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トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
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2006年2月22日
「経営のコツ」を分りやすく書いた本ができた(そのII)

2月15日のこのページにつづいてきょうは(そのII)に入ります。
拙著の『まちはよみがえる』(ビジネス社刊)は、きょう明日くらいに書店店頭に並びますが、同書は私の知った「経営のノウハウ」を一冊の本に集約したものです。
ここでは、その中の第3章を、そのまま紹介します。

いま私がとくに気になる二つの市と町へのアドバイス

●すばらしい立地や環境をどのように活かすべきか?
 私は大阪で生まれ京都の大学を卒業しました。いままでに居住したところは、大阪に三十数年、宝塚に十数年、そして東京都心部の高輪に十数年でした。2004年の1月からは、熱海に住んでいます。
 その間、国内はもとより海外にもよく行きましたが、すべてコンサルティングがらみという仕事での旅でした。したがって、観光、レジャーなどとはほとんど無縁な人間です。それでも旅行中の休日などは、少し観光らしいこともしました。そのせいか、好きな場所が何カ所かできました。
 海外で好きなところというのは、主に西ヨーロッパに多いのですが、印象に残っているところを挙げてみます。

・ノルウエーのフィヨルドやベルゲン
・スイスのユングフラウ
・スコットランドの南部(とくに2005年サミットが開催されたグレン・イーグル周
辺)
・ドイツのライン川のローレライ周辺
・フランスではニースやバルビソン
・イタリアのシシリー
・ジプシーの本苑地であるスペインのシェラネバダ山脈の南麓

 アメリカにはもっともよく行きましたが、ナイアガラの滝とハワイのカウアイ島くらいしか「すばらしい」という印象がありません。そのほか、ニュージーランドのオークランドは大好きですが、オーストラリアのキャンベラ、シンガポール、インドのニューデリー、アメリカのシカゴ、ニューヨーク、ロスアンゼルス、それにラスベガスやモナコなどは好きではありません。香港や北京、それに上海も好きではありません。これは私の主観で感覚での好みの問題です。
 好みでない場所には、できれば行きたくないと思っています。その場所や、そこにいる人々の出す雰囲気が私のセンスに合わないのです。また、日本人観光客がよく行くパリ、ローマ、トレドなども、できれば行きたくない場所です。イライラします。癒されないのです。
 これらは私の勝手な好みですが、どうやら私が大好きなのは「自然」であり、過度の人工のものではないようです。
 人工物がやたらと多い場所というのは「気」の流れが悪く、リラックスできません。
そして世界中を旅している間に、次のように考えるようになりました。
 それは、「自然」と「人」が人間をもっとも癒してくれると同時に、人が変に手を加えた「自然」と「人」が人間をもっとも傷つけるようだと。
 近年、ほとんど海外に行きたくなくなったのは、加齢とともに海外へ行く仕事を減らしたことと、行く場所によっては非常に疲れるようになったからです。これは年齢を重ねるに従って緊張が嫌になり、自然人になってきたせいだと思います。
それと、熱海に居を移して気がついたことがあります。東京よりビジネス面では不便ですが、熱海ははるかに気分がいいところだということです。
 東京の都心部に住んでいたころは、週末や休日には、軽井沢、那須、鴨川、伊豆、箱根、富士五湖あたりへと、よく出かけました。「自然」に触れたくて出かけたのです。 東京の都心というのはどこでも、ほとんど癒されません。都庁や六本木ヒルズ、新宿副都心の高層ビル街などは、もっとも疲れる場所で、こういうところへ行くときは、人間の邪気(?)を受けないように私なりに心のガードをしてから行ったものです。いまでもそうです。
 その反対に自然の豊富なところに行くと、人の邪気(?)もなく心身ともにリラックスでき、十分癒されるのです。邪気とは我欲と金銭欲の集まったようなものといえそうです。
 熱海に転居して2年ほどですが、いまでは自宅とその周辺がもっとも居心地がよく、休日でも車で片道1時間以上のところへは行かなくなりました。熱海とその周辺だけで、十分満足しています。東京へは仕事でよく出かけますが、仕事が終わると一目散に自宅へと帰って来ます。
 なぜかといえば、熱海のほうが私を癒してくれるからです。
 第二章で述べましたように、日本中を回っていると「すばらしい」と思える地域がたくさんあります。たとえば2カ月ほど前ですが、所用で「さぬき市」に行きました。そしてびっくりしました。ここの海岸風景は最高であり、観光立地としても阪神地区から2時間内です。すばらしい泉質の温泉もありました。
しかし、それらが全く生かされていませんでした。
 また10年ほど前から、日本の最南端といってもいい、沖縄県の宮古島へよく行きます。
 昨年(2005年)までの11年間で計16回も行きました。私は宮古島が大好きです。
 「癒しの島」と命名し、これまで著書数冊で紹介してきました。毒蛇もいないし、カラスもいません。最高の「イヤシロチの島」でした。しかし行くたびに、この島のイヤシロチのレベルが減少していくように思えるのです。ともかく、癒される度合いが少ない島になっていくようで、気がかりでなりません。それはこの島における人々の意識の問題のようにも思いますが、気になることです。

