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このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2010年10月4日
人材づくりのポイント

 以前も書きましたように、私の愛読雑誌に『学士会会報』(学士会発行)があります。
 私も会員なので、9月中旬にその「第884号」が送られてきました。
 この会報に載る毎号十数人の記名文や講演要約は、参考になることが多いので、ほとんど読んでいます。
 2010年のV号である第884号の中で特に参考になったのは『昭和史再考』という筒井清忠さん(帝京大教授)の講演要旨と、『日本の急務「真のエリート」教育を』という藤田宏さん(東大・名誉教授)の寄稿文でした。
 この両者の考え方に、私見を交えて「人材づくりのポイント」という本稿を書こうと思います。

 私には、日本が1941年(昭和16年)に、どうして対米英戦争にふみこんだのかが、常識的に考えてどうしても分らないことの一つだったのです。
 開戦時の鉄鋼の生産量や石油の産出量などの戦争の決め手となる主要物資の比較だけをとっても、まともな人がリーダーなら、とても米英などと戦争に入るなどの意志決定はしないでしょう。経営トップが、このような意志決定をするのなら、会社はすぐつぶれてしまいます。
 日本のリーダーたちは、どうして当時は「まともでなくなり、人材でなくなった」のでしょうか?
 筒井さんはそれに対して、そのような世論がつくられたのだということを言っています。彼の言いたいことの要旨は学士会会報によると、つぎのように要約されています。

要約  
 日本は第二次世界大戦で覇権国の米国・英国に挑戦し当然のように敗れた。なぜそうなったのかを理解することは昭和史を考える上で最も重要だ。大正半ば、強力な超国家主義運動が発生し、後の歴史の大きな流れを決めていく。その運動の思想的リーダーだった北一輝は国内の改造とアジアの解放という二つの平等主義の実現を主張。それは、軍縮・平和の潮流の中で自らの存在意義に思い悩んでいた軍の青年将校らの心を捉えた。そして、混沌とする政治・社会情勢を背景に五・一五事件、二・二六事件が起こされ、「アジア解放」=反米英が世論となっていくのである(転載ここまで)。


 私は明治以降、特に明治40年以降、大正、昭和前期(1945年まで)の日本の軍人や一般学校での教育システムの故だと思います。終戦までの私の小中学校での教育システムや学校や社会が教えてくれたことは、いまから考えると、ほとんど非常識で、戦後はよりおかしくなりました。ここ100年、日本の教育は常識的には、まちがっていたと思います。
 それを補ってくれるのが、藤田宏さんの寄稿文でした。
 昔の日本には旧制高校と旧帝大というエリート教育システムがありました。これが上手に機能していた……と彼は言うのです。たしかに、これだけは、私も現象として肯定します。
 エリート教育によって育成するのは「秀でた能力と高い倫理性を具え、気概と使命感を持って世のため人のために役立つ指導的人材、すなわちエリートである」と言うのですが、そのために旧制高校教育の良さ、特に自由と自治の精神が大事だと彼は言っています。
 しかもすぐれた人たちの人的友情が芽生えるシステムだったとも言っています。
 一応、私の年代は旧制高校と旧帝大の人材づくりの良さを知っています。
 それは教授との関係、仲間同士の関係、そして自由を大事にする哲学、自治を認め、委せられた実績などによって旧制高校3年間の教養課程と結果を見れば好結果は一目瞭然です。
 もちろん旧制高校にも、校風がありましたが、何よりも大事なのは、わきまえた教養のある「自由」ではないか……と私には思えるのです。
 以下に自由な大学といわれる京都大学について、最近出した『人生で一番大切なことは、正しい生き方を「クセづけ」する』(2010年7月23日 海竜社刊、船井幸雄・小宮一慶対談書)の中で小宮さんと私が京大について述べているところを紹介します(一部加筆します)。少し長文ですが、じっくりお読みください。

