トップが語る、「いま、伝えたいこと」
私のはじめての監訳書が、8月18日ごろに成甲書房から出ます。
カリール・ジブラン著の“THE PROPHET”を訳し、監修した本です。
本来なら七田眞さんか太田龍さんが監訳を手がけたと思うのですが、お二人が相ついで亡くなられたため(?)、お二人と親しい人から依頼されました。
ともかく良い本でした。私の言いたいことが書いてありました。そこで引き受けたのです。
6月上旬から中旬にかけて監訳を終ったのですが、6月上旬に書き了えた『二つの真実』(ビジネス社、7月7日刊)と、ともにお読みいただきたく、きょうここに紹介することにしました。
以下は、同書の「あとがき」ともいうべき「監訳者解説」の一部です。
人間の「正しいあり方」を訓(おし)える書
カリール・ジブランの「THE PROPHET」(『預言者』)を読んで、
「この人はアタマの良い人だなあ。1923年に、キリスト教やイスラム教徒に囲まれた社会に住んでいたのに、〈この世とあの世の真実〉〈人間の正しいあり方〉などを、あらゆる人々が納得できるように、上手に説明してくれている」
と、まず感動しました。それとともに、
「大変だったろうな。とはいえ、真実は尊く強いなあ」
と、わが意を得ました。これが実感です。
本書は、読めば読むほど味が出てきます。考えさせられ、安心させられます。世の中のことや、人生がわかってきます。すばらしい著作だと思いました
(中略)
『預言者』を解く鍵――イスラム教とキリスト教
さて、私は宗教のことを、ほとんど知らない人間です。本書を一通り読んだあとで、友人の宗教研究者に、主な各宗教の大要や、「死や輪廻転生についての各宗教の見解」を教えてもらいました。そうでないと本書の監訳ができなかったからです。
つぎに紹介しますのが、友人が教えてくれましたイスラム教とキリスト教についての彼の見解です。友人は優秀な研究者ですし、以下の説明文で私なりには一応理解しました。
(中略)
この世とあの世があり、人は輪廻転生することを伝えたかった
「はじめに」でも述べましたが、カリール・ジブランは、レバノン生まれであり、アメリカに移住してボストン、ニューヨークで人生の大半を過ごした人ですから、キリスト教についてはもとより、イスラム教のことも非常に詳しく知っていたはずです。しかも、彼はそれ以上に「この世とあの世があること」「人は輪廻転生すること」も知っていたようで、その真実を何とかして多くの人に伝えたかったのだと思います。これは本書の中でも充分にそれとなく述べられていますし、彼の他の作品を読みますと、はっきりとわかるように思えます。
1923年という本書の発刊時期、それに彼の友人たちや、ジブランの住んでいたアメリカは、キリスト教やイスノム教の訓(おし)えを信じる人たちが大半の社会のはずですから、この二大宗教の教えと異なことを書くのは、やはり「大変だっただろうな」と思うのです。ともかく、だれもが納得できるように、一文一文が注意深く綴られています。
(中略)
ポイントは「愛」、「感謝」、「助けあい」そして「自由に楽しく生きなさい」
さて、オルファリーズの町で12年余を過ごした本書の主人公アルムスターファに、故郷から迎えの船が来た時、オルファリーズの人々は、アルムスターファを「生命の息吹を与える人」、「神のコトバを預る人」、「至高を求める人」などと言っています。「夢を与える人」であり、「真昼のような人」とも言っています。
そして「真実を教えてほしい」、「本当のあなたの姿を教えてほしい」、「人の正しいあり方を教えてほしい」などと、彼に希(のぞ)んでいます。
それに対する彼の答えが、本書の内容なのですが、ポイントは「愛」、「感謝」、「助けあい」、そして「自由に楽しく生きなさい」ということのようです。
さらに彼は、本書の最後の『そして夕暮れになった』のところで、
「忘れないでほしい。わたしは必ず帰ってくる。またすぐに、わたしの憧れは、べつの肉体を求めて塵(ちり)と泡を集める。またすぐに、風のうえでひととき休んだら、べつの女がわたしを産み落とす」
と、語っています。
本書は、巫女(みこ)のアルミトラが、「またすぐに、風のうえでひととき休んだら、べつの女がわたしを産み落とす」というアルムスターファの言葉をかみしめていた…で終わっているのです。
これを読んで、私はカリール・ジブランの文章のすばらしさと、彼が本当に言いたかったことがわかるように思えました。だから、このような解説文を書くことにしたのです。
それに、文中の絵(イラスト)が、見事に文章にフィットしています。あたたかい絵ばかりです。
正直なところ、感動し、感激に涙しながら本書を読み終えました。
『預言者』と、拙著『二つの真実』の内容の深い関連性
私はカリール・ジブランが生まれながらにして、「この世とあの世のこと」「生まれ変わりのこと」「正しい生き方」などを知っていたのか否かはわかりません。
私の友人には、いま、これらについて充分に知り、確信を持っている人が多くいますが、たいていの人は、人生経験と勉強のプロセスを得て、真実を知ったもようです。ただ2、3人ですが、生まれながらにして、真実のほとんどを知っていたようだ…と思える人もいます。人間は、すばらしいと思います。人の能力は無限のようです。
ともあれ、カリール・ジブランは、「人として大事なことであり、そして知ることによって必ずプラスになる真実」を伝える使命を持って、生を受けた人であることは、彼の能力や彼の人生経験から考えても、まちがいないように思います。
少し話は変わりますが、私は今年(2009年)6月初旬、『二つの真実』(ビジネス社刊)という本の原稿を脱稿しました。
その直後に、本書の監訳をしないかという話が、飛び込んできました。はじめは気楽に本書を読んだのですが、本書『預言者』と拙著『二つの真実』の内容に、深い関連性があり、びっくりしました。また90年近くも前に、アメリカで本書が書かれ出版されたこともびっくりです。
拙著の『二つの真実』を、お求めいただきたいとは申しませんが、もしよろしければ、書店ででも、拙著『二つの真実』の「あとがき」だけでも、ぜひ立ち読みでもしてください。多分本書との深い関連性にびっくりされると思います。
最後に本書の監訳を私に奨めてくれた成甲書房の田中亮介社長と、私の友人、湧水舎の吉野勝美さん、そして立木勝さんに深く感謝し、本書『THE PROPHET』(『預言者』)の解説文のペンを擱(お)きます。
ともかく本書は、いま76歳の私が、これを書いた当時は30代であったカリール・ジブランに、非常に多くの点で訓(おし)えられ目を覚まさせてもらった名著でした。かつての彼と彼の霊魂に心から、お礼を申します。
2009年6月23日、船井本社・東京オフィスの会長室で(監訳者記す)(転載ここまで)
以上のとおりです。
よろしくお願いいたします。ぜひ御一読ください。
=以上=
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