 さて、本章では、私かいまもっとも気になる地域のことを述べようと思います。ここで取り上げたいのは、私が住んでいる熱海市、そして富士河口湖町です。
東京に住んでいた十数年間、リラックスのために、休日に私がもっともよく出かけたのは、伊豆高原周辺と河口湖周辺で、宿泊先としては厚木七沢温泉の七沢荘(温泉がすばらしい)と、鴨川の鴨川グランドホテル(太平洋の霊気と日の出がすばらしい)でした。

 ところが河口湖周辺は、最近では行くたびに癒されなくなり、気になって仕方がありませんでした。熱海は居住地であると同時に、本書を書く端緒となった場所でもあります。
 ここでは経営コンサルタントの視点で、簡単に活性化のポイントだけを述べます。同時に疑問点も簡単に述べます。ただしあくまでもこれは私見ですから、その点はご了承ください。

【富士河口湖町】
ポイント・・・霊峰富士と美しい湖という自然を活かし、聖地化がベスト。
疑問点・・・変に自然を損なうような人の手が加わりすぎるのは?


 富士山は日本で一番高い山というだけでなく、その姿や形はまさに霊峰と呼ぶにふさわしい、気高い雰囲気のある山です。世界でも富士山ほど目立ち、しかもそれが自らだけでなく、周辺をも引き立てる山はそんなにないと思います。日本一の山というと、日本人の90パーセント以上はおそらく、富士山というでしょう。
 従って、富士山があるというだけで、多くの人が引き寄せられます。富士山を嫌いな人は皆無だろうし、すべての人は富士山が大好きだといってもいいと思います。
 この富士山の山麓には五つの湖があります。その中でも北の山麓にあるのが、一番観光客の多い河口湖で、この河口湖のある富士河口湖町には、2005年には年間600万人もの観光客が訪れています。
 決して交通の便がよい場所ではありません。東京の都心部からなら二時間以上はかかりますし、冬は寒く、富士山にはよく雲がかかりますから、夏など見えない日のほうが多いくらいです。それでも600万人もの人が訪れ、別荘やすばらしいホテルがあるのは、富士山が癒しの効果を持っているからでしょう。事実、河口湖町はイヤシロチの町なのです。
 この河口湖町に、いま、より活性化したいという話が持ち上がっています。来町者を800〜1000万人へと増やしたいというのが当面の目標のようですが、首都圏が隣りにあることと、日本人だけでなく大勢の外国人も「一度は富士山の近くへ行って富士山を見たい」と考えていますから、この数字は不可能ではないでしょう。
 ここである記事を紹介します。私の友人のマーケティング・コンサルタントである西川りゅうじんさんが書いた、2005年12月8日付けの『フジサンケイ ビジネスアイ』の記事です。よくまとまっていますので、本人の了解を得てそのまま転載します。