自由が好き、京大の遺伝子 【小宮】
 船井先生も、私も京大出身ですが、京大出身の人は、自由な人が多いと思うんです。これは、学風があるのだと思います。
 私は、サラリーマンをやっていたときから、土日も何かしら仕事に関係のあることをしていましたが、独立してからのほうが、間違いなく働いています。それは、おそらく、自由になり、仕事がより楽しくなったからだと思います。もちろん、自由というのは、勝手気ままという意味ではなく、精神的な自由さです。おそらく人から制限されたり、束縛されることが嫌いなのだと思います。
 以前に京都大学の広報誌のなかで、京大の遺伝子という話を書きました。京大生とは、人からつべこべ言われたり、制約されるのが嫌いで、とにかく自分で物事を決める、という特性があります。
 それというのも、理系はどうかはわかりませんが、私の出た法学部では、まったく自由で、二回生からは授業の登録すらないのです。当然、登録がないから、出欠もとりません。年に一回の試験を受けにいくだけなのです。もちろん、その試験できちんと点数をとるには、授業に出席するなり、勉強するプロセスがないと、点がとれないという前提でやっているのですが、それにしてもまったくの自由です。
 そのような自由な学風なので、いろいろな人がいます。私の出席番号一つ前の人は、八年大学に在籍して過激派になって、結局卒業しなかったそうですし、一つ後ろの人は、外交官試験を一発で受かって外務省に入りました。しかし、せっかくのキャリアなのに、何年かで辞めてしまったそうです。やはり自由が好きだったのでしょう。
 私が東京銀行で働き始めて、最初に思ったことは、働く場所を決めてくれて、独身寮などの住むところも決めてくれて、出社時間や退社時間まで決めてくれて、何と楽なのだろう、と思いました。自分で自己管理しなくとも、会社がすべき行動を決めてくれるのです。いままではそういうことは全部自分でやってきましたから、それはムチャクチャ楽だと思いました。しかし、そのうちに何でも決められることに耐えられなくなってきたのです。
 結局は、何年か後に独立しました。私の友達を見ていても、やはり自由業のような仕事をやっている人が多いのです。そのような遺伝子が京大にはあると思います。

当時、株式上場させたのは京大卒だけだった 【船井】
 私は家が百姓をやっていましたから、そちらが本業で、大学は副業のようなものでした。そのため、あまり学校には行きませんでした。あまり学校には行かなくとも、文句も言われなかったし、私は理系ですが、資本主義の研究のような好きなことをさせてくれました。いちおう卒業はできましたから、たしかに自由な学風というのは、あるんでしょうね。
 また、私も自由が大好きだし、人から束縛されることは、好きではありません。京大の遺伝子、というのはあるのかもしれません。
 考えてみれば、船井総研というのは京大風の会社だと思います。創業後しばらくは、規則もほとんどない、いつ来てもいいし、いつ帰ってもいい、やりたいことがあれば何でもやっていい。仕事は仕事として、経営の内容はすべて社員に公開して、儲かったらみんなで分ける、という方針でした。そのため、はじめの十年くらいは会社としてお金も貯めませんでした。
 あるとき松下幸之助さんにいざというときのために、お金は貯めなければならない、と教えられて、貯めるようになりました。貯め始めたら、気づいたら会社が大きくなって、いつのまにか株式公開になりました。いまは東証、大証の一部上場企業で名前も売れたようです。そのような、自由で泥縄式な会社です。計画性はあまりなかったかもしれないけれど、その代わり、目の前にきた仕事に、皆、一所懸命に働きましたね。
 私が船井総研を株式上場したときに、証券会社の人から言われたことですが、「船井さんは、京都大学を出ているそうですね。学生時代はさぞ、成績がお悪かったのでしょうね」と言われたのです。
 なぜか? と聞くと、「日本では、良い大学を出た人は、たいてい官僚になるか、大企業にサラリーマンとして勤める。旧帝大を卒業した人のなかで、会社を創って上場させたのは、いままでに、三人しかいません。自分で会社を創って、零細企業から大きくするなんて、そんな面倒なことは成績の良かった人はしないのですよ。だから船井さんは、学生時代に成績が悪くて、どこへも入れなかったのだろうと思ったのです」とのことでした。
 しかも、私を含めて会社を上場させた三人がすべて京都大学出身だということでした。堀場製作所の堀場雅夫さん、京葉産業(現・ケーヨー)の永井幸喜さんと私ということだったのです。ともに、私の先輩でよく知っている人です。そんなことからも、京都大学の学風が作り出す遺伝子というのは、あるのかもしれませんね。
 小宮さんが勤めておられた東京銀行にも、私はいまでもつきあいのある人がたくさんいますが、自由で良い社風でしたね。京大とまったくちがう堅苦しい東大出の多い三菱銀行と合併してうまくいきますかね。学校には学風や校風があるけれど、会社にも社風がある。自分の特性に含ったところへ行くのがいいでしょうね。

