模擬収容所(テレジエンシュタット)まで作り、赤十字などの国際機関が、数百万人が絶滅させられているにもかかわらず、ユダヤ人がいかに人道的に扱われているかを見ることができた」

 このような見方は、クリス・ヘッジズのみならず、実に多くのメディアで出てきている。イスラエルは、2020年代によみがえったまさにナチスドイツであるという見方だ。ホロコーストを回避できなかった負い目からイスラエルをこれまで支持してきた欧米諸国にも、大きな変化が見られる。若い世代を中心にイスラエルへの反発が大変強くなっており、イスラエルを支持する政権の基盤が揺らぐ可能性も出てきている。
 欧米のどの国の政権も、民主主義と基本的人権の擁護を守るべき価値としている。しかし、そうした国々がナチスドイツのようなパレスチナ人を虐殺している国家を支持していることで、自分たちの基本としている価値観を自ら否定していることになるというのだ。
 欧米の若い世代はこのねじれと偽善に耐えられなくなっている。また中東でも、経済的利益を優先して、イスラエルの横暴を容認する政府には耐えられないとする若い世代の声が強い。つまり、イスラエルを支持する政権が世界的に成立しにくくなっているのだ。
 こうした状況では、イスラエルは根本的に変化しない限り、イスラエルは孤立し、存続すらできなくなる可能性が高いというのだ。いまは、このようは見方が強くなりつつある。
 トランプ政権の国防長官上級顧問であったダグラス・マクレガー元大佐も次のように言う。

「私はイスラエルには存続してほしい思ってるが、イスラエルは自爆装置のスイッチを押してしまった。ガザでの虐殺を続けることで周辺諸国と敵対し、将来的には存続できなくなるだろう」

 追い込まれたイスラエルは「サムソン・オプション」を発動させる可能性もある。2024年、どうなるか少し見えてくるはずだ。

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「ヤスの勉強会」の第120回を開催します。ウクライナ戦争ではいよいよウクライナの敗北が決定しつつあります。しかし、欧米がロシアの勝利を認め、停戦に応じる構えはまったくありません。逆に戦争の準備を強化している状況です。一方アメリカではトランプが大統領になる可能性がかなり高まっています。今後、どうなるのでしょうか? 徹底して分析します。

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 コロナのパンデミックは収まっているが、やはり大人数での勉強会の開催には用心が必要だ。今月の勉強会も、ダウンロードして見ることのできる録画ビデオでの配信となる。ご了承いただきたい。

 【主な内容】
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  ・イスラエルは滅亡の過程か?
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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
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