【西川りゅうじんのトレンド!】
富士河口湖町「環境客」に人気 〜清水國明氏「森と湖の楽園」なども新登場〜


 富士山北麓の“高原のまち”富士河口湖町(山梨県)が、観光客ならぬ「環境客」が訪れる「環境地」として注目を集めている。この町には、富士五湖の中でも最も多くの人が訪れる河口湖、手つかずの自然が残り、近年エコツーリズムで人気を呼ぶ西湖がある。1989(平成元)年に小佐野常夫町長が率先してリゾートマンションを規制したため、俗化した他のリゾート地に比べ、比較的、自然がそのまま残されている。2006年3月1日には、隣接する上九一色村の南部が分村して合併する予定で、精進湖、本栖湖も含めて、五湖の中の四つの湖が町に属することになる。この地は、青木ケ原樹海に代表される豊かな緑にも恵まれ、富士山、水、緑と、人々を癒す要素がすべてそろった究極のセラピータウンである。
 そういった素晴らしい環境を生かした新たなスポットが人気を呼んでいる。タレントで自然暮らしの会代表の清水國明氏が社長を務める自然楽校が運営する『森と湖の楽園』だ。自然とモノ作りの総合アウトドアパークと銘打ち、森の中の空中回廊やツリーハウスを巡ったり、トレッキングしたり、自然工房で自分だけの作品を作れる。ターザンロープや滑車スライドなど森の遊具で遊んだり、丸太を削ったチェーンソーアートを楽しんだり、たき火でくつろいだり、ニジマスを釣ったり、森のレストランで、きこり料理に舌つづみを打ったりなど“他然”でなく自ら“自然”を楽しむ、まさに自然の楽校である。清水氏と連動して船井財産コンサルタンツの平林良仁社長が中心となり、環境と景観に配慮した21世紀型の新たな「理想都」(リゾート)を創ろうという動きも始まっている。同じようにアメリカの湖畔の小さな町だったのが、アンディ・ウィリアムス氏などスターをはじめエンターテイナーの劇場が立ち並び、音楽と湖の町として全米から観光客が訪れるまで発展したブランソン市をモデルとしている。
 また、アートコレクターの北原照久氏が館長を務めるアーティストタウンや現代美術作家のミュージアムギャラリーの計画も進んでいる。 
 富士山の世界遺産登録に向けた活動ともあいまって、富士河口湖町は、富士の語源といわれるように、二つとない“不ニ”の、そして人々に永遠の命を与えてくれる“不死”の町となるに違いない。

 この文中には、私と親しい清水國明さんや北原照久さんの名前も出てきますし、私が最高顧問を務める船井財産コンサルタンツの平林良仁社長の名前も出てきます。
 平林社長からは多少の相談も受けました。「アメリカのブランソン市のような劇場の町はどうでしょうか?」という質問も受けました。
 私は富士山の麓ほど自然の恵みを受けている地域は、世界的に見てもほとんどないと思っています。水、空気、景色がよく、ほとんどがイヤシロチです。神聖な雰囲気としては、伊勢神宮とともに[日本の双璧]でしょう。しかも伊勢神宮と比べると、その面積は何十倍もあります。

 この場所を、自然を活かした聖なる場所とすれば、年間2000万人くらいの観光客を呼ぶことは可能だと思います。ただしその際、重要なポイントがあります。客を迎える地元の人たちの人間性が純で、そこに作られる人工物も、自然に溶け込む雰囲気で、静寂なものがいいと思うのです。このすばらしい自然を壊さないようにしてほしいのです。この大枠から外れなければ、大成功するでしょう。
 私は河口湖町の周辺が大好きで、5年ほど前まではよく行きました。しかし最近はほとんど行かなくなりました。その理由は、河口湖周辺に、人工の物で霊峰富士にそぐわないものが、たくさんできたからです。できすぎました。
 美術館のようなものが多くでき、それぞれが高い入館料を取ります。飲食店も高くてまずい店が増えました。美しい富士山と湖は台無しになり、癒されるどころか、逆に疲れるようになりました。だから行かなくなったのです。とくに町の人々からも、純粋さと素朴さが失われてきたように思えるからです。
 本書の第一章と第二章をじっくりお読みいただき、世界中の人々が「ぜひ行きたい」と思う場所にしてばしいのです。ぜひ地元の皆さんがよい知恵を出し、霊峰富士をさらなる霊峰にしてほしいと思います。経営コンサルティングのプロとしていいますと、それが経済的にも経営的にも、もっともよい方法だと断言しておきます。小商人が集まった、エゴ丸出しのようなところには、絶対にしないようにしてほしいのです。

【熱海市】
ポイント・・・水よし空気よし、最高の風景と立地、松枯れもほとんどないイヤシロチ、治安もよく人も親切、気候もよく温泉もあり魚もおいしい。
疑問点・・・経済産業省の2030年予測では?