理屈は頭で話すもの、道理は心で話すもの 【小宮】
 船井先生と私とでは、二十年以上も時代が違うけれど、学風や校風というのはやはりあるのだと思います。京都大学は自由で私の特性に合っていました。ノーベル賞をとる人が多いのもわかるし、大学を卒業しない人が多いというのもよくわかります(笑)。
 私にとってはベストな大学だったと思っていますが、自分で何かを決めるのが好きでない人は、京都大学は向いていないかもしれません。人それぞれの好みがあるので、どちらが良いというわけではありませんが、そのような人はある程度枠を作ってくれる大学のほうが居心地が良いのでしょう。
 これは大学とは関係があるかはわかりませんが、経営者の人は、道理を話すのに対して、役所出身や学者の人は、理屈を話す傾向があるように思います。理屈をはっきりさせないと気がすまない、という性質の人がいるのです。これは、その人の働いている風土というか、環境がそうさせているのかもしれません。
 船井先生もそうだと思いますが、私の講演会では、道理しか話しません。そのため、質問が出ません。質問が出るような話はしていないのです。こちらはこうだ、と決めた道理を信じて喋っているから、質問も出てこないし、反論されても、そうですか、としか言いようがないのです。
 理屈というのは、頭で考えて喋るものであって、道理というのは、心で喋るものだと私は思います。頭で考えて喋るものは、いくらでも理屈が作れるし、反論も対応できます。しかし道理はそうはいきません(転載ここまで)。


 旧制第三高等学校の校風がそのまま残っているような大学が京大ですが、京大卒業生は一般的に新しいことへの挑戦が好きで、そのうえ、よく働きます。成功欲や金銭欲は余りないようです。他人にも干渉しません。この辺が京大の学風のようですが、まず自由にさせても社会秩序をきちっと守り、成長させうるくせづけが人材づくりの第一のポイントだと思えてならないのです。
 そういう意味で私は出身大学の京大はもちろんですが、東京工大も大好きです。この大学を出た人は、自由で変ったことに挑戦します。最近は政治家や官僚になる人もふえてきて、東工大も少し硬直してきたようですが、少なくとも東大卒よりはおもしろいたのしい自由な人が多いように思います。
 さて人材づくりの第一のポイントが自由だとしますと、第二のポイントは長所伸展・長所活用だと思えるのです。好きなことをし、得意なことで生きればよいのです。
 さらに第3のポイントは、人さまに嫌われないこと、いわゆる「いばらない」「自慢しない」「他人の批判しない」「悪口を言わない」などの「クセづけ」のように思うのです。
 あとは、なるべく「権力」や「お金」「ぜいたく」と無縁で質素に単純に本音で生きられる人になるようにくせづけすればよいのではないでしょうか。
 そういう意味で、現在は人材づくりは家庭や学校でなく企業の仕事になりつつありますが、@自由な A長所活用をさせてくれ B協調が好きで C質素によく働き学ぶトップのいる会社(社風のある会社)がよいように思えます。
 日本人自身で、この辺の人材づくりのありようとか価値観を本来の「自然の理」にもとづいて考えなおすべきでしょう。
                                            =以上=


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        第4回 国際和合医療セミナー開催のお知らせ◆
                         (国際和合医療学会事務局よりのお知らせ)
  ● 和 の 伝 統 医 療 を 体 感 !●
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日程:平成22年10月16日(土)
会場:みやこめっせ(京都)
【第一部*セミナー 9:00〜17:30】
前売一般8,000円(会員4,000円)(←『船井幸雄.com』を見た、と言ってお申し込まれた方は無料でご招待)
【第二部*懇親会 18:00〜20:00】5,000円(会食費込)
【お申込締切】平成22年10月7日(木)
           【お申込み・詳細はこちらをクリック】
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