トップが語る、「いま、伝えたいこと」
先週ある人から、次のように言われたのです。
「『この健康食品は、○○のような病気にはいいのです。××には効くのです』というのは、薬事法に違反するから言ってはいけないのです。船井先生は自由に発言するクセがあるから気をつけてくださいよ。下手すると逮捕されますよ」と。
事実であっても、薬でないものについては、「○○の病気に効く」などという表現はいけないというのです。
「表現の自由は、たしか、憲法で保証されている日本国民の権利でしょう」と、逆に質問したのですが、「いかがわしいものを効くとか良いといって商売する人が多いので、国が親切にこういう法律をつくってくれたと考えればいいのですよ」と説明され、「なるほど」と思いながら、ともかくびっくりしました。ほとんど気にしていなかったからです。しかし、どういうわけか、私は、そんなことは言ったことはないのです。
そういえば、最近では畠や田んぼ、庭でも「物を燃やしてはいけない」という法律か規制ができたとか、医師以外の人が治療のために、他人のカラダを触ってはいけないとか・・・、いけないことがどんどんふえているようです。
私は自由が好きです。法律や規制などは少ない方がよいと思います。
しかし、すべてを自由にしては、心がけの悪い人もいますから世の中は成りたたないことがわかります。
そこで絶対にこれだけはしてはいけない・・・ということで法律や規制ができるということは分ります。
だから法律や規制は守らなければならない・・・というのも分ります。
いまベストセラーになっている藤原正彦さんの『国家の品格』(2005年11月 新潮社刊)の中で、彼は「自由」について次ぎのように述べています。
「自由」という概念
その筆頭が「自由」という概念です。いま自由を否定する人は世界中にいないでしょう。私は「自由という言葉は不要」と思っています。控えめに言っても、「自由」は積極的に賞揚すべき概念ではありません。
日本の中世においては、自由というのはしばしば「身勝手」と同じ意味で使われていました。『徒然草』においても、そのように使われていたと記憶しております。
自由が著しく制限されていた戦中への反動から、また自由を国是とするアメリカによる占領統治もあり、戦後はことあるごとに「自由」が強調されてきました。憲法や教育基本法をはじめ、さまざまな法律にも、基本的な人間の権利として書かれております。しかし結局、自由の強調は「身勝手の助長」にしかつながらなかった、と言えるのではないでしょうか。
この「自由」という名の化け物のおかけで、日本古来の道徳や、日本人が長年のあいだ培ってきた伝統的な形というものが、傷つけられてしまいました。
人間にはそもそも自由はありません。それは当たり前のことです。生まれ落ちた瞬間から人間に自由はない。あんなに厚い六法全書があり、法律が網の目のように張り巡らされています。法律の他にも道徳とか倫理というものまであります。さらにどんな組織にも規則があり、そこでは協調が強いられています。我々の行動や言論は全面的に規制されているのです。
欧米が作り上げた「フィクション」
どうしても必要な自由は、権力を批判する自由だけです。それ以外の意味での自由は、この言葉もろとも廃棄してよい、廃棄した方が人類の幸福にとってよい、とさえ私には思えます。
権力を批判する自由さえ完全に確保されれば、他は制限されていい。そもそも、嫌な奴をぶん殴ったりする自由もないし、道端で立ち小便をする自由もない。私には諸般の事情から愛人と夢のような暮らしをする自由すらない。ほとんどの自由は廃棄するまでもなくあらかじめないか、著しく制限されているのです。欧米が作り上げた「フィクション」に過ぎません(抜粋ここまで)。
これは、私もほぼ同感です。
ただ、権力を批判し、権力に抵抗する自由はあってもいいと思います。これは必要だとさえ思います。
少なくとも憲法で保証されている「事実であっても『○○の病気に××は効く』などと言ってはいけない」という薬事法の規程は、「それがもし本当のことである」のなら私にはやはり少しおかしいと思われるのです。「なんとかならないか」と言いたいのです。
とりあえず、私は法律を守る人間なので、なぜか確かめようと思います。私の親友の中野 清さんが厚生労働省副大臣をしていますので、彼を通じて厚生労働大臣にでも聞いてみようと思っています。
本当のこと、事実を述べてはならないことも、世の中には多くあります。が、これについてはいまのところ、私には「びっくり」なのです。効くものを、効くといえないのは、変な法律に思えて仕方ないのですが。
=以上=
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