 まず私事に少しお付き合いください。
 70歳になったとき、創業以来、33年余も務めていた船井総研の代表取締役を辞めようと決めて、次のように考えました。

@今後、船井総研やその関係会社とは公的には無関係になろう。役員にも一切ならないようにしよう。ただし私は創業者であり、大株主でもある。社名に「船井」がついているのだから、上手に伸びてくれるよう生涯にわたってそれらの会社に力を貸したい。
A私が詳しいのは「本物」についてで、これは世界でもトップクラスだと思う。感覚的にも、見るだけ、手にとるだけでそれが「本物」か否かがわかる。今後は「本物化」が時流になる。だから「本物」を研究し、普及させる会社をすぐに創りたい。
B「本物」と同じくらい私が詳しいのは、余暇時間のすべてを投入して研究したといってもいい「世の中の構造とルール」そして「人間の正しい生き方」である。その結果、私自身の人生哲学ができた。今後はこれらを静かに啓蒙していきたい。
C「経営」についてはようやくプロの域に達したが、必要最低限以外は、今後は「経営」ということには関係しないでおきたい。
D今生、これまで多くの人に迷惑をかけた。それらはできる範囲でだが、償いたい。
E東京周辺の気候温暖なイヤシロチに住みたい。そこで辻説法でもしながら、一年に一冊くらい本を書き、晴耕雨読の生活を送りたい。そして適当なときに「あの世」に喜んで行きたい。
F40年も私を支えてくれた家内を、これからはとくに大事にしたい。

 以上の7項目なのです。
 いま、できることから一つひとつ実行中ですが、まだ「道遠し」というところです。
 私が熱海を選んだのは偶然で、最初は「伊豆高原か鴨川がいい。しかし小田原も候補地だ」と思っていました。小田原は、地元の鈴廣の鈴木会長や鈴木社長と親しく、市長とともにいろいろと候補地を選んでくれていたからです。伊豆高原や鴨川は、東京にいるときによく気分転換に行き、気に入っていた場所でした。
 熱海は東京から近すぎるのと、男の天国的温泉町で落ちぶれつつある街という印象が強くあり、ここを選ぶ気はありませんでした。
ところが不思議な縁で、私は熱海に土地を買い、家を作ることになりました。
 土地を買った直後、依頼されて熱海で講演をしました。「熱海の文化と経済」というようなテーマで話したのですが、そのときに熱海市長や市議会議長をはじめ、近隣の市長や町長、地元出身の国会議員や県会議員、さらには地元の企業やホテル・旅館経営者たちが200人くらい、熱心に聴講に来てくれたのです。その熱心さにびっくりしました。
 講演では「熱海をどうすれば活性化できるか」を、経営のプロとして述べたのですが、かなり熱気のある講演会になったことを覚えています。
 私が実際に熱海に住んで、びっくりしたことがあります。熱海には、山あり海ありと最高の風景があります。街中には木が多く、花が咲き乱れ、急流の川が流れています。マイナスイオンが多く、最高のイヤシロチで、枯れた松の木がほとんどありません。東京と違いカラスがほとんどいません(私は、イヤシロチほど松枯れが少なく、カラスが少ししかいないとルール化しています。イヤシロチとは逆のケガレチに行くと、松がほとんど枯れ、カラスが実に多いからです)。
 そのうえ、熱海は水道水が実においしいのです。第二章で述べた清水町の柿田川の湧水を引いているのです。夏は涼しく冬は暖かく、コートが不要です。冷暖房もほとんど必要ないような土地なのです。
 さらに驚いたのは治安がいいことで、日本でも、もっとも犯罪などの事件の少ない土地のような気がします。住民も素朴で親切です。
 そのうえ温泉があります。食べ物もおいしく、とくに魚は天下一品で、イカなども初島のイカ料理は、第二章で述べた呼子町の「河太郎」に勝るとも劣らないくらいの美味で、私もすっかりファンになりました。
 なによりも観光地として優位な点は、東京・横浜という大人口のいる地域から一時間足らずで来られる土地であり、しかもそこは大都会人が探し求める白砂青松、というか最高の山の幸と海の幸が満ちあふれ、癒される風景もあるイヤシロチだということです。

●観光客が激減した「4つの理由」とその対策
 それなのに、かつて1500万人以上も来た観光客が900万人に減ってしまったのは、一体なぜなのでしょうか?
 いろいろと考えてみましたが、多分、次のような理由だと思います。

【理由その1】
 熱海駅に降りると、全く貧弱な駅前広場が現れます。年間観光客500万人という沖縄県の表玄関である那覇空港と比べると、その千分の一くらいの華やかさしかない貧乏臭さです。観光客900万人どころか、50万人以下の街の表玄関といった様子です。それも決してカッコよくなく、ダサイのです。駅前広場は狭いし、見晴らしも悪いのです。
 熱海のよさを知らない普通の人は、この駅前を見ただけで、ここが日本有数の観光地などとは決して思わないでしょう。駅前をきちっと整理し、海までの大通りを作るだけで観光客は倍増するでしょう。
【理由その2】
 日本一や世界一がありません。いや、あるのですが、PRしていません。だからだれも知らないのです。熱海梅園、初島のイカ料理、MOA美術館、ハーブガーデン、盆栽の松など、少し脚色すれば、すぐ日本一や世界一にできるものがたくさんあります。いまのところは全くできていません。すばらしい文化遺産が多く、サービスがよく芸達者な芸者さんがいる街ですが、これでは街がかわいそうです。
 第二章で述べた小さな綾町でさえも、日本一や世界一が10件以上あり、観光客を集めています。だから熱海くらいの規模の街では、20件くらい作るのは簡単なことです。富士河口湖町の富士山のような、超魅力的なものを作るのは不可能でしょうが、劇場都市として再生したアメリカのブランソン市くらいのものは、すぐにつくれると思います。熱海へは東京から新幹線で30〜40分で来られるのです。これで観光客は倍増するでしょう。
 また、他の市町村と協力して、交通事情のよいスカイライン沿いに伊豆地方のすべての海の幸と山の幸など名産品を集めて、一万平方メートルくらいの「大市場」を作れば、そこだけで年間数百万人の客を呼べると思います。訪れる人が明確な目的を持って来たくなるものを作ればよいのですが、いまのところ、それらは皆無です。それでも900万人の観光客が来てくれるのは、風景や温泉、そして知名度と立地のよさゆえでしょう。
【理由その3】
 世間では、熱海は物価が高いといわれます。ただ東京住まいが長かった私の印象では、非常に安い…という感じです。衣食住などは、安さにびっくりしています。
 しかしガソリンだけは、隣町の函南などと比べると、いまのところでは間違いなく高いと思われます。ガソリン価格を他の市町村並みにし、タクシー料金を他の地区より少し安くすれば、物価が高いという評判はなくなるでしょう。
【理由その4】
 最近はだいぶ増えてきたようですが、若い女性にいま一つ人気がありません。男性向きの温泉中心観光街として発達したからですが、重点的に若い女性が喜ぶところを作ればいいと思います。花と緑に囲まれた景色のいいところで、本物の工芸センターやヒーリングセンターなどを市が中心となって計画し、瀟洒(しょうしゃ)な温泉と飲食コーナーを数カ所でも作れば、若い女性だけでなく、年輩の女性たちも押しかけてきます。
 熱海のよいところは、富士河口湖町などと違って、入場料を取るような物産館や美術館がほとんどないことです。できるだけ入場料などを取る設備を少なくするのが、地域活性化の決め手です。第二章で述べた美瑛の拓真館は、無料だからよいのです。

 こうして見ていくと、熱海に年間2000万人の観光客を呼ぶのは、カジノなどを誘致しなくとも十分に可能だと思います。要は市民のやる気と実行力です。
 昨年、約11万6000平方メートルの六本木ヒルズに、年間4400万人が訪れました。私も年に2、3回、会食やセミナー講師として行きますが、ここでは、イヤシロチ好みの感覚の鋭い人ならたいてい疲れます。それでも大勢の人が行くのはいまところ、東京一の単一ビルであり、マスメディアが書きたてるおかけで「日本一カッコいい」と思われているからです。
 熱海は感覚の鋭い人はもとより、普通の人が訪れても、ほとんどの人が癒されます。しかしいまのところ「ダサい」ので、年間900万人しか来てくれません。だったら、熱海を日本一カッコよくて癒される街にして、六本木ヒルズ以上の観光客を集めてみようではありませんか。うれしいことに、熱海は市民が実に純で親切なのです。それに川口市長のりリーダーシップも実にすばらしいのです。
 その結果として、経済産業省が出した2030年の人口や域内総生産に間する予測を、見事に外しましょう。熱海市民の皆さん、やってみてください(抜粋ここまで)。


 以上ですが、2月15日と今回の中から、できれば「経営のコツ」のヒントでもつかまえてください。
                                              =以上=

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